
- Z家族
- 著者:博報堂生活総合研究所
- 発売日:2025年09月
- 発行所:光文社
- 価格:1,188円(税込)
- ISBNコード:9784334107567
『Z家族』の要点
1.経済低迷の時代しか知らず「かわいそう」と言われがちなZ世代だが、実は生活の満足度・幸福度はとても高い。その裏には、親密すぎる家族関係「Z家族」の存在がある。
2.Z世代にとって、自分のことを最も理解し、かつ本当の自分をさらけ出せる相手は「母親」である。かつては同性の親友や恋人が占めていたポジションを、今は母親が占めるようになった。
3.この30年で女性の高学歴化・社会進出が進み、母親は子どもの勉強やキャリアに助言をするメンター的な存在になった。
4.就職内定者の保護者に了承を取る「オヤカク」が急増している。
『Z家族』レビュー
Z世代を分析した本は数あるが、本書はZ世代とその親の関係に着目したユニークな一冊である。
ある特定の世代の特徴や傾向を見出すには、「比較」が欠かせない。本書の著者である博報堂生活総合研究所は、2024年と、その30年前である1994年に大規模な「若者調査」を実施した。当時の19~22歳の未婚男女を対象に、同じ条件・同じ項目での意識調査を行い、両者を比較することで「若者像」を導くことを試みた。
そこから見えてきたのが、本書のタイトルでもある「Z家族」だ。今の若者(Z世代)の家族関係、特に母親との関係は従来のそれと比べて格段に近く、また親密になっているという。
かつて親は小うるさく煙たい存在で、10代にもなると誰もが親に反抗したものだ。しかし今の若者に目立った反抗期はなく、むしろ母親は「何でも相談できる相手」「本当の自分を見せられる相手」として、親友や恋人よりも近しい存在になっているというのだ。
本書では調査から得られた膨大なデータをもとに、驚くべき「事実」が次々と提示される。Z世代については「空気を読みすぎる」「SNSの影響で他人と比較しがち」「恋愛をしなくなった」などさまざまな言説が飛び交うが、データを引き合いに出しながら「本当の姿」を明かしていく。
子は育つ過程で親から多大な影響を受ける。親世代が経験したことがそのまま、あるいは反面教師的に子育てに反映され、それがZ世代の価値観として表れているのも興味深い。
『Z家族』が気になる方におすすめ
- お金の不安という幻想
- 著者:田内学
- 発売日:2025年10月
- 発行所:朝日新聞出版
- 価格:1,650円(税込)
- ISBNコード:9784022520845


