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立体切り絵をプロっぽく仕上げるコツは〇〇? 思わずインスタに載せたくなっちゃう『かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作』

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作

紙にエンボスをかけると「なに? プロっぽい!」

紙が持つ表現力ってすごいです。切る、貼る、描く、折る……、自由度が高いからこそクリエイターの想像力や技術が試されてしまう。さて、本書『かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作』をパラパラっと見ておどろいたのは、そのかわいさ。それも納得。著者の作品はすでに美術館(富士川・切り絵の森美術館)に展示されていたり、ハイブランドとコラボし展示されたりするなどの実績があるのです。

「なにこれ? 丸いよ!」

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作

このてんとう虫の柔らかくプクッと膨らんだ感じ、質感は紙なのに粘土っぽくもある。これを「かんたんに」「楽しく」作れる? ならば挑戦してみるしかありません!

このプクッとした膨らみ(エンボス加工)の秘密をバラしますと、エンボスペンというものがあるのです。

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作

ボールペンのペン先が丸い球状になっていて、これを紙に当ててグリグリっと押し付けると縁がクルッと起き上がる。我が家には偶然にも子供が美術部で使っているエンボスペンがあったのですが、大きめの文房具店などに行けば500円ほどで売っています。このエンボスペンでなくても、ノック式ボールペンのカチカチ側とか、丸みを帯びたもので代用も可能。なるべく丸みが小さいものを探してみてください。
グリグリっとするときは、下にコルクシートなど柔らかい下敷きがあるといいのですが、私はティッシュペーパーを何度か折り曲げて下敷きがわりにしました。

道具に関してもう少しアドバイスしておくと、カッターは通常のカッターナイフよりアートナイフをおすすめします。こちらのほうが曲線を切りやすく、小さいパーツを切り出すにも便利です。子どもと作るのであれば、はさみも用意しましょう。

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作

それから大事なのが糊。接着剤です。最初は木工用ボンドで試してみたのですが、乾くのに時間がかかる(長く使っていなかったので、変質したのかも)。悪戦苦闘していたところ、子供が小学校の工作の時間に使っていた接着剤が、本書でおすすめされている接着剤であることが判明。このサクラクレパス製「ボンドタッチ 24ml 学校用多用途接着剤」を使ってみたらこれがすこぶる使いやすい! 乾くの早い! ピンポイントで接着してもカッチリ引っ付く! 接着剤がはみ出しても乾燥すれば仕上がりもキレイ! 是非、これを使ってください。
かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作

あとは紙。さまざまな色の紙を使いたいので、100円ショップで色画用紙帳をセレクト。揃っている店なら10色10枚のセットが4種類くらいあります。「工作には少し薄いかな?」と思いましたが、特に支障はありませんでした。色についてですが、本書で使用する色と一般の色画用紙との対応表も掲載されているので、そちらを参考に色画用紙を選ぶとよいでしょう。

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作

また、わざわざ紙を買いにいくのが面倒、という人も大丈夫。本書には紙が付録についているので、これを使って試しに作ってみてもいいでしょう。付録の紙で作れる作品は「〇△□で作る動物たち」用となっていますが、ほかの作品で試し作りに使用してもOKです!
また本格的に取り組みたい人は「ミ・タント」という紙を使うことが推奨されていますが、これも本紙内に掲載されている読み取りコードをスキャンすると、「ミ・タント秋山美歩セレクト11色セット」をオンラインで購入することができます。このセットの中には本書で使う色紙(黒以外)が全て入っていて、付録の紙とこの紙で本紙の作品を作ることができるようになっています。

 

子どもと楽しく作るために気をつけること

この本には、子どもでも簡単に作れそうなものから、大人がじっくり取り組んで作るものまで、さまざまな図案と、型紙が用意されています。大人が趣味として作る分には試行錯誤も楽しいのですが、ここでは子どもと「楽しく」作るための注意事項を紹介しましょう。

1)色画用紙に型紙をプリントした状態で用意する

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作

型紙を色画用紙に写す作業が、一番手間取って、面白くないのですよ。「さぁ、作ろう!」と取り掛かって、この工程で子どもに飽きられたらつまらないですからね。「切って作る」という作業から入れるように、準備万端にしておきます。がんばれ! お父さん、お母さん、おじい、おばあ。

型紙を色画用紙に写す方法は、
・型紙をパソコンに取り込んで、プリンターで色画用紙に直接印刷する
・トレーシングペーパーでなぞり書きし、さらにカーボン紙を使って色画用紙に転写する
の二つなのですが、基本的にプリンター一択かなと思います。最近は年賀状作成用にスキャナーやプリンター機能を備えた家庭用複合機が家にある場合も多いでしょう。それから、型紙の拡大が簡単なのも便利です。例えば本書に掲載されている、かえるの型紙サイズでそのまま作ると、サイズがかなり小さい(小さいとそれだけ難易度も上がる)のです。

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作
※緑色のかえるが型紙原寸サイズ、赤色のかえるは型紙を170%拡大。

拡大する場合は、すべてのパーツを同じ拡大率でプリントすることを忘れないでください。そうしないと、極端に目の小さいかえるが生まれちゃいますからね。
逆に、トレーシングペーパーを使う方法は、もともと型紙が大きいジンベイザメとかであれば有効です。子どもが「最初から作ってみたい」と意欲を見せたときは、こちらの方法でやらせてあげましょう。こういうトレース作業が好きという子どもも、結構いますから。

2)刃物の扱いをしっかり教えてあげよう
子どもは刃物に触りたがるもの。であれば、最初にしっかり使い方を教えましょう。持ち方、手の置き方、人に向けない……など、目を離さず「褒めながら」教えてあげましょう。

3)出来、不出来ではなく出来たこと自体がすごい!
立体の紙を接着するのって、結構難しいです。かえるの例で言えば、手足を挟んで背と腹のパーツをくっ付けようとしても、スキマが生まれてしまいます。丁寧に作業すればキレイに仕上がりますが、それでも完璧とまではいかないでしょう。でも接着剤のボンドタッチはかなり優秀なので、点と点のピンポイントでも接着できれば、ちゃんと形になります。多少不恰好でも、それも「味」だと思いましょう。子どもがもっと上手に作りたいと思っているようであれば、さらに伸びしろがあるということです。

4)本体ができれば、あとは自由に楽しく
かえるにジンベイザメ、ライオンにくじゃく。その本体部分ができあがれば、残りの柄や装飾は自由に作ってみる! 完成図どおりの仕上がりにこだわらない。

最後に、これから作品を作るみなさんへ制作で一番大切なことをお伝えします。
「おおらかに! おもいきり自由に!」

と、著者の秋山先生も言っておられます。まだ刃物が持てない幼児なら、本体まで作ってあげて、柄や装飾を子どもにお願いしてもいいでしょう。装飾パーツを用意し、エンボス加工と貼り付けはおまかせにする(エンボス加工は子供にも楽しいと思います)。それから、100円ショップでお弁当に入れる海苔用のパンチがさまざまで売っています。これで好きな色の画用紙を切り抜き、ペタペタ貼らせてもいいでしょう。
私は、かつて子どもが集めていたキラキラグッズを貼り付けてデコってみました。

かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作
※ジンベイザメ、型紙原寸大
かんたん! 楽しい! 動物と昆虫の立体切り紙工作
※かえる、型紙270%拡大

これから迎える夏休みに向けて、自由制作の宿題にも対応できそうなこの1冊。自分が小学生なら、かえるを大量に作って、ヤドクガエルやツノガエルの柄にカスタマイズして……と想像が止まらなくなりました。

(レビュアー:嶋津善之)

かんたん!楽しい!動物と昆虫の立体切り紙工作
著者:秋山美歩
発売日:2023年06月
発行所:講談社
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784065319475

※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2023年7月20日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。