切れ味鋭い「どんでん返し」の連発で百戦錬磨のミステリ読者をも翻弄する人気シリーズ、待望の第3弾が、ついに登場!
2008年に『罪人いずくにか』が第一回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作に選ばれ、翌年『少女たちの羅針盤』で推理作家としてデビューした水生大海はこれまでに30冊以上の著書を刊行しており、その作品には安定感がある。
いつも感心させられるのは、刊行ペースや作品の質もさることながら、手がける内容の幅広さだ。青春ミステリ、ユーモアミステリから、特殊な職業の探偵役を設定したいわゆる「お仕事ミステリ」があるかと思えば、ダークなテイストのサスペンスあり、社会派ありといった具合。
どの作品でもミステリとしての意外性を忘れていないのは頼もしい限り。そんな著者の作品の中でミステリ濃度がもっとも高いものは、小説推理に定期的に発表されている一連の《どんでん返し》シリーズだろう。
既に『最後のページをめくるまで』と『あなたが選ぶ結末は』の2冊が刊行されて双葉文庫にも入っており、今回ご紹介する『その嘘を、なかったことには』は、通算3冊目の単行本ということになる。
滝口が帰宅すると、見知らぬ男がリビングで死んでいた。空き巣が急死したものとして処理されたが、妻はその男と面識があったのではないか? 疑いを抱いた滝口を待つ意外な結末。「妻は嘘をついている」
人気バンドのミュージックビデオに出演したことで、美南はネット上で叩かれ始める。ストーカーの正体は果して誰なのか? 「まだ間にあうならば」
卒業式で誰かが「仕返しをする」という噂が流れ、担任教師の穂高は生徒の過去のトラブルを調べ始めるが……。人間関係の盲点を突く「三年二組パニック」
妊娠中の妻に代わって義母のマンションの遺品整理に立ち会った暉希は、古い手紙の束を発見する。妻の父母がかつて交わした一連の手紙には、恐ろしい真実が隠されていた――。「家族になろう」
キャンプ場で映画を撮影していた大学生のうち、1年生の千鶴が遺体で発見された。これは、事件なのか? 事故なのか? 「あの日、キャンプ場で」
どんなタイプのミステリであっても、何らかの「どんでん返し」は仕掛けられているのだから、あえてそれを前面に出すのは、相当な自信の表れといえるだろう。
パターンを知り尽くしたマニアが充分に警戒しながら読んでも、その予想を超えてくる作品がいくつもあるのだ。読み逃し厳禁のハイレベルな短篇集である。
- その嘘を、なかったことには
- 著者:水生大海
- 発売日:2024年11月
- 発行所:双葉社
- 価格:1,870円(税込)
- ISBNコード:9784575247831
双葉社文芸総合サイト「COLORFUL」にて『その嘘を、なかったことには』の試し読みが公開されています。
『その嘘を、なかったことには』の試し読みはこちら
『小説推理』(双葉社)2025年1月号「BOOK REVIEW 双葉社 注目の新刊」より転載
あわせて読みたい
・どんでん返し5連続!驚きのミステリー短編集!|水生大海『あなたが選ぶ結末は』