- なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか
- 著者:古屋星斗
- 発売日:2023年11月
- 発行所:日経BP
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784296115037
『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』の要点
1.「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないか」という「キャリア不安」を抱いた若者たちは、成長実感の得にくい「ゆるい職場」を去るという選択をすることもある。
2.若手が成長し活躍できる職場をつくるためには、「心理的安全性」と「キャリア安全性」という2つの要素に注目するとよい。
3.調査からは「社外活動をしている若手は、自分の会社が好き」という傾向が見られた。優秀な人材は、無理に囲い込むのではなく、積極的に社外活動をさせるべきだ。
『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』レビュー
自分が成果を出すより、メンバーの能力を引き出し、成果を出させるほうがずっと難しい。それも相手が「最近の若者」であればなおさらだ。いくらこちらが心を砕いても、突然「転職します」と言ってくるのだから――。そんなふうに感じている人に、本書を勧めたい。
著者の古屋星斗氏は、次世代社会のキャリア形成の研究者だ。前著『ゆるい職場』では、職場を「ゆるい」と感じている新入社員の離職傾向が強いことや現代の若者の転職が「不満型転職」から「不安型転職」にシフトしていることを指摘し、読者を驚かせた。本書ではさらに一歩踏み込み、若手が活躍できる職場に必要な「キャリア安全性」の考え方や、「育て方改革」を進める際のポイント、「優秀な人材ほど辞める」への対応策などを提示している。
要約者にとって特に印象的だったのは、本人の合理性を超えた機会を提供せよというアドバイスだ。本人の希望に沿ったキャリアパスを用意するだけでは、その人が想像する以上の機会や経験は得られない。上司側が若手に対して「上司に指示されたから」「会社の研修項目に入っているから」といった「言い訳」を与え、あえて本人の希望から少し外れた機会を提供することで、Z世代の若手が重視する「成長実感」が得られて、優秀な人材の離職を防げる可能性があるという。
本書を読めば、人材育成や若手とのコミュニケーションにおけるモヤモヤが晴れるだろう。若手の育成に悩むリーダー層・人事担当者にぜひ手に取ってほしい。
『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』が気になる方におすすめ
- ゆるい職場
- 著者:古屋星斗
- 発売日:2022年12月
- 発行所:中央公論新社
- 価格:990円(税込)
- ISBNコード:9784121507815