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世界平和のためなら戦隊内での不倫もOK!? レッドとピンクの泥沼の行方は…?『戦隊タブー』

戦隊タブー

怪人と戦ってる場合か?

「お約束」と「お約束」をぶつけるとこんな大変なことになっちゃうのか! 戦隊モノのお約束と不倫のお約束、どっちも大切にしながら無理矢理走り出して地獄に突っ込む男が『戦隊タブー』の主人公“赤間烈央(アカマ・レオ)”だ。この氏名のとおり、戦隊モノの「レッド担当」で、“結束戦隊クロスレンジャー”のリーダー的存在。

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クロスレンジャーの5人の戦士たちは、世界の平和を守るため、“怪人結社エンドレス”と戦いを繰り広げている……のだが、最近ちょっと気になることが。

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冷静沈着なクロスブルー・“青重息吹(アオシゲ・イブキ)”の分析によると怪人を仕留め損ねているのだという。ダメじゃん!

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脳天気そう&ナルシストのクロスイエロー・“黄美宮光輝(キミミヤ・コウキ)”の隣で涙目のクロスグリーン・“葉向井心晴(ハムカイ・ココハ)”。そしてムードメーカーのクロスピンク・“園田桃(ソノダ・モモ)”がみんなの気持ちを盛り上げる。うん、お約束通りの世界だ。

このクロスレンジャーのスランプは、“ある人物”がきっかけだった。

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これまた戦隊モノには必ずいてほしい指揮官&博士キャラの“玄野茂(クロノ・シゲル)”は烈央にだけその事実を伝える。

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ピンクをどうにかしろ、ということらしい。よくわからないまま「俺がなんとかします!」と安請け合いする烈央。語尾の「!」の多さや、よく言えば熱い、悪く言えば先走りキャラな烈央は、実に戦隊もののレッドらしい。

烈央は桃と二人きりで話をすることに。この辺りからだんだん戦隊モノの世界からはみ出ていく。まず現れた桃の姿はというと、

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張り切っちゃったらしい。烈央は「情熱大陸」とプリントされた普段着と思しきTシャツ(制服のように毎日着ている)なのに!

で、普段着姿でぷらーっと新宿で待ち合わせる烈央は、静かに話せるお店をちゃんと予約しているような男ではない。でもここは新宿。安居酒屋でも個室を多数用意している謎の街だ。ということで烈央と桃はチェーン店の居酒屋の個室にイン。

乾杯もそこそこに「悩みでもあるの? お前のエネルギーが足りなくて怪人に勝てないんだ」と本題をぶつける烈央。すると桃は「ごめん、もう大丈夫」と言いつつ、次の瞬間にはこれである。

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想像通りの「なんでもないの」「待ってくれ、俺を頼ってくれ!」の押し問答が始まる。そしてこの想像は、戦隊モノのお約束ではなく、道ならぬ恋のお約束によるものだ。

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思わず自分の気持ちをぶつけてしまう桃と、あっけにとられる烈央。とことん鈍い男だが、戦隊モノの世界にすっぽり包まれて生きてきたのだから無理はないのかもしれない。

でも烈央は「ダメだよ!」と戦隊モノのレッドらしく桃を突き放さない。

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このまま放っておいたって桃は大丈夫ではなく、クロスレンジャーのパワーだって元に戻らないだろう。それだけは避けたい。怪人を滅ぼすことが烈央の使命だから……!

こうして烈央と桃はアッサリ一線を越えてしまう。

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「吹っ切れた“かも”」と桃は言っているけれど、大丈夫かな~? そして「これでいいんだ、これしかない」と繰り返し自分に言い聞かせる烈央が向かった先は、

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妻と子どもが待つ家だった。桃との情事のことなど一切匂わせない烈央! すべては正義のため、怪人を滅ぼすために必要なことをやっただけ。だから罪悪感よりも使命感が勝ってしまっている。だんだん「情熱大陸」のTシャツがギャグではなく不気味に見えてくるよ。

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しかも妻は元クロスピンク! 桃とポジションが同じ! こんなのレッドじゃないよ~。

 

ドロ沼が始まる

桃と禁断の一夜のあとも、烈央の目的は一切ブレない。

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「正義」を執行することで頭がいっぱい。

そして桃はといえば、正義ではなく烈央で頭がいっぱいのまま。あの夜以来、ますます烈央が気になってしょうがないし「吹っ切れる」なんて口では言ってみたものの、当然吹っ切れない。

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嫉妬でドロドロ!

こうして結束戦隊クロスレンジャーのパワーは再び乱れ始め、絶体絶命のピンチが訪れる。

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どうする!

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桃との関係も続けながら、よき夫よきパパでいることを選んだ烈央。器用だ。

烈央は正義を大事にすればするほど道を踏み外していく。そんな正義の味方ってありかよと思うが、烈央の中では、何ら矛盾がないのだ。

戦隊タブー

正義に取り憑かれた烈央の外道っぷりは、やがてレッドとピンクとのタブーを越え、他のメンバーにも波及していく。ただの戦隊もの&不倫ものかなと思っていたら派手に裏切られるので要注意だ。

(レビュアー:花森リド)

戦隊タブー 1
著者:TK2 エド・バルスト
発売日:2024年08月
発行所:講談社
価格:759円(税込)
ISBNコード:9784065364857

※本記事は、講談社コミックプラスに2024年8月31日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。