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余命わずかの囚人患者が、犬にだけ漏らした秘密とは…? ファシリティドッグとハンドラーが事件を暴く!|『やっぱり犬は知っている』大倉崇裕

ファシリティドッグのピーボとハンドラー笠門が事件を追う。待望のシリーズ第2弾の登場!

2024年に刊行された大倉崇裕の『犬は知っている』を読んだとき、一冊で終わりにするには、もったいない設定だと思った。なにしろ物語の主役が、ゴールデン・レトリバーのピーボと、そのハンドラーである笠門達也巡査部長なのだ。ちなみにピーボは、患者の恐怖や苦痛などを和らげるため、警察病院に常勤するファシリティドッグである。

しかしピーボには裏の任務があった。入院している余命僅かな囚人患者の心を開かせ、事件の秘密を笠門が聞き出せるようにしていたのである。ファシリティドッグという存在を、この作品で初めて知り、面白い存在に目を付けたものだと感心。もっと読みたい気持ちになった。だから、ピーボと笠門が再登場した、シリーズ第2弾の刊行が嬉しい。全4話が収録されているが、どれも優れた内容だ。

第1話は、心不全で末期の囚人患者がピーボに漏らした、断片的な言葉を笠門が調べるうちに、過去の殺人事件が浮上してくる。途中で恐るべき犯人が明らかになり、倒叙ミステリーのような笠門と犯人の対話による探り合いがあるのが楽しい。

なんて思っていたら、さらに物語は予想外の方向に転がっていく。ピーボの態度が事件解決の糸口になったり、お馴染みの脇役を絡めたりと、シリーズ物としての魅力も堪能できる。冒頭を飾るに相応しい秀作だ。

以後、第2話と第3話も、囚人患者の漏らした言葉から、笠門が過去の事件を掘り起こしていく。そして最終話は、いままでとは違うパターンで、笠門が殺人事件を追うことになる。

なるほど、同じパターンが続いて読者が飽きることを嫌い、目先を変えてきたかと考えたら、終盤でパターンの変化自体が作者の企みであることが判明。これにはやられた。もちろんピーボも活躍。面白いミステリーを探している人、作者のファン、そして愛犬家のみならず誰もが満足できるシリーズだ。できればこれからも、書き続けてほしいものである。

 

書誌情報

やっぱり犬は知っている
著者:大倉崇裕
発売日:2026年01月
発行所:双葉社
価格:1,870円(税込)
ISBNコード:9784575248661

 

■シリーズ1作目

犬は知っている
著者:大倉崇裕
発売日:2024年01月
発行所:双葉社
価格:1,870円(税込)
ISBNコード:9784575247114

 

試し読み

双葉社文芸総合サイト「COLORFUL」にて、『やっぱり犬は知っている』の試し読みが公開されています。

▶『やっぱり犬は知っている』の試し読みはこちら

 

著者プロフィール

大倉崇裕(おおくら・たかひろ)

1968年京都府生まれ。学習院大学卒。1997年「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞佳作を受賞。1998年「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞を受賞。「福家警部補」「白戸修の事件簿」「警視庁いきもの係」シリーズがドラマ化され、反響を呼んだ。2017年、映画「名探偵コナン から紅の恋歌」の脚本を担当し、2021年のアニメ「ルパン三世パート6」ではシリーズ構成を手がける。他の著書に『死神さん』『怪獣殺人捜査 高高度の死神』『犬は知っている』などがある。

 
『小説推理』(双葉社)2026年3月号より転載