- 思考の整理学
- 著者:外山滋比古
- 発売日:1986年04月
- 発行所:筑摩書房
- 価格:572円(税込)
- ISBNコード:9784480020475
『思考の整理学』の要点
1.学校教育は、自力で飛び立てないグライダー人間ばかり生みだしてきた。だがこれからの時代で必要とされるのは、自力で飛び回れる飛行機人間である。
2.思考を整理するうえで、寝かせることほど大事なことはない。
3.本当にやるべきことは、1つのことだけに注力しているとなかなか見えてこない。
4.知識をいたずらに所蔵してはいけない。必要なもの以外は忘れてしまうべきだ。
5.深く考えず、とにかく気軽に書き始めたほうがいい。そうすれば道筋が見えてくる。
『思考の整理学』レビュー
30年間で200万部以上売れたロングセラー、それが『思考の整理学』である。毎年多くの学生が購入している本書であるが、たんなる学生向けとあなどるなかれ。ここには「思考」の本質が描かれている。
日本人はよく「表現することが苦手」と言われるが、それは実のところ、「考えることが苦手」ということに他ならない。考えることが得意になるためには、著者のいうように思考の「整理」が必要だ。30年以上前に書かれていた本ではあるが、著者の考え方は今でも十分新鮮である。ここに書かれていることを実践すれば、思考の質が変わっていくのを実感できるはずだ。
また、エッセイ集として読んでも単純におもしろい。90歳を過ぎた今もなお、エッセイストとして活躍する著者だが、その実力は本書からも読みとることができる。なによりメタファーの使いかたにグッとくる。人間の感性に訴えかける表現にあふれているからこそ、本書は今日まで読み継がれているといえる。
「知」という営みに対する向き合い方を考えるうえで、まさに礎となる一冊である。本書の帯には「もっと若い時に読んでいれば……」と書かれているが、読むのに遅すぎるということはない。まだ読んだことがないという方も、学生時代に読んだことがあるという方も、これを機会にぜひ本書を手にとってみてはいかがだろうか。
『思考の整理学』が気になる方におすすめ
- 忘却の整理学
- 著者:外山滋比古
- 発売日:2023年03月
- 発行所:筑摩書房
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784480438706