2026年度前期のNHK連続テレビ小説「風、薫る」は、明治時代に正規の教育を受けた看護師「トレインドナース」として活躍した大関和(おおぜき・ちか)と鈴木雅(すずき・まさ)をモデルにした物語です。
西洋看護が導入される激動の時代を舞台に、主人公の一ノ瀬りんを見上愛さん、もうひとりの主人公、大家直美を上坂樹里さんが演じます。境遇の異なる二人が「最強のバディ」として、互いに切磋琢磨しながら看護の道を切り拓く姿が描かれます。主題歌はMrs. GREEN APPLEの「風と町」に決定し、3月30日(月)より放送開始予定です。
ほんのひきだしでは、よりドラマを楽しんでいただけるように、放送に先がけて大関和さんと鈴木雅さんの関連本をご紹介します。
今回は、『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社)です。ぜひ書店店頭で手に取って、ドラマとあわせてお楽しみください。

著者:田中ひかる
発売日:2025年10月
発行所:中央公論新社
定価:924円(税込)
ISBN:9784122077089
〈章立て〉
プロローグ
第一章 故郷黒羽
第二章 鹿鳴館
第三章 桜井看護学校
第四章 医科大学附属第一医院
第五章 越後高田「知命堂病院」
第六章 東京看護婦会
第七章 大関看護婦会
エピローグ
NHK朝ドラ「風、薫る」原案!
朝ドラの主人公のモチーフとなった二人、大関和(ちか)と鈴木雅(まさ)の生涯を描いた原案本です。
実は、二人がお互いについて書き残した資料は残っておらず、実際にどのような交流が続いたのか、はっきりとはわかっていません。しかし、雅が情熱を傾けて創設した「東京看護婦会」を和に引き継いだ、という史実から、二人の間には強固な絆があったはず、と考えた田中ひかるさんによって、この物語が紡がれました。和と雅の友情を描いた、唯一の書籍です。
▲桜井看護学校修了式の日に。前列、右から2人目が大関和、左から2人目が鈴木雅
大山捨松、荻野吟子など、魅力的なサブキャラクターが多数登場!
本作には和や雅と共に、日本に看護の精神を根付かせようとした魅力的な先駆者たちが次々と登場します。
日本で最初の女子留学生で、アメリカで看護を学び、帰国後、「鹿鳴館の貴婦人」と呼ばれた大山捨松は、和の看護学校入学の背中を押します。また、日本初の公許女医となった荻野吟子は、雅とともに「大日本婦人衛生会」を設立し、女性たちへの衛生知識の普及に尽力します。さらに、日本における「白衣の天使」のイメージの端緒となった松浦里子など、日本に看護を根付かせるため、強い使命感を持ち、情熱的に生きた魅力的な女性たちが物語に深い彩りを添えています。
▲大関和
感染症の流行を防げ! 明治時代の看護婦たちの奮闘
新型コロナウイルスの流行により、人類にとって感染症がいかに恐ろしいものであるかを改めて知ることとなりました。
和と雅が生きた明治時代にも、コレラや赤痢といった感染症が猛威を振るい、多くの人が命を落としました。当時は、いったん病にかかれば「避病院」とよばれる隔離小屋に移され、ただ死を待つしかなかった過酷な時代です。
しかし、和たち看護婦はナイチンゲールが提唱した「衛生」という観点を持ち込むことで「避病院」の環境を改善し、大きな成果を上げます。まさに、看護の原点を伝える名シーンです。
▲鈴木雅
編集者からのメッセージ
本書の編集者より、メッセージをいただきました。
新型コロナウイルスの流行で、医療関係者、特に看護師の皆さまの献身に注目が集まりました。自らも感染するかもしれない危険をかえりみず、使命感を持って患者に向き合う姿に、心を動かされた方が多かったと思います。朝ドラ「風、薫る」のプロデューサーもそのおひとりだったそうです。看護師のドラマを作りたい、と様々な文献を読む中で、『明治のナイチンゲール 大関和物語』に着目されたとのこと。ドラマはオリジナル脚本で、主人公の名前や設定は異なりますが、「女性二人のバディ」という関係性は、この本で描かれる和と雅そのものです。ぜひドラマとともに、楽しんでいただけたら嬉しいです。
著者プロフィール

田中ひかる
たなか・ひかる。1970年東京生まれ。歴史社会学者・作家。博士(学術)。女性に関するテーマを中心に、執筆・講演活動を行う。著書に『明治のナイチンゲール 大関和物語』、『明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語』(以上、中央公論新社)、『生理用品の社会史』(KADOKAWA)、『月経と犯罪 “生理”はどう語られてきたか』(平凡社)など。
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