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連載Vol.11:河出書房新社の編集者が激推し!2026年の注目作家は【坂本湾】『BOXBOXBOXBOX』

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ほんのひきだしでは、2026年1月1日(木)から、各出版社の文芸編集者の皆さんが「今、この作家を読んでほしい」とおすすめする、短期連載企画「編集者が激推し!2026年の注目作家はこの人」をお届けします。

ぜひ、気になる作家や作品を見つけて、書店に足を運んでみてください。

 

河出書房新社 「文藝」編集部・村田真衣さんの注目作家は「坂本湾」さん

坂本湾

坂本湾(さかもと・わん)

1999年生まれ。26歳。北海道生まれ、宮古島・福岡県育ち。『BOXBOXBOXBOX』で第62回文藝賞を受賞。

 

がっちりとした小説構造、無骨なまでにドライな文体は「一気読み必至」

2026年に読んでほしいイチオシの作家さんは、『BOXBOXBOXBOX』で第62回文藝賞を受賞しデビューした坂本湾さんです!

数多ある応募作のなかから初めてこの小説に出会ったとき、物が視点を得て、しだいに人間を非人間たらしめていく――そんな作品だと感じました。とりわけ、見えないものに存在を与えるその書きぶりは、「目に見えるものを本当に“見えている”と言えるのか」と読者の胸ぐらに迫るかのようです。

物流倉庫やベトナム人技能実習生といった現代的な設定を背景にしながら、労働につきまとう普遍的な問いが作品全体を貫いている点も印象的で、その象徴として反復されるのがまさしく「箱」というモチーフです。

くりかえし現れる「霧」はまた、人間の判断力を鈍らせ、感覚を麻痺させ、虚実の境界を曖昧にしていきます。霧が箱たちをじんわりと湿らせていくありさまが、がっちりとした小説構造をもちながら、ときに無骨なまでにドライな文体で書かれていく本作。「一気読みしてしまった」「世界観に吞み込まれた」といった感想が多く寄せられるのも、坂本さんが周到に練り上げた戦略によるものかと気付き、あらためて驚きます。

学生時代は演劇学科で舞台脚本を手がけていたという坂本さん。初めてお会いしたときの弾けるような笑顔は、思わずこちらまで口角が上がってしまうほどで、小説から受けるイメージとの思いがけないギャップが強く印象に残っています。

2026年「文藝」掲載に向けて現在、新作小説を準備中とのこと。次作でもさらに多くの読者が坂本湾という作家に出会い、その小説世界に慄き圧倒されてほしいと願っています。

(河出書房新社 「文藝」編集部 村田真衣)

BOXBOXBOXBOX
著者:坂本湾
発売日:2025年11月
発行所:河出書房新社
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784309032467