ほんのひきだしでは、2026年1月1日(木)から、各出版社の文芸編集者の皆さんが「今、この作家を読んでほしい」とおすすめする、短期連載企画「編集者が激推し!2026年の注目作家はこの人」をお届けします。
ぜひ、気になる作家や作品を見つけて、書店に足を運んでみてください。
祥伝社 文芸出版部・古舘遥さんの注目作家は「麻宮好」さん

麻宮好(あさみや・こう)
群馬県生まれ。津田塾大学卒。2020年、第1回日本おいしい小説大賞の応募作『月のスープのつくりかた』を改稿してデビュー。2022年、『恩送り 泥濘の十手』で第一回警察小説新人賞を受賞。2025年に『お内儀さんこそ、心に鬼を飼ってます おけいの戯作手帖』で第14回日本歴史時代作家協会賞「文庫書き下ろし新人賞」を受賞。著書に『月のうらがわ』『龍ノ眼』『母子月 神の音に翔ぶ』『日輪草 泥濘の十手』『天がたり』がある。
綾のように折り重なる想いと言葉
「人の心を言葉にするというのはおこがましい。けれども、それができた先には、とても美しい光景が見えるのかなと期待しています」
昨年、日本歴史時代作家協会賞の授賞式で、麻宮さんはこんな話をされました。
受賞作そのものを担当したわけではありませんが、この言葉を聞いて「麻宮さんと一緒に本づくりができて本当によかったな」と、心から思ったのです。
言葉は祈りにも呪いにもなる––というテーマで書かれたのが、1月に出る新刊『筆耕屋だんまり堂 心の色を文字にします』です。
主人公は、訳あって口が利けない筆耕師の数馬。文字に触れると書き手の想いや過去が浮かぶ不思議な力を持っています。依頼人の残した文字から“秘密”を知った数馬は、筆にほんの少し“味つけ”をして代書する。するとその一筆が思わぬかたちで人々を救う。やさしい言葉の一つひとつに、私は何度も胸を打たれました。
あれ? 数馬のやっていることは、冒頭のスピーチと同じではないか……。
気づいたときには鳥肌が立っていました。そして、これこそが麻宮さんの凄さなのだと思います。
私はこれまで『月のうらがわ』『龍ノ眼』の2冊を担当してきました。題材はまったく異なりますが、いずれも、言葉が人を救い、同時に傷つけもする瞬間が描かれています。大切な人に会いたいという願い、人の強さとは何か、 身近な人の死を受け入れること––これらの問いが、静かでうつくしい文章にのせられ、読者の胸にそっと置かれます。
2026年、麻宮さんは「筆耕屋だんまり堂」シリーズで3冊、単行本で1冊、既刊の文庫化1冊と、祥伝社だけで計5冊の刊行を予定しています。
さらに他社さんからの新刊も控えており、飛躍の一年になることは間違いありません! ぜひ書店へ行って、麻宮さんのやさしい言葉の数々に触れてみてください。
(祥伝社 文芸出版部 古舘遥)
- 筆耕屋だんまり堂 心の色を文字にします
- 著者:麻宮好
- 発売日:2026年01月
- 発行所:祥伝社
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784396351670
- 月のうらがわ
- 著者:麻宮好
- 発売日:2023年10月
- 発行所:祥伝社
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784396636555
- 龍ノ眼
- 著者:麻宮好
- 発売日:2024年09月
- 発行所:祥伝社
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784396636661



