ほんのひきだしでは、この年末年始も13日間にわたり、各出版社の文芸編集者の皆さんが【いま注目の作家】を紹介する「編集者が注目!2024年はこの作家を読んでほしい!」をお届けします。
ぜひ、気になる作家や作品を見つけて、書店に足を運んでみてください。
小学館編集者 富岡薫さんの注目作家は「水村舟」
水村舟(みずむら しゅう)
旧警察小説大賞をきっかけに執筆を開始。2023年、『県警の守護神 警務部監察課訟務係』(応募時タイトル「県警訟務係の新人」)で第2回警察小説新人賞を受賞し、デビュー。
新たなジャンルの開拓者となりうる、警察マニアの新人作家
「『県警訟務係の新人』の方、法律に詳しく、警察にも詳しい。何者なんでしょうね」
第2回警察小説新人賞の最終選考会で、どなたかがそう発言したことを覚えています。
その後議論を経て、見事「県警訟務係の新人」が受賞を果たしました。1月に『県警の守護神 警務部監察課訟務係』と名を変えて刊行となります。
著者、水村舟さんの正体は……訳あって明かすことができず、しばらくは覆面作家としてご活動されるそう(引っ張っておいてすみません)。
一つ言えるのは、相当な警察マニアだということ。打ち合わせをしてみれば、警察小説、ドラマ、映画、漫画はもちろん、女性向け声優コンテンツの警察官キャラクターまで、恐ろしい知識をお持ちでした。全国都道府県警の採用サイトも常にチェックしているのだとか。
そんな水村さんが題材に選んだのが、警察が訴えられた際に登場する部署・訟務係でした。実は、被告席に警察官が座ることは珍しくありません。
本作で「加害公務員」とされてしまったのは、新人警察官の桐嶋千隼。彼女は轢き逃げ事件に巻き込まれた上、同事件で死亡した少年に対する責任を、法廷で問われることになります。途方に暮れる桐嶋のもとを訪れたのが、監察課訟務係所属の巡査長・荒城——元裁判官で弁護士資格を持つ異色の警察官でした。
訴訟に勝つためなら手段を選ばない荒城に、正義感の強い桐嶋は激しく反発。独自に行動を起こしますが、訴訟、そして事件はある陰謀へと繋がっていきます。
もう一人の主要人物、意外な過去を持つクールな女性警察官・国田リオを加えた3人が、それぞれの正義をぶつけ合いながら任務を全うする様子、そして息もつかせぬ展開と法廷劇に、一気読み間違いなし。今までにない警察小説をお楽しみください。
(小学館 出版局 文芸編集室 富岡薫)
※『県警の守護神 警務部監察課訟務係』は1月22日(月)発売予定です
- 県警の守護神
- 著者:水村舟
- 発売日:2024年01月
- 発行所:小学館
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784093867054