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米国の「ファーストレディ」を8年務めたミシェル・オバマが語る、不安の多い世界との向き合い方【総合3.8】

心に、光を。 不確実な時代を生き抜く(KADOKAWA)ミシェル・オバマ

心に、光を。 不確実な時代を生き抜く
著者:ミシェル・オバマ 山田文
発売日:2023年09月
発行所:KADOKAWA
価格:2,640円(税込)
ISBNコード:9784041137208

 

『心に、光を。不確実な時代を生き抜く』の要点

1.不安は誰の心にもやってくる。世界に目を向けると、無力感を抱かずにはいられないほどの問題が溢れている。問題が大きすぎて動けなくなった時は、まずは小さなところから始めよう。

2.子どもは不安を目の前にしたときは泣き叫ぶ。大人は回避しようとする。自分とちがう、ということに対して過剰に不安を覚えると、新しいことへ踏み出せなくなってしまう。

3.人の成功は誰かに支えられている。著者も多くの人に支えられた。チャイナもその1人だ。ある日彼女は、著者に対して自分の秘密を打ち明ける。

 

『心に、光を。不確実な時代を生き抜く』レビュー

本書は2009年から17年の8年間、米国の「ファーストレディ」を務め上げたミシェル・オバマによって綴られたものだ。その構成は三部に分かれていて、第1部は、疫病や政治不安が蔓延る不確かな時代において、大きな不安とどう向き合っていくのかが書かれている。第2部は、娘や夫のバラク・オバマ、そして母といった家族について、そして第3部は自分が誰かに受け入れてもらえるような場所を探すこと、そして「気高く生きること」について綴られている。

著者の文は親しみやすく、それでいて平易だ。だけど、その中に時折鋭い洞察が光る。ユーモアもあって思わず頬が緩むエピソードもありながら、人の影の部分に触れてハッとさせられることもある。陰鬱になりすぎず、一方で緊張感があり、そして時に力強いメッセージが挿入される。

その広い視野に入ってくる数々の社会問題。それに対して常に無関心でいられない意識の高さと、行動する意欲を兼ね備えているがゆえの葛藤。誰かのために行動するということは、苦難の連続だし、だからこそ自分もまた誰かの助けを必要とする。本書で描かれる彼女の話は、なかなか普通には経験できないことと同じくらい、誰もが経験するものに溢れている。

ホワイトハウスに至るまで、ホワイトハウスでの8年間、そしてホワイトハウスを去ってから現在まで。その軌跡が、身近で類まれなる人生観によって描かれる。触れれば、あなたの人生にも光が灯るはずだ。

 

『心に、光を。不確実な時代を生き抜く』が気になる方におすすめ

マイ・ストーリー
著者:ミシェル・オバマ 長尾莉紗 柴田さとみ
発売日:2019年08月
発行所:集英社
価格:2,530円(税込)
ISBNコード:9784087861174