- 自律神経の科学
- 著者:鈴木郁子
- 発売日:2023年04月
- 発行所:講談社
- 価格:1,100円(税込)
- ISBNコード:9784065267165
『自律神経の科学』の要点
1.自律神経は、身体の内側の環境をある一定の状態に保つための仕組みである。交感神経と副交感神経の「二重支配」と「拮抗支配」によって、常に変化する身体に対応し、巧妙な微調整をし続けている。
2.交感神経は活動に適した状態をつくる。緊張・興奮しているときに心拍が上がったり手に汗をかいたりするのは、交感神経の働きによるものである。副交感神経はリラックスしているときや食事中・睡眠中に優位になり、次の活動に備えて栄養分を蓄え、消化や排泄を進める働きを持つ。
3.健康増進と病気の予防のためには、よい生活習慣の継続によって自律神経のバランスを整えることが重要だ。
『自律神経の科学』レビュー
最近「自律神経」という言葉をよく耳にするようになった。
「自律神経が乱れているかも?」「自律神経のバランスを整えよう!」などとよく言われるが、自律神経について、科学的根拠をもって説明できる人はなかなかいないのではないだろうか。
自律神経は、内臓の働きを調整し、身体の働きをバランスの良い状態に保っている神経である。日頃から私たちの無意識下で、眠っている間にも休まず働き続けてくれている。心拍や血圧が上下すること、胃腸が消化を進めること、涙や唾液や汗が出ること……。自律神経は全身で起こるさまざまな反応に関わっているのだ。本書では、そんな自律神経のメカニズムについて、歴史的な研究や身近な例について触れながら、丁寧に解説している。
著者によれば、自律神経は無意識下で働くが、私たちの意識や行動によっていくらか調整することもできるという。朝起きたらまず日の光を浴び、昼間は適度に運動する。仕事の合間にリラックスする時間を作り、時々はスマホやPCから離れる。自律神経を知ることで、「当たり前」とも思われるような生活習慣がなぜ大切なのかが見えてくる。「疲れが取れない」「よく眠れない」といったあなたの体の悩みも、自律神経を理解することで解決されるかもしれない。
本書の内容は専門的かつ網羅的だが、図解や具体例、易しい表現が用いられ、専門知識のない人でも読みやすいよう工夫されている。自律神経について「きちんと」学んでみたいという方に、ぜひおすすめの一冊である。
『自律神経の科学』が気になる方におすすめ
- 結局、自律神経がすべて解決してくれる
- 著者:小林弘幸(小児外科学)
- 発売日:2021年07月
- 発行所:アスコム
- 価格:1,650円(税込)
- ISBNコード:9784776211600