「恩田陸」小説 2024年ベストセラーランキング発表
バレエの世界を舞台にした『spring』が、「2025年本屋大賞」にノミネートされている恩田陸さん。
恩田さんは、2005年に『夜のピクニック』で第2回本屋大賞を受賞し、2017年には『蜜蜂と遠雷』で2度目となる第14回本屋大賞を受賞しています。今回ノミネートされている『spring』が受賞となれば、本屋大賞史上初の“3度目の受賞”となり、注目されています。
〉〉「2025年本屋大賞」ノミネート10作品は こちら
恩田さんは1992年に『六番目の小夜子』でデビューし、青春小説、ミステリー、ファンタジー、ホラーなど、多岐にわたるジャンルの作品を発表しています。既存の枠にとらわれない独自の幻想的な世界観は、多くの読者を魅了しています。
また、風景や人々の心情を繊細に描写し、読者に懐かしさを感じさせることから「ノスタルジアの魔術師」とも呼ばれています。その筆致は、まるで過去の記憶を呼び覚ますかのように、読者の心に深く響きます。
今回は、恩田さんの小説で、2024年の販売冊数を集計したベストセラーランキングを発表します。ランキングには、恩田さんの代表作から最新作まで、幅広い作品が名を連ねています。各作品のあらすじもあわせてご紹介しますので、ランキングをご参考に、ぜひ書店店頭でお好みの1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※シリーズ作品は一つにまとめています
※日販調べ
「恩田陸」2024年に一番人気の作品は…?!
恩田陸さんの小説で、2024年に一番人気があった作品は、『灰の劇場』でした。
物語は、大学時代の同級生だった二人の女性が再会し、同居を始めるところから展開します。彼女たちはそれぞれ異なる人生を歩んできましたが、再会を機に過去の出来事や感情が蘇り、現在の生活に影響を与えます。物語が進むにつれて、彼女たちの間に隠された秘密や謎が次第に明らかになり、読者を引き込んでいきます。
本作は、現実とフィクションが巧妙に入り混じり、不穏で不思議な雰囲気が特徴です。日常の中に潜む不穏な要素や、現実と幻想の境界が曖昧になる瞬間を巧みに描いており、恩田さんの独特な世界観を楽しめる作品となっています。
発売日:2024年2月
発行所:河出書房新社
定価:880円(税込)
ISBN:9784309420806
きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。
それは、偶然目にした「三面記事」だった。
一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである。
様々な「なぜ」が「私」の脳裏を駆け巡る。しかし当時、「私」は記事を切り取っておかなかった。
そしてその記事は、「私」の中でずっと「棘」として刺さったままとなっていた。
ある日「私」は、担当編集者から一枚のプリントを渡される。「見つかりました」――彼が差し出してきたのは、一九九四年九月二十五日(朝刊)の新聞記事のコピー。ずっと記憶の中にだけあった記事……記号の二人。
次第に「私の日常」は、二人の女性の「人生」に侵食されていく。(河出書房新社公式サイト『灰の劇場』より)
「恩田陸」小説 2024年ベストセラーランキング
第2位『spring』(「2025年本屋大賞」ノミネート作)
- spring
- 著者:恩田陸
- 発売日:2024年04月
- 発行所:筑摩書房
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784480805164
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
舞踊の「神」を追い求めた一人の天才をめぐる傑作長編小説。(筑摩書房公式サイト『spring』より)
第3位『夜のピクニック』(「本屋大賞」「吉川英治文学新人賞」受賞作)
- 夜のピクニック
- 著者:恩田陸
- 発売日:2006年09月
- 発行所:新潮社
- 価格:880円(税込)
- ISBNコード:9784101234175
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
(新潮社公式サイト『夜のピクニック』より)
第4位『蜜蜂と遠雷(上・下)』(「直木賞」「本屋大賞」受賞作)
- 蜜蜂と遠雷 上
- 著者:恩田陸
- 発売日:2019年04月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:869円(税込)
- ISBNコード:9784344428522
- 蜜蜂と遠雷 下
- 著者:恩田陸
- 発売日:2019年04月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:869円(税込)
- ISBNコード:9784344428539
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。
自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。
かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。
楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。
完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。
天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。
その火蓋が切られた。(幻冬舎公式サイト『蜜蜂と遠雷(上)』より)
■『蜜蜂と遠雷』スピンオフ短編小説集
- 祝祭と予感
- 著者:恩田陸
- 発売日:2022年04月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:627円(税込)
- ISBNコード:9784344431782
第5位『愚かな薔薇(上・下)』
- 愚かな薔薇 上
- 著者:恩田陸
- 発売日:2024年12月
- 発行所:徳間書店
- 価格:869円(税込)
- ISBNコード:9784198949792
- 愚かな薔薇 下
- 著者:恩田陸
- 発売日:2024年12月
- 発行所:徳間書店
- 価格:880円(税込)
- ISBNコード:9784198949808
十四歳の少女、高田奈智は、四年ぶりに磐座の地を訪れた。二カ月の間、磐座城周辺で行われる、あるキャンプに参加することになっている。しかし到着の翌朝、体の変調を感じ、激しく多量に吐血してしまう。そして奈智は、親戚の美影深志や同じキャンプに参加する天知雅樹らから、今回の目的を聞くことになる。
それは、星々の世界―― 外海に旅立つ「虚ろ舟乗り」を育てることであった。(徳間書店公式サイト『愚かな薔薇(上)』より)
第6位『スキマワラシ』
- スキマワラシ
- 著者:恩田陸
- 発売日:2023年03月
- 発行所:集英社
- 価格:1,177円(税込)
- ISBNコード:9784087444957
太郎と散多は古道具店を営む兄弟。ものに触れるとそこに宿る記憶が見えるという散多は、古いタイルからこれまでにないほど強烈なイメージを受ける。そこに映し出されたのは幼い頃に亡くした両親の姿だった。タイルと両親にまつわる謎と、廃ビルで目撃された少女の都市伝説が交差するとき、時を越えた物語の扉が開く。兄弟のひと夏の不思議な冒険を描くファンタジックミステリー長編。
(集英社公式サイト『スキマワラシ』より)
第7位『ユージニア』(「日本推理作家協会賞」受賞作)
- ユージニア
- 著者:恩田陸
- 発売日:2008年08月
- 発行所:角川書店
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784043710027
あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は――。
(KADOKAWA公式サイト『ユージニア』より)
第8位『夜明けの花園』(「理瀬」シリーズ)
- 夜明けの花園
- 著者:恩田陸
- 発売日:2024年01月
- 発行所:講談社
- 価格:1,815円(税込)
- ISBNコード:9784065331392
湿原に浮かぶ檻、と密やかに呼ばれていた全寮制の学園。
ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。
ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、月夜に馳せる聖、そして水野理瀬の現在。
理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。(講談社公式サイト『夜明けの花園』より)
■そのほか「理瀬」シリーズ作品
- 三月は深き紅の淵を
- 著者:恩田陸
- 発売日:2001年07月
- 発行所:講談社
- 価格:880円(税込)
- ISBNコード:9784062648806
- 麦の海に沈む果実
- 著者:恩田陸
- 発売日:2004年01月
- 発行所:講談社
- 価格:990円(税込)
- ISBNコード:9784062739276
- 黒と茶の幻想 上
- 著者:恩田陸
- 発売日:2006年04月
- 発行所:講談社
- 価格:858円(税込)
- ISBNコード:9784062749459
- 黒と茶の幻想 下
- 著者:恩田陸
- 発売日:2006年04月
- 発行所:講談社
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784062753616
- 黄昏の百合の骨
- 著者:恩田陸
- 発売日:2007年04月
- 発行所:講談社
- 価格:913円(税込)
- ISBNコード:9784062756945
- 薔薇のなかの蛇
- 著者:恩田陸
- 発売日:2023年05月
- 発行所:講談社
- 価格:858円(税込)
- ISBNコード:9784065314593
第9位『ドミノ』
- ドミノ
- 著者:恩田陸
- 発売日:2004年01月
- 発行所:角川書店
- 価格:704円(税込)
- ISBNコード:9784043710010
一億の契約書を待つ生保会社のオフィス。下剤を盛られた子役の麻里花。推理力を競う大学生。別れを画策する青年実業家。昼下がりの東京駅、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが倒れてゆく!
(KADOKAWA公式サイト『ドミノ』より)
■『ドミノ』続編
- ドミノin上海
- 著者:恩田陸
- 発売日:2023年02月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:1,056円(税込)
- ISBNコード:9784041133200
第10位『木洩れ日に泳ぐ魚』
- 木洩れ日に泳ぐ魚
- 著者:恩田陸
- 発売日:2010年11月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:704円(税込)
- ISBNコード:9784167729035
アパートの一室で語り合う一組の男女。過去を懐かしむ2人の会話に、意外な真実が混じり始める。心理戦の果てに現れたものとは。
(文藝春秋公式サイト『木洩れ日に泳ぐ魚』より)
著者のプロフィール
恩田陸
おんだ・りく。1964年生まれ、宮城県出身。小説家。1992年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、2006年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『灰の劇場』『薔薇のなかの蛇』『愚かな薔薇』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。
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