未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること
著者:河合雅司
発売日:2022年12月
発行所:講談社
価格:1,012円(税込)
ISBN:9784065302507
『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』の要点
1.今後日本は、実人数の減少に加え、それ以上に消費量が落ち込む「ダブルの縮小」に見舞われる。人口減少は止められなくとも、経済成長が止まらないようにするため、「戦略的に縮む」成長モデルの実現が望まれる。
2.戦略的に縮むためには、一刻も早く量的拡大モデルと決別し、得意分野に資本や人材を集中させる必要がある。
3.人口減少社会では、勤労世代が働く時間の総和が縮小する。これを補うには、従業員個々のスキルアップを図り、労働生産性の向上が不可欠だ。
『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』レビュー
本書は、日本の未来図を体系的に解き明かすことでベストセラーとなった『未来の年表』シリーズのビジネス版である。2部構成をとり、第1部で業界に起こる大変化を見据えて可視化し、第2部で変化に即応するための具体策を「トリセツ」として示す。
日本が人口減少社会となって久しいが、いまだに人口減少に応じた有効な対策やビジネスモデルを打ち出せている企業は少ないと著者は言う。
20年、30年といった近い未来に企業や政府、地方自治体などの仕事の現場に起きることを、本書は数々の統計や試算をもとに示している。問題の多くは、ビジネスパーソンであればだれもが認識しているに違いない「人手不足」に端を発する。しかし本書でわかるのは、そうした問題に従来のやり方で対応しようとしていては、もはや手詰まりということだ。
サブタイトルにある通り、日本のビジネスの現場は「瀬戸際」にある。人口減少には付け焼刃の施策は通用しない。長期的な視点でこれまでのやり方を見直さなければ、いずれ日本そのものが立ち行かなくなるという危機感を抱かざるを得ない。
しかし、希望が失われたわけではない。人口減少は避けられなくても、経済成長を止めないようにすることは可能だ。そのための提言が本書には盛り込まれている。耳の痛い話も多いかもしれないが、世界を相手に今後も日本が豊かな国であり続けるためには、どれも欠かせない施策ばかりだ。
人生100年時代と言われる時代を生きる現代のビジネスパーソンにとって、先々の変化を示してくれる一冊だ。
『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』が気になる方におすすめ
2030年の東京
著者:河合雅司、牧野知弘
発売日:2022年3月
発行所:祥伝社
価格:924円(税込)
ISBN:9784396116521