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【Vol.1:雨井湖音/谷夏読】編集者が激推し!2025年の注目作家はこの人

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ほんのひきだしでは、この年末年始も8日間にわたり、各出版社の文芸編集者の皆さんが「今、この作家を読んでほしい」とおすすめする、「編集者が激推し!2025年の注目作家はこの人」をお届けします。

ぜひ、気になる作家や作品を見つけて、書店に足を運んでみてください。

 

東京創元社 編集者・神原佳史さんの注目作家は「雨井湖音」「谷夏読」

雨井湖音(あまい・こおと)
1996年宮城県生まれ。宮城県在住。宮城教育大卒。現在、高等支援学校の職員として働く傍ら、ミステリ小説の執筆を行う。『僕たちの青春はちょっとだけ特別』を「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」に投じ、大賞を受賞する。

谷夏読(たに・なっとう)
1984年新潟県生まれ。東京都在住。会社員として働きながら、執筆活動を続けている。『この恋だけは推理(わか)らない』を「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」に投じ、大賞を受賞する。

 

東京創元社とカクヨムでコラボした「学園ミステリ大賞」からデビューするお二人を紹介

カクヨムさんから、弊社とコラボしてミステリの公募の新人賞をやってみたいとオファーをいただいたのは2022年のこと。23年夏に募集開始し367作品の応募がありました。そこから、もう一人の担当と二人でひたすら読んで読んで、間に第34回鮎川哲也賞の選考(受賞作は今話題の山口未桜さんの『禁忌の子』です)も挟んで、読みまくりました。結果的に今年24年の春に大賞2作、優秀賞2作と受賞作を決定できました。

この場をお借りして、12月11日に発売した大賞受賞作のお二人をご紹介いたします。『僕たちの青春はちょっとだけ特別』の雨井湖音さん、そして『この恋だけは推理(わか)らない』の谷夏読さんのお二人です。

雨井さんは、1996年宮城県生まれ。宮城教育大を卒業後に高等支援学校の職員として働きつつ執筆活動を行っています。今回、大賞受賞の『僕たちの青春はちょっとだけ特別』も、仙台市内の高等支援学校を舞台に、彼らの日常と、遭遇した不思議な謎に対峙する姿を描きます。主人公・青崎架月が人生初めてできた対等な友達とちょっとした事件を解決することで、ゆっくりと成長していく姿に胸を打たれます。

主人公に「青崎」の名前を使ってらっしゃることから分かるように、24年にミステリ界を席巻した『地雷グリコ』の青崎有吾さんのファン。また麻耶雄嵩さんの作品もお好きとのことで、お二人の揃った第34回鮎川哲也賞、第2回創元ミステリ短編賞、創元ホラー長編賞の贈呈式の際には、大変緊張されていたのが印象的です。

僕たちの青春はちょっとだけ特別
著者:雨井湖音
発売日:2024年12月
発行所:東京創元社
価格:1,980円(税込)
ISBNコード:9784488029180

一方の谷さんは、1984年新潟県生まれ。会社員の傍ら執筆活動し、今作『この恋だけは推理らない』で見事大賞を受賞されました。本作の『この恋だけは推理らない』は、「恋愛の神様」と呼ばれる男子高校生・岩永朝司と、恋愛小説家である女子高生・小井塚咲那の二人が、相談された恋の悩みを解決していきます。オーソドックスな学園モノと思いきや実は、というストーリー展開に驚かされるはず。咲那の心理描写と博識ぶりを描くシーンの、伸びやかな筆致にご注目いただきたいです。

谷さんは覆面作家として活動されてらっしゃいますので、あまり細かなところはご紹介できないのですが、非常にアイディア豊富で学園モノだけでなく、エンタメ全般の書き手として活躍できそうな幅を持った方です。

この恋だけは推理らない
著者:谷夏読
発売日:2024年12月
発行所:東京創元社
価格:1,980円(税込)
ISBNコード:9784488029173

雨井さん、谷さんお二人の今後のご活躍をぜひご期待ください。

(東京創元社 編集部 編集長 神原佳史)