「宮部みゆき」小説 2024年ベストセラーランキング発表
1987年に、「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビューし、小説界の第一線で活躍を続けている宮部みゆきさん。『火車』や『理由』、『模倣犯』、『ソロモンの偽証』などのミステリーの名作や、「三島屋変調百物語」、「きたきた捕物帖」といった時代小説のシリーズをはじめ、SFやファンタジー、ホラーなどの幅広いジャンルで長く読まれる作品を生み出しています。
宮部作品は、緻密に練り上げられた展開と、ちりばめられた先読み不可能な謎、そしてリアルに描かれる登場人物たちの心情が何よりの魅力。そして、貧困や犯罪、家庭内暴力など社会が抱えるさまざまな問題を背景にした、読者に寄り添う物語でもあります。
今回は、宮部さんの小説で、2024年の販売冊数を集計したベストセラーランキングを発表します。特筆すべきは、TOP20にランクインしている作品の発売時期が、なんと27年間に及ぶこと。宮部さんのキャリアの充実ぶりを示すとともに、作品が長く読み継がれている証と言えます。おもな作品のあらすじもあわせてご紹介しますので、新旧問わず、興味を持った作品をぜひ書店店頭で手に取ってみてください。
※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※上下巻の作品は一つにまとめています
※日販調べ
2024年に一番人気の作品は…?!
宮部みゆきさんの書籍で2024年に一番人気があった作品は、『よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続』でした。
「三島屋変調百物語」シリーズは、宮部さんが「いつも自分の一番そばにある、原点に近い仕事」と語る、ライフワークともいえる江戸怪談シリーズです。2006年から書き継がれている代表作で、今回のランキングでもTOP10に4作がランクインしています。
舞台は、「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」をルールに、江戸で人気の袋物屋・三島屋で行われている〈変わり百物語〉。黒白の間と名付けられた座敷を訪れた客が、胸にしまってきた怖い話や不思議な話を聞き手だけに語っていく連作短編集です。
2月19日(水)には、シリーズ最新刊『猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続』が発売されました。
『よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続』
著者:宮部みゆき
発売日:2024年6月
発行所:KADOKAWA
定価:1,056円(税込)
ISBN:9784041146323
江戸は神田の袋物屋・三島屋は風変わりな百物語で知られている。語り手一人に聞き手も一人。話はけっして外には漏らさない。聞き手を務める小旦那の富次郎は、従妹であるおちかのお産に備え、百物語をしばらく休むことに決めた。休止前最後に語り手となったのは、不可思議な様子の夫婦。語られたのは、かつて村を食い尽くした〈ひとでなし〉という化け物の話だった。どこから読んでも面白い! 宮部みゆき流の江戸怪談。
(KADOKAWA公式サイト『よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続』より)
▼シリーズ最新刊はこちら
- 猫の刻参り
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2025年02月
- 発行所:新潮社
- 価格:2,530円(税込)
- ISBNコード:9784103750161
「宮部みゆき」2024年書籍 ベストセラーランキング第2位~第10位
第2位『子宝船 きたきた捕物帖(2)』
- 子宝船
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2024年08月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:1,078円(税込)
- ISBNコード:9784569904245
「持つ者は子宝に恵まれる」と江戸で評判の宝船の絵。しかし赤子を失ったある家の宝船の絵から、弁財天が消えたという。
深川の富勘長屋に住み、岡っ引き修業に励む北一は、噂の真相を確かめようと奔走する。
時を置かずして弁当屋の一家三人が殺された。現場で怪しげな女を目撃した北一は、検視の与力・栗山の命を受け、事件の真相に迫っていく。
まだ未熟な北一だが、風呂屋の釜焚きをしている喜多次という相棒がいる。この男、なぜかめっぽう強く、頼りない北一をいつも助けてくれる。
亡き親分のおかみさん、大親分の政五郎、政五郎の元配下で昔の事件をすべて記憶している通称「おでこ」といった人たち――。
そして北一の生業である文庫づくりを手伝う「欅屋敷」の「若」や用人の新兵衛といった“応援団”に見守られながら、北一が成長していく新感覚の捕物帖シリーズ第二弾!(PHP研究所公式サイト『子宝船 きたきた捕物帖(2)』より)
第3位『気の毒ばたらき きたきた捕物帖(3)』
- 気の毒ばたらき
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2024年10月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:2,420円(税込)
- ISBNコード:9784569858098
第4位『きたきた捕物帖』
- きたきた捕物帖
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2022年03月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:968円(税込)
- ISBNコード:9784569902012
第5位『火車』(「山本周五郎賞」受賞作)
- 火車 改版
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2012年11月
- 発行所:新潮社
- 価格:1,210円(税込)
- ISBNコード:9784101369181
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
(新潮社公式サイト『火車』より)
第6位『魂手形 三島屋変調百物語七之続』
- 魂手形
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2023年06月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:814円(税込)
- ISBNコード:9784041134719
第7位『震える岩 霊験お初捕物控』
- 震える岩 新装版
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2014年03月
- 発行所:講談社
- 価格:935円(税込)
- ISBNコード:9784062777827
事件の予兆と、恋の予感。これが宮部みゆきの世界―――。死んだはずの人間が生き返る「死人憑き」が本所深川で起きた。甦った人物が以前より若返っていると感じた「姉妹屋」のお初は、老奉行の御前さまから紹介された与力見習の右京之介と探索を始めた。だがその時、油樽から女の子の遺体が発見される。人は過去にも家族にも縛られる。霊験お初シリーズ第一弾。
(講談社BOOK倶楽部『震える岩 霊験お初捕物控』より)
第8位『おそろし 三島屋変調百物語事始』
- おそろし
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2012年04月
- 発行所:角川書店
- 価格:792円(税込)
- ISBNコード:9784041002810
第9位『黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続』
- 黒武御神火御殿
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2022年06月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:1,100円(税込)
- ISBNコード:9784041120583
第10位『理由』(「直木賞」受賞作)
- 理由 改版
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2014年08月
- 発行所:新潮社
- 価格:1,155円(税込)
- ISBNコード:9784101369235
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか――。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった……。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
(新潮社公式サイト『理由』より)
「宮部みゆき」2024年書籍 ベストセラーランキング第11位~第20位
第11位『桜ほうさら(上・下)』
- 桜ほうさら 上
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2016年01月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:814円(税込)
- ISBNコード:9784569764818
- 桜ほうさら 下
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2016年01月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:814円(税込)
- ISBNコード:9784569764825
父の汚名を晴らすため江戸に住む笙之介の前に、桜の精のような少女が現れ……。人生のせつなさ、長屋の人々の温かさが心に沁みる物語。
(PHP研究所公式サイト『桜ほうさら(上)』より)
第12位『〈完本〉初ものがたり』
- 〈完本〉初ものがたり
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2013年07月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:990円(税込)
- ISBNコード:9784569760568
岡っ引き・茂七親分が、季節を彩る「初もの」が絡んだ難事件に挑む江戸人情捕物話。文庫未収録の3篇にイラスト多数を添えた完全版。
(PHP研究所公式サイト『〈完本〉初ものがたり』より)
第13位『昨日がなければ明日もない』
- 昨日がなければ明日もない
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2021年05月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:902円(税込)
- ISBNコード:9784167916855
「宮部みゆき流ハードボイルド」杉村三郎シリーズ第5弾。
中篇3本からなる本書のテーマは、「杉村vs.“ちょっと困った”女たち」。
自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザーを相手に、杉村が奮闘します。(文藝春秋BOOKS『昨日がなければ明日もない』より)
第14位『地下街の雨』
- 地下街の雨
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:1998年10月
- 発行所:集英社
- 価格:792円(税込)
- ISBNコード:9784087488647
都会の孤独。通り過ぎてしまう愛。でも希望は捨てない。きっとまた輝きの季節はくるのだから…。大都会の片隅で夢を信じて生きる人びとを描く、愛と幻想の作品集。
(集英社公式サイト『地下街の雨』より)
第15位『さよならの儀式』
- さよならの儀式
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2022年10月
- 発行所:河出書房新社
- 価格:858円(税込)
- ISBNコード:9784309419190
親子の救済、老人の覚醒、30年前の自分との出会い、仲良しロボットとの別れ、無差別殺傷事件の真相、別の人生の模索……淡く美しい希望が灯る。宮部みゆきがおくる少し不思議なSF作品集。
(河出書房新社公式サイト『さよならの儀式』より)
第16位『天狗風 霊験お初捕物控』
- 天狗風 新装版
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2014年04月
- 発行所:講談社
- 価格:1,144円(税込)
- ISBNコード:9784062778268
第17位『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』
- あやかし草紙
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2020年06月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:1,056円(税込)
- ISBNコード:9784041089811
第18位『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』
- 青瓜不動
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2023年07月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:2,090円(税込)
- ISBNコード:9784041121603
第19位『魔術はささやく』(「日本推理サスペンス大賞」受賞作)
- 魔術はささやく 改版
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2010年11月
- 発行所:新潮社
- 価格:935円(税込)
- ISBNコード:9784101369112
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた……。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。
(新潮社公式サイト『魔術はささやく』より)
第20位『本所深川ふしぎ草紙』(「吉川英治文学新人賞」)
- 本所深川ふしぎ草紙 改版
- 著者:宮部みゆき
- 発売日:2012年01月
- 発行所:新潮社
- 価格:737円(税込)
- ISBNコード:9784101369150
近江屋藤兵衛が殺された。下手人は藤兵衛と折り合いの悪かった娘のお美津だという噂が流れたが……。幼い頃お美津に受けた恩義を忘れず、ほのかな思いを抱き続けた職人がことの真相を探る「片葉の芦」。お嬢さんの恋愛成就の願掛けに丑三つ参りを命ぜられた奉公人の娘おりんの出会った怪異の顛末「送り提灯」など深川七不思議を題材に下町人情の世界を描く7編。
(新潮社公式サイト『本所深川ふしぎ草紙』より)
著者のプロフィール
宮部みゆき
みやべ・みゆき。1960年、東京生まれ。1987年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。1989年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞を受賞。1993年『火車』で山本周五郎賞を受賞。1997年『蒲生邸事件』で日本SF大賞を受賞。1999年には『理由』で直木賞を受賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、2002年には司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)を受賞。2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞。2022年、菊池寛賞を受賞。
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