出会わないはずの二人のラブストーリー
新しい出会いのチャンスは意外と身近にあるものだと気づくか、気づかないか……。それって、運命を変える大きな違いです。いつもの行動範囲から一歩出るだけで、今まで出会えなかったタイプの人との縁が生まれることもあるのです。
高校2年のギャル・福本茉白は、勉強が超苦手で成績はイマイチ。親に言われて予備校に通うことになりました。しかし茉白は気づいてしまうのです。予備校って、身近にはいないタイプの「他校のイケメンと出会える最高な場所」だということに……!
正直、勉強はイヤ。だけど、イケメンとの出会いを思えば頑張れる! 今日も可愛く髪を巻いて予備校に向かいます。
そこで出会うのは、学力だけでなく顔面偏差値も高い「きっぺー」。
『ギャルと高偏差値男子が予備校で恋する話』は、勉強が苦手なギャルと秀才、出会わないはずの二人の間に生まれる、思わずきゅんとする化学反応を味わうラブストーリーです!
とにかくかわいいんだ
この漫画を読んで、私がまずグッときたのは主人公の茉白の可愛さ。ギャルらしい見た目の可愛さはもちろんだけど、中身もとにかく素直で可愛い! 自分がラス1を買ったルーズリーフも、困っている男子がいたら気前良く分けてあげちゃいます。
困っている人にサッと手を差し伸べられる優しさといい、照れずに声をかけられるオープンさといい、本当にいい子……!
茉白のルーズリーフを譲り受けたのは、同じ予備校の「きっぺー」こと五十嵐桔平。勉強が苦手な茉白と対照的に、模試の成績が(ということは全国)トップ100に入る秀才です。そして、顔もカッコいい(茉白に言わせれば「つよい」)んです!
同じ予備校とはいえ、話したこともない茉白を髪色で見分けたきっぺーが「お返し」と持ってきたのは文具セット。
「お返し」といえばお菓子やジュースだった茉白にとっては、すごく新鮮な反応です。日を改めても、話したことをちゃんと覚えていてくれたきっぺーに感激した茉白は……。
塾ライフで最高レベルのドキドキを覚えます。
しかし、また別のある日、自習室で見かけたきっぺーが、すぐそばにいる茉白に声をかけてくれない日は「きっぺーはきちんと勉強してんのに、うちだけがこんなドキドキして……」と、自分の不純な動機をちょっと反省するのです。
茉白のこんな素直さ、表情の豊かさ、思ったことがすぐ顔に出るところ……。とにかくかわいくて、応援したくなります。
天然で、これ?
茉白と一緒にドキドキしてしまうのが、きっぺーの“天然”ぶり!
見た目からして黒髪塩顔ノーメイク(メンズメイクが流行るなか、これは貴重!)なイケメンですが、ストレートで予測不能な言動がたまりません。こんな風にサラッと茉白をドキドキさせることもあれば、茉白が「モチベをアゲる」ためにデコったノートには、素朴な(?)疑問を投げかけます。
またあるときは、きっぺーと友達になれてよかった!と喜ぶ茉白の気持ちがスッと冷え込むような一言を発することも。
しかしこの「友達なの?」は、(違うよね)と突き放しているわけではないのです。
きっぺーもまた未知の存在・茉白に関心を持ち、距離感を測っていたようです。そしてこのストレートなフォローの早さもいい!
そして、成績のいい人にはおそらくない発想であろう、「参考書のパケ買い」。
この笑顔も十分な破壊力ですが、続く「パケ買いとかしたことない」きっぺーの、「やめなよ」でも「こっちのほうがいいよ」でもない反応に撃ち抜かれるのは、きっと茉白だけではないはず。
ギャルと秀才の化学反応
ドキドキしたり、恋に浮かれるだけじゃなく、だんだんと勉強にも頑張りを見せるようになる茉白。
きっぺーとの出会いにより、恋以外でも彼女の世界が広がっていきます。またきっぺーも変化を感じているようで……。
全然タイプの違う二人だけど、なぜか惹かれて心が動く……。そんな過程が丁寧に描かれている漫画です。ギャルと秀才の出会いから生まれる化学反応は、尊くてまぶしくてキラキラしてます。二人の「違い」がもっとわかる、カバー下にも注目です!
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(レビュアー:中野亜希)
- ギャルと高偏差値男子が予備校で恋する話 1
- 著者:さくら梨愛
- 発売日:2024年01月
- 発行所:講談社
- 価格:550円(税込)
- ISBNコード:9784065342756
※本記事は、講談社コミックプラスに2024年2月12日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。