ほんのひきだしでは、2026年1月1日(木)から、各出版社の文芸編集者の皆さんが「今、この作家を読んでほしい」とおすすめする、短期連載企画「編集者が激推し!2026年の注目作家はこの人」をお届けします。
ぜひ、気になる作家や作品を見つけて、書店に足を運んでみてください。
中央公論新社 文芸編集部・小田巻彩恵さんの注目作家は「須藤アンナ」さん

須藤アンナ(すとう・あんな)
2001年東京都生まれ。『グッナイ・ナタリー・クローバー』で第37回小説すばる新人賞を受賞。
タイトルから惹かれてしまいました!
2023年「グッナイ・ナタリー・クローバー」で小説すばる新人賞を受賞した須藤アンナさん。閉塞感漂う田舎町で人生を諦めていた少女・ソフィアが、町の外から来たナタリーとの出会いをきっかけに運命を切り拓いていく受賞作は、幼い頃に読んだ児童文学のように美しい筆致でありながら、たしかな情熱が秘められていて、ぜひ著者の須藤さんに会ってみたい。次の小説を読みたい。と強く思わされました。
そんなこんなで須藤さんとのはじめての打ち合わせ。
何種類もプロット案を用意していただいたなか、とりわけ存在感を放っていた作品が『超 すしってる』でした。
すしってるって、なに? すしって、寿司のこと? 超ってなにが超なの???!
そんな、沢山のハテナが頭に浮かんでくるタイトル。
前作とは真逆といっていい、荒唐無稽なあらすじ。
でもだからこそ、惹かれてしまいました。
須藤さんのデビュー2作目『超 すしってる』の主人公は、東大に落ちた18歳の少女・サッチャー(本名:相川咲弥)。失意の彼女のもとに、受けた記憶もない「西東京すし教養大学」の合格通知が届きます。怪しみながらも「入学オリエンテーション」に向かったサッチャーを待ち受けていたのは、同じく「合格」した親友たち三人と謎の学長。
仲良く講義を受ける少女たちは「ハングリーであれ、すしであれッ!」という学長の指導のもと、水中呼吸を会得したり、手からワサビがでたり、着々と「すし化」していきます。
人間としての未来、家族や社会との繋がりから背を向けて、何者にもなれないから「すし」になる。
――でも、本当にそれでいいの?
大人と子どもの狭間で惑うサッチャーたちが摑む答えとは?
一見荒唐無稽な設定とは裏腹に、描かれる感情は驚くほどリアル。
何者かになりたい、でもなれない。
他者と繋がりたい。でもわかり合えない。
きっと貴方もサッチャーのなかにあの頃の自分を見つけるはず。
10代を生き抜いて大人になったみなさん、そして今まさに10代のみなさんに、ぜひお手に取っていただきたいです。
(中央公論新社 文芸編集部 小田巻彩恵)
- 超すしってる
- 著者:須藤アンナ
- 発売日:2025年12月
- 発行所:中央公論新社
- 価格:1,870円(税込)
- ISBNコード:9784120059742
- グッナイ・ナタリー・クローバー
- 著者:須藤アンナ
- 発売日:2025年02月
- 発行所:集英社
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784087718942


