2022年から高校で金融教育が義務化され、2024年には新札発行、NISA(少額投資非課税制度)の上限額増額と、世の中がものすごい勢いで変わろうとしています。
お金の勉強をしないと置いていかれる!!と焦りつつ、金融関連の本は難しそうで手を出せずにいました。
ところがこの本は、マンガ仕立てになっているので、内容がすーっと頭に入ります。
マンガに出てくるのは、ムダづかいばかりしている佐原真白(さはらましろ)、お金はなるべく使わない慎重派の黒瀬大和(くろせやまと)の中学生コンビと、総資産2,000億円の若手実業家・朝倉進(あさくらすすむ)。
ちなみに私は、何度も下見をするのになかなか買わず、時間のムダづかいをしている黒瀬タイプです(笑)。
【1万円札作りにかかる製造費は?】
この本では、円安と円高、デフレとインフレ、貿易や為替レートなど経済のことから、最近話題になっている暗号資産やブロックチェーンまで、押さえておきたい基礎知識がわかりやすく説明されています。
それだけでなく、とても身近なお金の話も載っています。
例えば、1万円札をつくるのに製造費はいくらかかるのか?
1円玉をつくるには1円以上かかるから赤字というのは、以前どこかで聞いたことがあるのですが、お札にかかる製造費は見当もつかず……。
でも、お札には透かしやホログラムもあるから、きっと高いだろうと思っていたら、費用は約18円。(※製造費は算出方法によって変動します)
こんなに安くつくれるものでも1万円の価値が生まれる。
つまり、「お金は信用で成り立っている」ということが、実感できるようになっています。
ほかにも、詐欺に遭わないための防止策や、「詐欺は引っかからないと思わないことが大事」という、学校でも家でも教えてくれないとても大事なことが書いてあります。
【宝くじの当選確率は?】
個人的に特に興味をそそられたのは、「投機と投資」の章に出てくる宝くじの話。
買わなきゃ当たらない!!と性懲りもなく買っていた宝くじ。なんと1等の当選確率は、200キロのお米の中から1粒を見つけ出すのと同じだとか!!
どうりで当たらないわけだ。
【期待値を計算するには?】
だから宝くじを買うなという話ではなく、どういうふうに判断すればいいのかというところまで教えてくれるのが、この本のいいところ。
コラムのページでは、「期待値」の計算の仕方が載っていました。
「期待値」は高校の数学で学ぶらしいのですが、まったく記憶になく(笑)。
そして「投機と投資」というと、どうしても株式投資などをイメージしがちですが、一番確実な投資は何かというと……
この本は、 “お金を増やすにはどうすればいいのか”が主眼ではなく、 “お金に対してどう向き合えばいいのか”という根本的なことを教えてくれます。
「お金は手段、大切なのは目的」なのだと。
最近、もっと早くにお金の知識があれば……と後悔することがとても多くなりました。お金に対する古い価値観に縛られ、どこかに苦手意識があったのだと思います。
だからこそ、学生時代から正しい知識を得ることはとても大事だと、この本を読んで改めて感じました。
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(レビュアー:黒田順子)
- 学校でもおうちでも教えてくれない「お金のリアル」 お金のコンパス
- 著者:伊藤みんご 八木陽子
- 発売日:2023年12月
- 発行所:講談社
- 価格:1,650円(税込)
- ISBNコード:9784065339664
※本記事は、講談社コミックプラスに2023年1月23日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。