- SFマンガで倫理学
- 著者:萬屋博喜
- 発売日:2024年05月
- 発行所:さくら舎
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784865814231
『SFマンガで倫理学』の要点
1.倫理とは、何が善くて何が悪いのか決めたり、何が正しくて何が不正であるか決めたりするための基準である。科学技術の分野でもしばしば倫理的問題が生じている。
2.すぐれたSFマンガは現実にはありえない技術や社会環境を描くことで、ふだんはなかなか気づくことができない倫理的問題を鮮やかに描き出し、読者に考えさせる。
3.技術による生命の操作はどこまで許されるのか、なぜ自然を保護しないといけないのか、将来世代に対してどこまで責任を持つべきか。それぞれの作品は、このような難題に向き合っている。
『SFマンガで倫理学』レビュー
なんらかの集団でリーダーを務めるとき、「みんな価値観が違う」ことから発生する問題に必ずぶつかるはずだ。とにかく淡々と、波風を立てずにやっていきたいと考える人もいれば、自分なりの問題意識を持ち、誰かとぶつかってでもひとつのことを成し遂げたいと考える人もいる。
多くの人たちとうまくやっていこうとすれば、この問題を避けて通ることはできない。そのほとんどの背景にあるのは、倫理の問題であろう。
倫理というと難解に聞こえるが、それは何が善くて何が悪いのか、何が正しくて何が不正であるかのルールだ。チームや集団での善悪や正しさについて、意外にもそれほど議論されることはない。たとえば、締め切りの迫った仕事をやり遂げるため、メンバーに徹夜を強いることは悪だろうか。メンバーどうしが恋愛関係になることは不道徳なことだろうか。これらの問題について、誰かの倫理観、マイルールが一方的に押し付けられることも望ましくない。
自分の価値観と異なるルールをなかば強制され、モヤモヤした感覚を抱いた経験のある人も少なくないだろう。倫理学は、そんなあなたの味方になってくれる。
倫理学とは、価値観が多様化したこの時代を生き抜くための教養だ。本書は、『火の鳥』『進撃の巨人』『攻殻機動隊』『寄生獣』『地球へ…』『ハーモニー』といったSFマンガを入り口として、身近な倫理的問題を一緒に考えてくれる。そこから得られる思考は、これから起こりうる難題に立ち向かうための武器となるはずだ。
『SFマンガで倫理学』が気になる方におすすめ
- 世界は「見えない境界線」でできている
- 著者:マキシム・サムソン 染田屋茂 杉田真
- 発売日:2024年06月
- 発行所:かんき出版
- 価格:2,420円(税込)
- ISBNコード:9784761277437