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『マーメイド♡プリンス』おげれつたなかさんインタビュー:私にとってBLは「人生」 溢れる“BL愛”について語り尽くす!

9月30日(月)より順次、全国約600書店にて配布が開始されたBLコミックガイド「B+LIBRARY(ビープラスライブラリー) vol.16」。

vol.16の表紙は、8月に発売されたおげれつたなかさんの新刊『マーメイド♡プリンス』が飾りました!

今回は特集としておげれつたなかさんのこれまでの作品を紹介するとともに、BLへの想いや『マーメイド♡プリンス』の創作秘話などについて、インタビューを実施しました。

マーメイド・プリンス 1
著者:おげれつたなか
発売日:2024年08月
発行所:新書館
価格:847円(税込)
ISBNコード:9784403669422

おげれつたなか
2014年に『恋とはバカであることだ』(リブレ)で商業デビュー。繊細かつ美麗な絵柄で、コメディからシリアスまで多様なストーリーを描き、読む者を飽きさせない。2018年にアニメ化された『ヤリチン☆ビッチ部』(幻冬舎コミックス)をはじめ、多くの作品がメディア化されている。2024年8月には新書館から新刊『マーメイド♡プリンス』が発売された。

「男同士の友情」って最高! BLに出会ったきっかけとは?

――BL作品を描き始めたのはいつごろですか?

自分で描き始めたのは恐らく高校生の頃だと思います。まだノートにえんぴつで、アナログで描いていました。

――もともと漫画はお好きでしたか? 漫画に限らずお好きなものや、創作に影響を与えていると思うものについてお聞かせください。

私は物心がついた時からオタクでして、恐らく幼稚園前の頃から既にアニメや絵が好きだったと家族からも聞いています。実家には両親が集めた漫画もたくさんあり、幼少期より触れる機会が多かったのも漫画を描くことに繋がったと思います。

最初に読んだBL(と言ってもいいのか……ですが分かりやすく……)コミックは竹宮恵子さんの『風と木の詩』でした。この作品を読んで「男の子同士って最高……」という気持ちを具現化できたというか、ずっと女の子キャラクターより男の子キャラクター、または男女の恋愛ストーリーの隙間に描かれる男同士の友情などに熱くなっており、この世界を突き詰めたものはないのか!?と思っていた矢先の出会いでした。

風と木の詩 第1巻
著者:竹宮恵子
発売日:1995年03月
発行所:白泉社
価格:713円(税込)
ISBNコード:9784592881513

――2014年発売の『恋とはバカであることだ』(リブレ)で商業BLコミックデビューをされていらっしゃいますが、商業BL作家としてデビューするに至った経緯をお聞かせください。またそのときの心境もお聞かせください。

二次創作で同人誌を描いていまして、同人誌を読んだリブレの担当さんにスカウトしていただきました。元々商業BLが大好きでずっと読んでいて、アニメイトや本屋さんに行くたびに並んでいるBLコミックの中に自分の漫画があったら~……など夢妄想をしていたので、実現するかもしれない!?と心躍りました!

恋とはバカであることだ
著者:おげれつたなか
発売日:2014年06月
発行所:リブレ
価格:692円(税込)
ISBNコード:9784799714973

――現在活躍されている多くのBL作家の中で、おげれつたなか先生は一度聞いたら忘れられない、非常にインパクトのあるペンネームでご活動されていますが、もし差し支えなければ「おげれつたなか」というペンネームの由来についてお聞かせください。

元々「おげれつ」というサークルで「たなか」として活動していたのですが、「おげれつ」という単語は友人がツッコミで「うわ! おげれつ!」と言っていて、その時はまだ意味を知らなかったのですが語呂が良いのでサークル名にしちゃおう!と軽い気持ちでつけました。デビューの際、私はかわいい名前がよくて、「マカロンたなか」とかふわふわネームに憧れていました。しかし、担当さんに熱く「おげれつたなか」でいきましょう!と説得され、デビュー予告におげれつたなかと載ってしまったので、まぁいいか……とこれまた軽い気持ちでOKしたのですが、今となってはどこに行っても恥ずかしくて気軽に名乗れないので苦労しています(笑)。

 

こだわりは……受けと攻めの体格差!

――作品を描くにあたり、大切にされていることはなんでしょうか。

作品によって違いますが、共通しているのは「自分が納得できるものを描く」ということです。あとは「分かりやすいこと」です。

――キャラクターを描くにあたって「ここは外せない!」というこだわりポイントはありますか?

私自身気づいていなかったというか、友人に言われて初めて気づいたのですが、受けと攻めの体格差……のようです。確かに、受けは細身で攻めは体が大きいかもしれない……と気づきました。きっと外せないポイントなのだと思います!

――原稿作業中に欠かせないもの(お菓子や飲み物、音楽など)はありますか?

コーヒー牛乳を必ず飲んでいます! あとはYouTubeやお気に入りの映画やアニメを見ながら作業しています。

――原稿作業の気分転換にされていること(ストレッチや映画鑑賞、ゲームなど)はありますか?

気分転換はお昼寝をする!です。色々ストレッチなどしてみましたがこれが一番な気がします……。集中力がない時って、大体眠い……(笑)。

 

大注目の「人魚BL」、今後は○○なシーンも!?

――2024年8月1日に発売された新刊『マーメイド♡プリンス』について、本作を描くことになった経緯についてお聞かせください。

ずっと昔からディズニーのアリエルが大好きで、それと同時に人魚が大好きでした。漫画やアニメの中で好きなキャラクターができると必ず人魚化の妄想をしたり、人魚について調べたりしていました。ずっとずっと描きたいと思っていたテーマで執筆中だった作品も最終回を迎えて、今しかない!と思い、新書館様にご相談をしました。

――『マーメイド♡プリンス』の中で、特に思い入れのあるシーン・キャラクター・セリフについてお聞かせください。

第1巻の中では、主人公の真海と、人魚の洋が学校のプールで泳ぐシーンです。大変でしたがすごく楽しく描くことができました。

――コミカル、あまあま、シリアス……と、幅広いジャンルで多くのBLファンの心を掴んでいるおげれつたなか先生ですが、『マーメイド♡プリンス』では真海と汐音(真海のもとに押しかけてきた人魚)のドタバタギャグから、浬(真海の友人)の切ない片思いの心中まで、さまざまなシーンが出てきます。このように1つの作品の中でまったく異なるテイストを描き分けるにあたり、意識していることはありますか?

基本的にラブコメを描くのが好きなのですが、作品全体の温度感には気をつけよう……と最近になってやっと思っています……(笑)。『マーメイド♡プリンス』はハーレムラブコメなので、重すぎる設定などは、あっても出す時には重々しく描きすぎないなど……。逆に暗い雰囲気でリアリティのあるような漫画では、非現実すぎるようなことは描かない、ギャグシーンも会話の中でする、などです。

――『マーメイド♡プリンス』では、真海が浬や人魚たちと関係性を少しずつ深めていく過程が描かれていますが、このように複数の関係性が同時並行的に展開していくストーリーを描くにあたって、工夫されていることや意識されていることはありますか?

本来BLって2人の物語という場合が多く、(攻めが)誰とでもエッチしちゃうぞ~、みたいなのはあまり私自身が納得できない要素ではあったので……。しかしながら、せっかく受けがたくさん出せるのだから、全員とエッチなことができる可能性を出したい!と思った時に子づくり1億という設定にしたことを工夫(!?)しました。

――『マーメイド♡プリンス』は架空の人魚伝説が題材になっていますが、創作においてファンタジージャンルならではの楽しさや難しさはどこにありますか? また「人魚」という特殊なキャラクターをつくる際に、こだわっていることや意識していることがあればお聞かせください。

設定に矛盾がないかなどは難しいですが、自分の思い描いた最高の人魚さんを描けるのがすごく楽しいです。人魚といってもこの作品では、みんな「陸に上がれる」という進化を遂げているのですが、やはりまだ人間の足に慣れないキャラもいたり、人間の娯楽に染まり切った人魚もいたりと、人魚同士でも個性や考え方にかなり違いがある所を意識しています。

――多くのキャラクターたちが登場し、真海の行く末からますます目が離せない『マーメイド♡プリンス』ですが、「こういうキャラクターを新しく登場させてみたい」や「このキャラクター同士の関係性を掘り下げたい」など、現時点で考えていらっしゃる今後のストーリー展開について可能な範囲でお聞かせください。

キャラクターはほぼ全員登場済みなのですが、まだ多く秘密があったり目的があったりするのでそれを早く描きたいです……! キャラクター同士だと、洋と汐音は気が合うので、もっと仲良くさせていきたいです。

そして皆様が気になっていただ(けていると嬉しいのですが)いている、人魚姿のラブシーンも……あります!

 

次に挑戦してみたいのは「ホラーBL」!

――ご自身にとっての「BL」の魅力や想いをお聞かせください。
また、これから描いてみたいジャンルや、BLに限らず今後挑戦してみたいことはありますか?

私にとってBLは人生で、読んだ時に胸が苦しくなって走り出したくなるような感覚「萌え」を一番与えてくれます。BLを読む、描くことで生を実感します!  BLを知らなかったらこんな衝動やときめきを味わうことはできなかっただろうと思うほど、私にとって大事で、楽しくてしょうがないものです! 一体BLの何がここまでの感動をくれるのか……その正体を掴むべくこれからもどんどんたくさんBLを読み描いていきたいです!

これから挑戦したいのはズバリ、ホラーBLです!!

――最後に「B+LIBRARY」読者へのメッセージをお願いします!

ここまでインタビューを読んでいただきありがとうございました!

どの質問もお答えするのが楽しく、貴重な機会を下さり感謝感激です。今後とも精進して参りますのでよろしくお願いします!
本当にありがとうございました!

 

「B+LIBRARY」について
「B+LIBRARY」は、キャラ属性や萌え度、ジャンルといった切り口から好きなBLコミックを探すことのできるガイドブック。BLポータルサイト「ちるちる」に投稿された10万件以上のレビューや、BLコンテンツを扱うサイトで収集されたデータをもとに作品を厳選し、「スパダリ攻め」「メガネ受け」といった設定別で掲載。「好きなジャンル」「好きな作家」「絵柄」などさまざまな切り口で作品を選ぶことができるので、新たなBLコミックと出合ったり、見逃していた作品を見つけたりするのに役立ちます。

》「B+LIBRARY」vol.16についてはこちら ※後日リンク挿入

》「B+LIBRARY」vol.16配布店舗はこちら ※後日リンク挿入

 

「B+LIBRARY」に関するお問い合わせ

日販 プラットフォーム創造事業本部 IPソリューションチーム
[E-mail]bpluslibrary@nippan.co.jp