人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

  1. HOME
  2. 本と人
  3. ほん
  4. 『「気遣い」のキホン』は「相手への寄り添い」具体的な方策が豊富な古典的一冊!【総合3.7】

『「気遣い」のキホン』は「相手への寄り添い」具体的な方策が豊富な古典的一冊!【総合3.7】

「気遣い」のキホン

仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン
著者:三上ナナエ
発売日:2024年10月
発行所:PHP研究所
価格:880円(税込)
ISBNコード:9784569904450

 

『「気遣い」のキホン』の要点

1.本当の「気遣い」は相手を想像することから始まる。元CAの著者は新人時代、喪服姿の乗客にとっさに笑顔を消した先輩の姿から、挨拶は目的ではなく「気遣い」の手段であることを学んだ。

2.「気遣い」は相手に安心や信頼を与える行動だ。「表情管理」や「お伺いの姿勢」など、少しの工夫で相手に良い印象を与えることができる。

3.言いにくいことを言うときは、自分を主語にした「Iメッセージ」を使うといい。「本題」を「ねぎらい」や「励まし」で挟んで伝える手法も有効だ。

 

『「気遣い」のキホン』レビュー

記者や取材ライターをしていると、仕事が多忙で優秀な人ほど「気遣い」できる人が多いと感じる。誰に対しても温かな挨拶をし、こちらの質問がたとえ拙くても、想像を及ばせて趣旨を的確にとらえたり、真摯に考えたりしてくれる。そんな素敵な対応をされると、こちらもより良い記事を書こうと奮起するものだ。

著者が本書で強調するように、「気遣い」のできる人は周囲に良い影響を伝播する。しかもそれを気負わず自然体でやってのけるから、一層輝いて見える。

そんな「気遣いの達人」になるのは難しく思えるが、元CA(客室乗務員)で人材教育のプロである著者が書いた本書を読むと、少しの心がけや言動の工夫でそこに近づけることに気づく。要約本文でも述べるように、「気遣い」は相手への「思い」を起点とする。本書には好印象を抱かれる会話や所作のコツが多数出てくるが、それはあくまで「相手に寄り添う気持ち」を効果的に伝える手段であることに注意したい。気持ちが伴わなければ自然でなくなり、自他にストレスをかけてしまうのは、著者の経験談でも明らかにされている。

本書は2014年刊行の作品に加筆・修正し、文庫化したものだ。それからコミュニケーションの手段は格段に広がったが、「気遣い」の本質が「相手への寄り添い」である点は変わらない。オンラインのやり取りが増えたからこそ「気遣い」のある言動は対面で際立つだろうし、オンラインでも声や文章に乗せて届けられる。その具体的な方策が豊富に盛り込まれた本書は、時代を経ても古びない「気遣い」の古典と呼べそうだ。

 

『「気遣い」のキホン』が気になる方におすすめ

消耗せずに成果が出る「情報の捨て方」
著者:山本大平
発売日:2024年09月
発行所:三笠書房
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784837940074

 

あわせて読みたい

働き方も生き方も、要らないものを捨ててシンプルに『消耗せずに成果が出る「情報の捨て方」』【総合3.7】