「なんだか疲れている」が当たり前になっていませんか? 肩こりやストレートネック、不眠など、何をしても繰り返す不調を「年齢のせいだから仕方がない」と諦めるのはまだ早いかもしれません。
見直したい身体のパーツ、それが「 あご」です。あごのズレは、姿勢や呼吸、全身のバランスにも影響するといいます。柔道整復師として42万件以上の症例と向き合い、40代で歯学部に入学した薩摩宗治さんの著書『疲れはあごが9割』では、疲れの原因となる姿勢や、1回30秒でできる「ベロ体操」などが紹介されています。毎日の疲れが気になる人は、ぜひチェックしてみてください。
※本稿は『疲れはあごが9割 24時間戦う脳と身体をリセットする技術』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです
ストレートネックは「あご」から始まっている
壁に背をつけて立ってみてください。後頭部が壁に触れないなら、あなたはすでにストレートネックまたはその予備軍です。
通勤電車を見渡すと、ほとんどの人がうつむいてスマホを覗き込んでいます。そのときの姿勢は、背中が丸まって首の後ろ側が縮み、あごを前に突き出して首の前側が伸びきった状態です。スマホに向ける視線が下を向くたびに、首の自然なC字カーブは失われ、頭部が前方へ突き出してしまうのです。現代人にとって、スマホはどこに行くにも欠かせないほど便利なツールですが、あごや身体のことを中心に考えると、その代償はあまりにも大きいものです。
頭の重さは約5kgですが、首が30度前傾するだけで、その負荷は頭の重さのおよそ3倍の18㎏近くにまで膨れ上がります。5~6歳児1人分の重さが首にのしかかるのです。さらに深く覗き込んで、その角度が60度ほどになると頭の重さの5~6倍が首にかかるといわれています。この状態が毎日何時間も続いていると思うと、ゾッとしますね。
また、下あごが後退すると気道が狭まります。生き物にとって酸素を確保するのは最優先事項であるため、脳は反射的に頭を前に突き出して気道を広げようとします。この状態が続くと、下部の頚椎は屈曲し、上部の頚椎は反り返り、結果として首の骨全体が真っ直ぐになるストレートネックへと変形してしまいます。
あごが首を前に引っ張り続けてしまう
このとき、首だけでなく、あごも悲鳴を上げています。頭が前に出ることであごの関節が圧迫され、喉の奥にある「舌骨」が引き下げられます。結果、舌が正しい位置から落ち、あごは「後方回転」のままロックされます。これが無意識の「食いしばり」を生みます。
実は、あごを支える咬筋やその周辺の筋膜は、首の一番上の骨である「第一頚椎」周辺の筋肉とも密接に連動しています。あごが後方回転して奥歯の横にある咬筋がガチガチに緊張すると、その張力が「第一頚椎」を前方(あごのほう)へと引っ張り続けてしまうのです。
この連鎖が、どれだけ整体に通っても「すぐ戻る」という悪循環を作り出すのです。ストレートネックの状態に陥ると、あごを動かす際の支点となる頭蓋骨の位置が不安定になり、咀嚼筋のバランスが大きく崩れて顎関節症などを引き起こします。さらに、頚椎の配列異常が脳へ血液を送る椎骨動脈を圧迫し、血流の低下を招くリスクもあります。これは、めまいや慢性的な疲労感、そしてビジネスにおいて致命的となる「集中力の低下」の一因となります。
あごを守りながらスマホと付き合う
とはいえ、スマホを使わない選択は現在ではありえないでしょう。もちろん私もスマホハードユーザーのひとりです。スマホが原因で猫背になっても、首やあごに大きな力がかかっても、それをリセットする習慣をつければ問題はないのです。
また、この負の連鎖から脱却するための方法も意識しておくべきです。デバイスの使い方を根本から変えてください。スマホを使用する際は常に目の高さまで持ち上げ、オフィスのパソコンもスタンドなどを活用して液晶画面を目の高さまで上げる工夫もあなたの首とあごを守るのです。

『疲れはあごが9割 24時間戦う脳と身体をリセットする技術』

発売日:2026年7月
発行所:東洋経済新報社
定価:1,650円(税込)
ISBN:9784492048429
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