ほんのひきだしでは、この年末年始も13日間にわたり、各出版社の文芸編集者の皆さんが【いま注目の作家】を紹介する「編集者が注目!2024年はこの作家を読んでほしい!」をお届けします。
ぜひ、気になる作家や作品を見つけて、書店に足を運んでみてください。
ポプラ社編集者 鈴木実穂さん、小原さやかさんの注目作家は「石井仁蔵」
石井仁蔵(いしい じんぞう)
1984年生まれ、新潟県出身。東京大学文学部卒業。本作にて第12回ポプラ社小説新人賞を受賞。
20年間小説投稿を続け、熱い感動がこみあげるエンタメ大作で、念願のデビュー!
熱く血をたぎらせるような小説を読みたい、時間を忘れるほど物語に没頭したい……そんな方にぜひともオススメしたいのが『エヴァーグリーン・ゲーム』です。
選考委員の満場一致で第12回ポプラ社小説新人賞に選ばれた本作は、チェスの魅力にとりつかれた4人の若者たちの青春群像劇です。世界有数の頭脳スポーツでありながら、日本では競技人口が少ないチェス。編集担当である私たちもルールなどほとんど分からない状態で読み始めましたが、登場人物たちの凄まじい熱量にぐいぐい引き込まれ、気づいたら一気読み。「ものすごい小説に出会ってしまった……!」という感動に震えました。
難病により入院生活を送る小学生・透、将来の進路に悩む高校生・晴紀、母と対立している全盲の少女・冴理、破天荒に生きる天涯孤独の青年・釣崎……それぞれ過酷な状況に身を置く4人はチェスに出会い、救われ、そして没頭していきます。
「僕はチェスが好きだ。人生を費やしてもいいと思うくらいに。」
作中で登場するこの言葉のように、本気でチェスが好きで、己の全てをかけて盤上の戦いに挑む彼、彼女らの姿に、胸が熱くなります。
作者の石井仁蔵さんは、小説を書き続けて約20年、本作で念願のデビューとなりました。作中の彼らにとっての「チェス」が、石井さんにとっては「小説」なのです。全身全霊をかけて小説に挑む石井さんが紡ぎ出した物語だからこそ、熱い血が通っているのだと感じずにはいられません。
本作のクライマックスでは、日本一のチェスプレイヤーを決める戦いが繰り広げられます。手に汗握る勝負の行方は――心を揺さぶる情熱のエンターテインメント作、ぜひお楽しみいただきたいです!
(ポプラ社 編集本部 一般書編集グループ 一般書文芸編集部 鈴木実穂、小原さやか)
▲石井仁蔵さん手書きメッセージ
- エヴァーグリーン・ゲーム
- 著者:石井仁蔵
- 発売日:2023年10月
- 発行所:ポプラ社
- 価格:1,870円(税込)
- ISBNコード:9784591179437
関連記事
・頭脳スポーツ「チェス」が題材の石井仁蔵著『エヴァーグリーン・ゲーム』発売!三島有紀子監督によるショートフィルムも公開!