新しい年が始まりました。ほんのひきだしでは今年も皆様の読書ライフの充実をお手伝いすべく、人生を豊かにしてくれる、さまざまな魅力あふれる本をご紹介していきます。
まずは、1月1日より12日間にわたり、各出版社の文芸編集者の皆さんが【いま注目の作家】を紹介する「編集者が注目!2023年はこの作家を読んでほしい!」をお届けします。
ぜひ、今年の“初読み”にふさわしい一冊を見つけて、書店に足を運んでみてください。
小学館編集者 室越美央さんの注目作家は「黒田小暑」
黒田小暑(くろだ しょうしょ)
1994年生まれ、福岡県出身。2019年、「春がまた来る」で第20回小学館文庫小説賞を受賞。受賞作を改題し、『まったく、青くない』(小学館)でデビュー。第2作『ぼくはなにいろ』が1月17日に発売予定。
燃えるような熱を持った作家
これから新たな作家と出会いたいと思っている方には、ぜひ手にとってもらいたい作品。それが、1月17日発売予定の新刊『ぼくはなにいろ』です。プルーフをお読みくださった書店員の方が続々と「心に響いた」「この作品、好きです!」といった熱いご感想を寄せてくださっている、激推しの作品です。
『ぼくはなにいろ』の作者は、黒田小暑さん。23歳の時に書いた作品で第20回小学館文庫小説賞を受賞され、改題した『まったく、青くない』がデビュー作となりました。デビューから丸3年、ついに第2作が刊行されようとしています。このあいだ、何十回と改稿を重ね、流された黒田さんの汗と涙を思うとき、大きく成長した蝶が羽ばたくイメージが浮かびます。それくらい、驚くほど才能を開花させてくださいました。
第1作から一貫して、言葉にならない胸のうちの叫び出したくなるような思い、理不尽に屈さなければならない不甲斐なさ、悔しさや苦しさを、丹念に描かれてきました。何かを摑もうとしては空を切る、若者たちの生々しい自問自答。「文章が燃えるような熱を持っている……!」そう感じる文章を読むのは久しぶりでした。
新刊『ぼくはなにいろ』には、様々な傷を抱えた人物たちが登場します。人は誰しも、他人の批評の的となる「外見」を持ち、そして必ず、秘めたる「中身」を携えています。そうしてしか生きていけない私たちのことを、作中登場人物は「神様の設計ミス」と表現しますが、そんな設計ミスと共に生きていかねばならない私たちの運命の先には、どんな未来が待っているのでしょうか。
黒田小暑さんが目をそらさずに書いた、すべての人に通ずる、愛と生の矛盾と渇望を、ぜひ、読みながら味わい、感じていただきたいです!
(小学館 出版局 室越美央)
ぼくはなにいろ
著者:黒田小暑
発売日:2023年01月
発行所:小学館
価格:1,760円(税込)
ISBN:9784093866675
まったく、青くない
著者:黒田小暑
発売日:2020年01月
発行所:小学館
価格:1,650円(税込)
ISBN:9784093865678