2月3日(月)、本屋大賞実行委員会より、22回目となる「2025年本屋大賞」のノミネート10作品が発表されました(関連記事)。
ほんのひきだしでは、これらの中から注目の作品を短期連載形式でご紹介します。多くの書店店頭では、ノミネート作品を集めたフェアを実施していますので、ぜひ、書店店頭に足を運んでこれらの作品を手に取ってみてください。
【Vol.1】朝井リョウ『生殖記』
第1弾は、累計発行部数10万部を突破した、朝井リョウさんのベストセラー作品『生殖記』をご紹介します。
著者にとって『正欲』以来3年半ぶりの新作小説となった本書は、発売前から大注目。2024年10月2日の刊行以降、「語り手の正体が衝撃的!」、「何も知らない状態でよめてよかった」、「えらいものを読んでしまった…」など、SNS上で次々に口コミが寄せられ、話題沸騰。各書店の売上ランキング1位を席巻、増刷を重ね、10万部突破のベストセラー作品となっています。
2024年12月11日には、NHKの番組「おはよう日本」にて、「あらすじ・ジャンル非公表」にもかかわらず異例の反響を呼ぶヒット作として紹介されました。さらに、1月10日に、紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス!2025」で第1位にも選出されています。
特設サイトでは、冒頭試し読み、声優・津田健次郎さんによるナレーションの発売記念TVCM、推薦コメント、書店員から寄せられた熱い感想の数々も公開されています。
著者:朝井リョウ
発売日:2024年10月2日
発行所:小学館
判型:四六判上製・288ページ
定価:1,870円(税込)
ISBN:9784093867306
【あらすじ】
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。(小学館公式サイト『生殖記』より)
「完全に、小説ならではの試み」
【本書のおすすめポイント】~担当編集者より~
人気の小説家というと、短いスパンで作品を出し続ける、という方もいらっしゃいますが、長い時間をかけて、試行錯誤しながら改めて難攻不落の新たな山に登っていくような腹の括り方を感じるような局面が本作には多々ありました。
それでいて、そうした気負いのようなものは感じられず、その語り口はさながら人外のかわいらしい小動物めいたものが語り倒しているような印象を読み手に与えてくれるほどです。
発売前から内容を明かさない施策を展開中のため、その点に関しては言及できませんが、機会があり、本作を読まれたあるベストセラー作家の方が、メールのなかで以下のような内容のことを書かれていたのがものすごく印象に残り、さすがは同じ作家の方ならではの見方だなあ、と感じ入ったので、ここに記させていただきます。
「たぶん、前代未聞の設定であり、それでいて、単に変な設定というところでは終わっていない。小説の書き方や読み方すら変えてしまうことができる、そんなレベルのことをやっているような気がする。漫画や映画では表現できない部分で、完全に、小説ならではの試みだと思う」
著者プロフィール
Ⓒ撮影:川口宗道
朝井リョウ(あさい・りょう)
1989年、岐阜県生まれ。小説家。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
『何者』で第148回直木賞、『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞、『正欲』で第34回柴田錬三郎賞を受賞。最新刊は『生殖記』。その他の著書に『どうしても生きてる』、『死にがいを求めて生きているの』、『スター』など。作家生活15周年となる2025年、日本経済新聞で連載していた長編小説『イン・ザ・メガチャーチ』を刊行予定。
本屋大賞とは
「本屋大賞」は、新刊書の書店(オンライン書店も含みます)で働く書店員の投票で決定するものです。過去1年の間、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票します。
今回で22回目となる本屋大賞ですが、2024年12月1日(日)~2025年1月5日(日)に一次投票が行われ、全国488書店の652人の書店員が投票しました。その集計の結果、上位10作品を「2025年本屋大賞」ノミネート作品として決定。2月3日(月)~3月2日(日)まで二次投票を受け付け、その投票の結果、大賞作が決定されます。大賞は4月9日(水)に発表されます。
2025年本屋大賞のノミネート作品は以下の通りです。
【ノミネート10作品(書名五十音順)】
書 名 | 著 者 | 出版社 |
アルプス席の母 | 早見和真 | 小学館 |
カフネ | 阿部暁子 | 講談社 |
禁忌の子 | 山口未桜 | 東京創元社 |
恋とか愛とかやさしさなら | 一穂ミチ | 小学館 |
小説 | 野﨑まど | 講談社 |
死んだ山田と教室 | 金子玲介 | 講談社 |
spring | 恩田陸 | 筑摩書房 |
生殖記 | 朝井リョウ | 小学館 |
成瀬は信じた道をいく | 宮島未奈 | 新潮社 |
人魚が逃げた | 青山美智子 | PHP研究所 |