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ヤニカス・酒カス・33歳大厄女――その正体は、最強の元殺し屋……!?『夜鷹ふたたび』

マンガは「カスの時代」に入りました

かつて「夜鷹」と呼ばれる殺し屋がいた。猛禽類がウサギを狩るような鮮やかな手口で、都市伝説化したその殺し屋は、“最後の狩り”を成し遂げたのち姿を消した。そして、現在……。

夜鷹は、ヤニカス、酒カス、家賃3カ月滞納の無職ライフに浸りきっていた。
ひどい……。散乱するティッシュ、脱ぎっぱなしのパンツ、布団の上の灰皿(危険)、そして手に届くところに電マ。コイツ、まごうことなき“カス”。しばらく前までマンガ界を席巻していた“ギャル”の主人公だが、今や“カス”の主人公がメインストリーム。なかでも夜鷹は、とびきりイキがいい。闇金ウシジマくんがいたら、即座に金を貸し付けるくらいにイキがいい!

彼女には親しい後輩くん(こーはい)がいる。夜鷹の復帰を望む殺し屋組織は、彼に説得させるのだが……、それが無理なら「殺っちゃえ」との司令。こーはいは真摯に説得するのだが、

切れた縁は戻らないんだよ、クーパー靭帯と同じで

とつれない。やむなし……、こーはいが夜鷹にナイフを向けた一瞬!

夜鷹の腕は、なにも落ちていなかった(体重は増えてたけど)。

そんなスゴ腕の殺し屋でも太刀打ちできないものがある。それはカネがないこと。カネがないのは首がないのと同じ。滞納した家賃3ヵ月分、耳を揃えて1月以内に払わないと部屋を追い出される!ってことで、舌の根も乾かぬうちにこーはいに土下座して「おしごとください」と頼み込むのだった(でも、殺しはナシで、疲れないやつで、あと弁当も欲しい)。

カスだ……、正真正銘のカスだ。

 

真正面から伝えることを憚れる圧倒的に魅力的なブツについて

この1巻で、たまらなくしびれた描写について、触れたい。
第4話で夜鷹が唐突につぶやくのだ。

カスみたいな
メシ食いたい……

冷蔵庫にあるのは3日前に消費期限が切れた豚ロース。

この見事なカスっぷり。夜鷹、お前は『1日外出録ハンチョウ』のコンビニ大槻か! コンビニ大槻ですら、思い立ったらすぐに行動した。しかし、夜鷹にいたっては思い立ってから3時間、布団に寝転がってスマホで時間を潰すのだ。空腹ですら面倒くさい。この描写に、カスの深淵を見た気がする。

さて、ここから果たしてココに言及するか否か迷ったのだが、避けては通れない部分に触れる。それは、夜鷹の「おっぱい」についてだ。なんというか、その……

だらしないのだ。

人の身体的な特徴を、そういうふうに表現することが、いかにヒドい話か分かっている。なんなら、膝詰めで小一時間説教食らってもいい。でも言う。だらしない。ただ、夜鷹というキャラクターの魅力成分60〜70%は、このおっぱいにあるんだからしょうがない。夜鷹は言う。

真である。そこに一片の嘘もない。
さっき、スルっと書いたけれど「切れた縁は戻らないんだよ、クーパー靭帯と同じで」というセリフのクーパー靭帯とは、アキレス腱のことじゃない。クーパー靭帯(Cooper's ligament)は、乳腺や脂肪組織を支え、バストのハリや丸みを保つコラーゲン繊維の束です。ってGoogle Gemini先生が言ってた。

著者のイズミダフユキ先生、この胸の表現、描き方がたまらんうまいのだ。微妙に左右が不均衡で、揺れ感がある。夜鷹が殺し屋としてのアクションを見せるとき、体幹に対してこの胸がワンテンポ遅れるように付いてくる。これか! 慣性の法則ってやつは!

正気に戻って、ストーリーについてもう少し話をしておこう。
殺し屋稼業には戻らず、バイトして日銭を稼ぎ、チューハイストロング缶で現実から目を背け続ける夜鷹。裏の世界では、かつて夜鷹が所属していた殺し屋派遣業“ムラクモ”が「夜鷹復活」のガセ情報を流し、業界をざわつかせる。“ムラクモ”潰しのために、老舗“ワタギ”と新参の“ビーイングホープ”が提携して夜鷹狩りを仕掛け、警察がその動きを嗅ぎつける……。第一の刺客、篠田が夜鷹に襲いかかるのだが、運が悪いことに夜鷹は先程の「夜鷹特製これ…これ何?」を食べたあとで、お腹をこわしていた。どうなる!

超シリアスなアクションと、カス女の日常がクロスオーバーするこの漫画。モーニングで読んでるって人も、巻末に付いているオマケマンガが最高なんで(特に「はらだいこ」!)、お見逃しなく。

(レビュアー:嶋津善之)

夜鷹ふたたび 1
著者:イズミダフユキ
発売日:2026年03月
発行所:講談社
価格:792円(税込)
ISBNコード:9784065422533

 

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※本記事は、講談社|今日のおすすめ(コミック)に2026年4月26日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。