6月16日(水)より順次、全国約600書店で配布が始まったBLコミックガイド「B+LIBRARY(ビープラスライブラリー)」vol.10。
表紙は、シリーズ累計60万部を突破した人気BLコミック『ララの結婚』が飾りました。
巻頭には、『ララの結婚』の著者・ためこうさんのインタビュー記事を掲載。BLの魅力やご自身の作品への想い、好きなジャンル・設定などとあわせて、ためこうさんの作品を紹介しています。
今回は「B+LIBRARY」vol.10に掲載しきれなかった、ためこうさんのインタビューをご紹介します。
- ララの結婚 1
- 著者:ためこう
- 発売日:2018年10月
- 発行所:リブレ
- 価格:756円(税込)
- ISBNコード:9784799740491
ためこう
広島県出身。ためこう名義で2014年にBLデビュー。初コミックス『泥中の蓮』(祥伝社)をはじめ、数々の作品がドラマCD化されるなど、デビューから今に至るまで高い人気を誇る。非BL作品『ジェンダーレス男子に愛されています。』(祥伝社)が2021年4月にドラマ化されるなど、ジャンルを問わず活躍をしている。
丁寧な作画は少女漫画から
――もともと漫画はお好きでしたか? ご自身に影響を与えたと思うものについてお聞かせください。
小さい頃から漫画を読むのも描くのも好きでした。特に白泉社系の少女漫画が好きだったので、月2回発売の雑誌も毎号買っていたし、昔の作品も読み漁りました。
少女漫画は線が綺麗で、髪の毛や目や服が描き込んであって、とにかくキラキラしていて……。丁寧に作画をするというサービス精神は少女漫画で学びました。
――漫画家デビューは少女漫画と伺っていますが、BL作品を描き始めたのはいつ頃ですか?
イラストやらくがき漫画などは昔から軽く描いていたのですが、ちゃんと原稿にしたのはここ数年の間です。最初は完全に趣味でひっそりと描いてwebにあげていたのですが、創作BLの同人誌を出したことがきっかけで出版社から声をかけていただき、本格的に描き始めました。
自分はそもそも昔から綺麗な男の人たちを描くのが大好きなのですが、BL作品を描くとなると綺麗な男の人を最低でも2人は登場させられますよね。綺麗な男の人たちで画面を埋められるBL漫画は最高だと思います。いろいろな表情や感情を見られることが魅力的です。
――商業BL作家としてもデビューすることが決まったときの心境をお聞かせください。
当時は確かまだ少女漫画も描いていたので、仕事でBLを描くことに迷ったりもしたのですが、昔から漫画家になりたかった私はとにかく漫画の仕事ができるのが嬉しく、執筆依頼をお受けしました。
いざ仕事をしだすと目の前の原稿を上げるのに一杯一杯で、ずっと余裕がなかったです。今でも描き続けられていることにびっくりしています。
作業中のおともはYouTubeとエスプレッソマシン
――作品を描くにあたり、大切にされていることはありますか?
読者の方に喜んでいただけることを最優先にするようにしています。
あとは、美形設定だったらちゃんと美形に、丁寧な描き込みや仕上げ、1話に必ず見所やサービスシーンを入れるなど、自分ができる精一杯をいつも出すことです(……が締め切りの関係でそうできないことが多々あるので猛省しています)。
――原稿作業中に欠かせないものや気分転換にされていることはありますか?
欠かせないものはYouTubeです。最近は専ら雑談系の、画面をずっと見ていなくても大丈夫な動画ばかりを作業BGMとして流しています。
気分転換には、エスプレッソマシンを購入してから集中力が切れたらものすごく濃いやつを淹れて飲むようになりました。あと最近は始業と終業の時間をカッチリ固定していて、作業している間はあまりよそ見をせず執筆しています。
自分が楽しんで描けるものを描いていく
――これまでのお仕事を振り返って、特に思い入れのある作品やキャラクターについてお聞かせください。
BLだと『ララの結婚』です。初めての長期連載で、こんなに長く同じキャラクターと向き合ったことがなかったので愛着があります。特に主人公のラムダンは私が今まで描いてこなかった正統派な光属性の主人公なので、彼の前向きな行動や発言を描くのが新鮮です。
一般誌の作品だと『ジェンダーレス男子に愛されています。』が、BL漫画とは作り方を変えて描いているチャレンジ作品ですので思い入れがあります。
――『ララの結婚』が初めての長期連載とのことですが、長期連載ゆえの苦労や面白さなど、他の作品との違いがあればお聞かせください。
ララの結婚は読み切りとして描いた作品なので、連載化にあたって追加で考えなければいけない事柄がたくさんあり辻褄合わせが大変でした。ですが、「あのシーンのあれは深い意味で言わせたわけじゃないけど、ちょうど良く使えそうだから使おう!」みたいな、意図せず成立するエピソードがあるので楽しいです。
描いた当時と今とでは描きたいものや考え方が違ったりしますし、ストーリーを決めすぎず流動的に描いていけたら私自身も楽しめるものができあがるのではないでしょうか(そしてさらに辻褄合わせが大変になるという……笑)。
せっかくいただいた長期連載なので、ページ数を使った演出や長い伏線、ゆったりとした感情の流れなど、短編では描くのが難しそうなことにチャレンジしていきたいです。
――今後作家として挑戦してみたいことはありますか?
BLだとバディ物や職業物がいいなと妄想しています。特に職業物は取材やインタビューもちゃんとした上で描きたいです。
一般誌だと親子という題材で何か描きたいなと漠然と思っています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします!
お仕事でBL漫画を描き始めて7年弱くらいになりますが、まだまだ描きたいものがたくさんあります。あれもこれもと焦る気持ちでいっぱいのなか、その時々の自分と向き合いながら描けるものを丁寧に、そして常にチャレンジを。結局は自分が楽しんで描けるものを描いていくと思います。
読者の方々により良いものを提供できるよう日々精進いたしますので、お見かけの際はどうぞよろしくお願いいたします。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
- ジェンダーレス男子に愛されています。 1
- 著者:ためこう
- 発売日:2018年12月
- 発行所:祥伝社
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784396767525
「B+LIBRARY」について
「B+LIBRARY」は、キャラ属性や萌え度、ジャンルといった切り口から好きなBLコミックを探すことのできるガイドブック。BLポータルサイト「ちるちる」に投稿された10万件以上のレビューや、BLコンテンツを扱うサイトで収集されたデータをもとに作品を厳選し、「スパダリ攻め」「メガネ受け」といった設定別で掲載。「好きなジャンル」「好きな作家」「絵柄」などさまざまな切り口で作品を選ぶことができるので、新たなBLコミックと出合ったり、見逃していた作品を見つけたりするのに役立ちます。
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