「中山七里」2023年書籍(小説)ベストセラーランキング発表
2010年に『さよならドビュッシー』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、同作で作家デビューした中山七里さん。その際、受賞作とともに「災厄の季節」(のちに『連続殺人鬼カエル男』として刊行)も同賞で初めてダブルノミネートされ、話題となりました。
48歳での小説家デビューを果たした後は、デビュー作をはじめとする音楽を題材にした岬洋介シリーズのほか、警察小説や法廷もの、法医学や時事問題を扱った社会派小説まで、作品のテーマは多岐にわたります。ブラックユーモアやシニカルな主人公などその語り口も魅力で、最後まで一気読みしたくなる読みやすさにも定評があります。2020年にはデビュー10周年を記念して新作単行本12か月連続刊行という驚異の企画を実施したことからもわかる通り、精力的に作品を生み出し続け、今回のランキングでも多くの人気シリーズがランクインしています。
物語の終盤には、読み手を欺く鮮やかなどんでん返しが仕掛けられ、「どんでん返しの帝王」とも呼ばれている中山さん。多くの作品が映像化され、現在はTVドラマ「嗤う淑女」がフジテレビ系列にて放送中です。また、8月5日(月)に発売された『境界線』が週間文庫ランキング(日販調べ)に2週連続ランクイン。本作は、佐藤健さん主演で映画化された『護られなかった者たちへ』に続く「宮城県警シリーズ」第2弾で、戸籍売買の闇を描く社会派ミステリーです。
今回は、中山さんの書籍(小説)で、2023年の販売冊数を集計したベストセラーランキングをご紹介します。ランキングをご参考に、ぜひ書店店頭でお好みの1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2023年の販売冊数を集計しています(集計期間:2023/1/1~2023/12/31)
※日販調べ
2023年に一番人気の作品は…?!
中山七里さんの書籍で、2023年に一番人気があった作品は、『隣はシリアルキラー』でした。
本作の主人公・神足の悩みは、深夜になると隣室から何かを切断するような不気味な物音が聞こえてくること。やがて、近隣で女性と思われる死体の一部が発見されることにより、神足は、連続バラバラ殺人事件の犯人は隣人なのではという疑いを持ちます。ある日の深夜、隣室から何かを梱包するような音と外出する音が聞こえたため、神足はその人物のあとをつけるのですが――。
「ぎりっ、ぎりっ。ぐし、ぐし。ざああああっ──」といった不穏な音をはじめ、五感を刺激する表現に思わず震え上がってしまう、暑い夏にぴったりのホラーミステリーです。もちろん、中山さんならではの大どんでん返しも冴えわたっています。
『隣はシリアルキラー』
著者:中山七里
発売日:2023年4月
発行所:集英社
定価:880円(税込)
ISBN:9784087445145
ぎりっ、ぎりっ。ぐし、ぐし。ざああああっ──。深夜2:20、神足友哉は、今日もアパートの隣室から聞こえてくる不気味な物音で起こされた。ふと、隣人の徐浩然が死体を解体する姿を妄想するが、近所で遺体の一部が発見されたことで現実味を帯びる。気になった彼は、真夜中に部屋から出た徐を尾行すると、想像を絶する恐ろしい展開に。五感から震え上がるような体験を提供するホラーミステリー。
(集英社公式サイト『隣はシリアルキラー』より)
「中山七里」2023年書籍(小説)ベストセラーランキング第2位~第10位
第2位『復讐の協奏曲』
- 復讐の協奏曲
- 著者:中山七里
- 発売日:2023年02月
- 発行所:講談社
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784065299562
私の仕事は無罪にすることで、
真相を明らかにすることではない。
30年前に少女を惨殺した過去を持つ弁護士・御子柴礼司。
事務所に〈この国のジャスティス〉と名乗る者の呼びかけに応じた800人以上からの懲戒請求書が届く。
処理に忙殺されるなか、事務員の洋子は、外資系コンサルタント・知原と夕食をともにした。がしかし、
翌朝、知原は遺体で見つかり、凶器に残った指紋から洋子が殺人容疑で逮捕された。
洋子の弁護を引き受けた御子柴は、洋子がみずからと同じ地域出身であることを知り……。
一度心に巣くった獣は、簡単に消えはしない――
めぐる因縁そして〈復讐〉の結末は!?(講談社BOOK倶楽部『復讐の協奏曲』より)
■「御子柴弁護士」シリーズ作品
- 贖罪の奏鳴曲
- 著者:中山七里
- 発売日:2013年11月
- 発行所:講談社
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784062776660
ほか、『追憶の夜想曲』『恩讐の鎮魂曲』『悪徳の輪舞曲』『殺戮の狂詩曲』の第6作まで発売中。
第3位『ヒポクラテスの悔恨』
- ヒポクラテスの悔恨
- 著者:中山七里
- 発売日:2023年06月
- 発行所:祥伝社
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784396348892
これから一人だけ誰かを殺す。
自然死にしか見えないかたちで――。斯界の権威・光崎に宛てた犯行予告。
悪意に潜む"因縁"とは!?死者の声なき声を聞く法医学ミステリー
「ヒポクラテス」シリーズ 慟哭の第四弾!(祥伝社 中山七里『ヒポクラテスの誓い』シリーズ公式サイト『ヒポクラテスの悔恨』より)
■「ヒポクラテスの誓い」シリーズ作品
- ヒポクラテスの誓い
- 著者:中山七里
- 発売日:2016年06月
- 発行所:祥伝社
- 価格:737円(税込)
- ISBNコード:9784396342104
ほか、『ヒポクラテスの憂鬱』『ヒポクラテスの試練』『ヒポクラテスの悲嘆』の第5作まで発売中。
第4位『ラスプーチンの庭』
- ラスプーチンの庭
- 著者:中山七里
- 発売日:2023年08月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:814円(税込)
- ISBNコード:9784041135679
警視庁捜査一課の犬養隼人は、娘の入院仲間だった少年の告別式に参列することに。自宅療養に切り替えた彼の遺体は奇妙な痣だらけだったが、両親は心当たりがないという。さらに翌月、同じような痣のある自殺死体が発見される。検視の結果いずれも事件性なしと判断されたが、納得できない犬養が独自に捜査を進めると、謎の医療団体に行き当たり……。
これはカルトか、民間医療か。大人気社会派警察医療ミステリ第6弾!(KADOKAWA公式サイト『ラスプーチンの庭 刑事犬養隼人』より)
■「刑事犬養隼人」シリーズ作品
- 切り裂きジャックの告白
- 著者:中山七里
- 発売日:2014年12月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:704円(税込)
- ISBNコード:9784041020517
ほか、『七色の毒』『ハーメルンの誘拐魔』『ドクター・デスの遺産』『カインの傲慢』『ドクター・デスの再臨』の第7作まで発売中。
第5位『おわかれはモーツァルト』
- おわかれはモーツァルト
- 著者:中山七里
- 発売日:2023年12月
- 発行所:宝島社
- 価格:790円(税込)
- ISBNコード:9784299049117
盲目ながらショパン・コンクールで2位に入賞したピアニストの榊場隆平は、クラシック界の話題を独占し人気を集めていた。しかし、「榊場の盲目は芝居ではないか」と絡んでいたフリーライターが銃殺され、榊場は一転犯人として疑われることに。そんな彼のもとに、榊場と同様、ショパン・コンクールのファイナルに名を連ねたあの男が友の窮地を救うためにやって来て……。
事件は深夜、照明の落ちた室内で起きた。そんな状況下で殺人ができるのは、容疑者のうち、生来暗闇の中で暮らしてきた榊場だけだと警察は疑う。窮地に追いやられた榊場だったが、そんな彼のもとに、榊場と同様ショパン・コンクールのファイナルに名を連ねた岬洋介が駆けつける――! 『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。
(宝島社公式サイト『おわかれはモーツァルト』より)
■「岬洋介」シリーズ作品
- さよならドビュッシー
- 著者:中山七里
- 発売日:2011年01月
- 発行所:宝島社
- 価格:618円(税込)
- ISBNコード:9784796679923
ほか、『おやすみラフマニノフ』『いつまでもショパン』『どこかでベートーヴェン』『もういちどベートーヴェン』『合唱 岬洋介の帰還』『いまこそガーシュウィン』の第8作まで発売中。
第6位『死にゆく者の祈り』
- 死にゆく者の祈り
- 著者:中山七里
- 発売日:2022年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:781円(税込)
- ISBNコード:9784101209623
何故、お前が死刑囚に。教誨師の高輪顕真が拘置所で出会った男、関根要一。かつて、雪山で遭難した彼を命懸けで救ってくれた友だ。本当に彼が殺人を犯したのか。調べるほど浮かび上がる不可解な謎。無実の罪で絞首台に向かう友が、護りたいものとは――。無情にも迫る死刑執行の刻、教誨師の執念は友の魂を救えるか。急転直下の“大どんでん返し”に驚愕必至。究極のタイムリミット・サスペンス。
(新潮社公式サイト『死にゆく者の祈り』より)
第7位『銀齢探偵社』
- 銀齢探偵社
- 著者:中山七里
- 発売日:2023年10月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:825円(税込)
- ISBNコード:9784167921095
元裁判官の静おばあちゃん(80歳)✕車椅子の破天荒じいさんの玄太郎(70歳)。老老コンビが活躍する痛快事件簿第2弾!
性格真反対ゆえ、日本一そりが合わない静と玄太郎。しかし、不可解な事件が起きるやいなや、最強の名探偵コンビに変身、事件解決に奔走(暴走)するトリック駆使の大人気シリーズ。
癇癪を起こし続けてきた車椅子の暴走老人・玄太郎。「あまりカッカすると、寿命が縮まりますよ」という言葉通り、入院する事態に……。その上、静の裁判官時代の同僚らが次々と謎の不審死を遂げる。
敵の次なる標的は静なのか?「悪意」の正体を暴くため、真相を追及する老老コンビのノンストップミステリー!(文藝春秋BOOKS『銀齢探偵社』より)
■「静おばあちゃんと要介護探偵」シリーズ作品
- 静おばあちゃんと要介護探偵
- 著者:中山七里
- 発売日:2021年02月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:803円(税込)
- ISBNコード:9784167916398
第8位『作家刑事毒島』
- 作家刑事毒島
- 著者:中山七里
- 発売日:2018年10月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:715円(税込)
- ISBNコード:9784344427952
編集者の刺殺死体が発見された。作家志望者が容疑者に浮上するも捜査は難航。新人刑事・明日香の前に現れた助っ人は人気作家兼刑事技能指導員の毒島真理。痛快・ノンストップミステリ!
(幻冬舎公式サイト『作家刑事毒島』より)
第9位『毒島刑事最後の事件』
- 毒島刑事最後の事件
- 著者:中山七里
- 発売日:2022年10月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:781円(税込)
- ISBNコード:9784344432369
皇居周辺で二人の男が射殺された。世間が〈大手町のテロリスト〉と騒ぐ中、警視庁一の検挙率を誇る毒島は殺人犯を嘲笑。犯罪者を毒舌で追い詰めることが生きがいの彼は「チンケな犯人」と挑発し、頭脳戦を仕掛ける――。出版社の連続爆破、女性を狙った硫酸攻撃。事件の裏に潜む〈教授〉とは何者なのか? 人間の罪と業を暴く、痛快ミステリ!
(幻冬舎公式サイト『毒島刑事最後の事件』より)
■「作家刑事毒島」シリーズ作品
- 作家刑事毒島の嘲笑
- 著者:中山七里
- 発売日:2022年07月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784344039872
第10位『月光のスティグマ』
- 月光のスティグマ
- 著者:中山七里
- 発売日:2017年07月
- 発行所:新潮社
- 価格:825円(税込)
- ISBNコード:9784101209616
幼馴染の美人双子、優衣(ゆい)と麻衣(まい)。僕達は三人で一つだった。あの夜、どちらかが兄を殺すまでは――。十五年後、特捜検事となった淳平は優衣と再会を果たすが、蠱惑(こわく)的な政治家秘書へと羽化した彼女は幾多の疑惑に塗(まみ)れていた。騙し、傷つけ合いながらも愛欲に溺れる二人が熱砂の国に囚われるとき、あまりにも悲しい真実が明らかになる。運命の雪崩に窒息する! 激愛サバイバル・サスペンス。
(新潮社公式サイト『月光のスティグマ』より)
著者のプロフィール
中山七里
なかやま・しちり。1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて宝島社「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年に同作で作家デビュー。音楽を題材にした岬洋介シリーズのほか、時事問題をテーマとした社会派小説まで幅広くてがける。『連続殺人鬼カエル男』『アポロンの嘲笑』『TAS 特別師弟捜査員』『護られなかった者たちへ』『カインの傲慢』『ヒポクラテスの試練』『毒島刑事最後の事件』『テロリストの家』など著書多数。
「作家刑事毒島」シリーズ第4弾『作家刑事毒島の暴言』が9月19日(木)に発売!
本ランキングの8位と9位にランクインしている「作家刑事毒島」シリーズの最新刊『作家刑事毒島の暴言』が、9月19日(木)に発売されます。本作の舞台はなんと小説教室で、新人賞を獲ったばかりの作家の卵が殺された事件に、若手刑事の高千穂と作家兼業の名物刑事・毒島が挑みます。小説好きは閲覧注意の「どこまで本当?」な、文壇の闇を詰め込んだシリーズ最新作です。発売をお楽しみに!
- 作家刑事毒島の暴言
- 著者:中山七里
- 発売日:2024年09月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:1,870円(税込)
- ISBNコード:9784344043510
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