人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

  1. HOME
  2. 本と人
  3. ほん
  4. 2025年NHK朝ドラ「あんぱん」特集!第2弾は『愛の人 やなせたかし』

2025年NHK朝ドラ「あんぱん」特集!第2弾は『愛の人 やなせたかし』

あいのひと アイキャッチ画像

「あんぱん」のモデル・やなせたかしをより深く知る!

2025年3月31日(月)より放送開始のNHK連続テレビ小説「あんぱん」。
「アンパンマン」の生みの親であるやなせたかしさんとその妻・小松暢さんを題材に、夫妻の人生を波乱万丈の物語として大胆に再構成してドラマ化されます。夢を忘れなかった二人の人生が、「アンパンマン」にたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語です。夫婦役は、北村匠海さんと今田美桜さんが務めます。

ほんのひきだしでは、よりドラマを楽しんでいただけるように、やなせたかしさんの関連本をご紹介します。
今回は、『愛の人 やなせたかし』(講談社)です。ぜひ書店店頭で手に取って、ドラマとあわせてお楽しみください。

 

■『愛の人 やなせたかし

愛の人 やなせたかしの書影画像
著者:小手鞠るい
発売日:2025年1月15日
判型:A6判
定価:803円(税込)
ISBN:9784065382028

 

〈章立て〉

プロローグ----やなせ先生、ありがとう
第一章 あこがれよ なかよくしよう----裏町ぐらしの下積み時代
第二章 さびしいひとをなぐさめたい----「詩とメルヘン」の創刊
第三章 死んでもひとをよろこばせたい-----絵本『やさしいライオン』
第四章 愛がなければ生きられない----アンパンマンの奇跡の始まり
第五章 しあわせよ カタツムリにのって----アンパンマンワールドの魅力
第六章 戦場にも花は咲いていた----『おとうとものがたり』
第七章 今日はすぐに思い出になる-----最愛の人、暢さんの死
第八章 書いては消し、消しては書く----「いい子いい子」
第九章 かわりのメダカはいないんだ----なにが君のしあわせ
第十章 夢の中にも夢はある----「詩とメルヘン」の三十年と幻の生前葬
あとがきにかえて----この人生が好き
解説 永田 萠
シークレット・ラブ----文庫版のための書き下ろし掌篇小説

 

やなせたかしさんの「愛弟子」だからこそ書ける、素のやなせさんの言葉

やなせさんが編集長を務め、「ちいさな学校」と呼んだ雑誌『詩とメルヘン』に詩を投稿して以降、45年間にわたり、やなせさんとの交流があった、著者の小手鞠るいさん。詩のことや仕事のこと、小説家になる夢について相談する小手鞠さんに向けて、やなせさんがくれたアドバイスは、まさに金言。生きていくことに悩み、迷うすべての人の心に響きます。素のやなせさんの言葉に触れることができるのは、「愛弟子」の著書だからこそです!

 

やなせたかしさんのことを深く理解することができる詩が満載

本書では、やなせさんの94年の人生を幼少期から丁寧に振り返ります。ただの評伝ではなく、やなせさんの身に起きた出来事を、やなせさんご自身の詩を多数交えて紹介しているので、読むうちに自然とやなせさんの詩をより深く理解することができ、さらには、すべての作品を貫く哲学、思想ともいえる強い思いにも触れることができます。やなせさんの心情や言葉の重みをじっくり味わえるとともに、資料的価値も。やなせさんご自身の著作からの引用や、イラストも収録した贅沢な構成です!

 

解説はイラストレーターの永田萠さん

『詩とメルヘン』でも活躍し、やなせさんとも著者の小手鞠さんとも親交の深い、イラストレーターの永田萠さんが解説を執筆しています。本文では、やなせさんと小手鞠さんの初対面のエピソードや、その場に居合わせた永田さんとのやりとりが描かれていますが、それにこたえるように、解説では永田さんとやなせさんの出会いについて明かされています。小手鞠さんと同じように、やなせさんを「恩師」と呼ぶ永田さん。ふたりの「弟子」からみたやなせさんのエピソードもとても素敵です。

 

小手鞠るいさんからのコメント

中学生時代にやなせたかしの詩に出会って、2013年にお別れの日が来るまでの45年あまり、わたしは、詩人・やなせたかしの教え子であり続けてきました。わたしが五十を過ぎてから書いた作品を読んでも「いい子、いい子」と、小学生の書いた作文を褒めるようにして褒めて下さった先生は、ご自身のことを「吹けば飛ぶような漫画家」あるいは「詩とメルヘン学校の用務員」とおっしゃっていました。公私ともに、わたしにとって、やなせたかしは永遠の恩師であり、優しいライオンであり、孤独を知り抜いている遊牧民です。人生の、非常に重要な節目節目で、先生はスーパーマン(=アンパンマン)のように、ひゅーんと姿を現して(=空から飛んできて)わたしを助け、導いて下さいました。先生がわたしに、どんな奇跡をもたらし、どんな危機から救い出して下さったのか、本書を読んでいただくと、一目瞭然におわかりになると思います。大げさかもしれませんが、これは「奇跡のストーリー」なのではないかと自負しています。

 

著者プロフィール

小手鞠るい(こでまり・るい)
1956年岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。1979年、川滝かおり名義で『詩とメルヘン』に初投稿し、初掲載。1981年第7回「詩とメルヘン賞」を受賞。1992年にアメリカに移住。1994年、小手鞠るいとして「おとぎ話」で海燕新人文学賞を受賞。2005年『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞を受賞。