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全国的なベストセラーとはぜんぜん違う~!?「本の街 神保町」の3書店が2025年ベストセラーを発表

神保町3書店のベストセラー

「本の街 神保町」の3書店、三省堂書店 神保町本店、東京堂書店 神田神保町店、書泉グランデの2025年のベストセラーランキングが発表されました。

日販やトーハン、オリコンなどが全国的に売れた書籍の2025年の年間ベストセラーをこのほど発表しましたが、そのランキングトップには『大ピンチずかん』や『国宝』などの著名なタイトルが並んでいました。しかし、「本の街 神保町」の3書店の年間ベストセラーはいずれも、それとはまったく異なるランキングとなりました。

果たして、各店では2025年にいったいどのような書籍が売れたのでしょうか? ぜひ皆様の目で確かめてください。

※【ご参考】日販2025年年間ベストセラー(総合)

日販年間ベスト

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神保町3書店のベストセラー

▲2026年3月19日オープン予定の三省堂書店 神田神保町本店をバックに“神保町3書店”の店長が揃い踏み!

 

ランキングは「売上冊数」と「売上金額」の2種類が公開されました。また、ジャンル別ではなく、あえてオールジャンル(総合)での集計となっています。まずは、売上冊数のランキングです。

 

【売上冊数ランキングベスト10】

三省堂書店 神保町本店

神保町3書店のベストセラー

 

東京堂書店 神田神保町店

神保町3書店のベストセラー

 

書泉グランデ

神保町3書店のベストセラー

2025年上半期のランキングでは全店共通でランキング入りした商品はありませんでしたが、年間ランキングでは『本なら売るほど(1)』が全店共通でランキング入りしました。

また、興行収入が、邦画実写作品の歴代最高記録を22年ぶりに更新したことでも話題になった『国宝 (上・下)』、イギリスのダガー賞受賞で話題になった『ババヤガの夜』が2店舗でランクインしました。

しかし、ランキング入りしたほとんどの作品が3店舗で被っておらず、各店それぞれの個性が際立ったランキングとなりました。

次に「売上金額」の上位ベスト10です。本の値段や、店舗でのイベントなどにより、売上金額は大きく変動します。売上金額でみると、さらに各店舗の特長がみてとれるランキングになるかもしれません。

 

【売上金額ランキングベスト10】

三省堂書店 神保町本店

神保町3書店のベストセラー

 

東京堂書店 神田神保町店

神保町3書店のベストセラー

 

書泉グランデ

神保町3書店のベストセラー

 

売上冊数ランキングとはまた違った作品が出てきました。やはり、売上別にみても、ほぼ被りのない、各店独特の結果となりました。

2025年上半期ランキングでは2店舗でランクインしていた『物語要素事典』が、書泉グランデのみでランキング入りを果たしているなど、年間を通じて、それぞれの書店の個性が色濃く出た結果となりました。

これらのランキングを踏まえて、それぞれの店長から自分の店舗のランキングについてコメントされています。

《三省堂書店 神保町本店 店長・杉浦さん》

冊数ランキングでは、文庫作品の圧倒的な強さが際立つ結果となりました。ベスト10のうち、ほぼすべてが文庫またはコミックです。金額ランキングでは第1位に、医師・薬剤師の必携書である『今日の治療薬』がランクインし、専門書ニーズの高さも堅調であることを示しています。

文庫では特に映画化で話題となった『国宝(上・下)』や本屋大賞受賞作の『成瀬は天下を取りにいく』など、実績のある良質な物語が支持されていました。

また、「往来堂書店さん企画 おすすめ文庫」は、中身の見えない販売形態ながらお客様に楽しんで受け入れられ、購買に繋がったことを示しており、読書体験を提案する書店としての取り組みが実を結んだ例と言えます。

全体的に見ると多くの読者が手軽に読めて、話題を共有しやすい作品が中心のランキングになりました。

《東京堂書店 神田神保町店 店長・星野さん》

冊数ランキングでは、ベスト10中8点が文庫とコミックとなりました。文庫はダガー賞受賞の『ババヤガの夜』、ノーベル文学賞受賞ハン・ガンさんの『すべての、白いものたちの』、映画が大ヒットした『国宝』と今年話題となった作品がランクイン。コミックが上位になるのは当店では非常に稀なことですが、刊行記念フェア&パネル展&サイン会を開催した台湾出身の漫画家・高妍さんの『隙間』が年間で堂々のランクインです。

金額ランキングの第1位は『TOKYO JAZZ JOINTS』で、発売以来当店のベストセラーランキング常連となり、よく売れています。第3位の『校正・校閲11の現場』や第9位の『空想店構え』など、文芸書に加えて編集・校正本や芸術系の作品もランクインするところは、やはり東京堂書店ならではだと思います。


《書泉グランデ 店長・高松さん》

まさかと言うべきか、これが書泉グランデだ!と言うべきか。物語を構成する要素をこれでもかと詰め込んだ『物語要素事典』が堂々、売上ランキング第1位に輝きました。思わぬ売り切らしで担当者ががっくり崩れ落ちるも、それをものともしない結果です。売上第3位の『ゲームフリーク 遊びの世界標準を塗り替えるクリエイティブ集団』は、長らく復刊が望まれたファン待望の一冊です。初速もさることながら1年を通して長く売れました。今も売れています。冊数のランキングを見ますと、三省堂書店さん、東京堂書店さんと同様に『本なら売るほど(1)』がランクイン。このあたり、ちょっとほっとします。『中世のパン』は2025年の中世本第1位。「黒パンではなく柔らかくて美味しい白パンを食べていた」「都市部ではこんなところにパン屋があった」などなど。パンにまつわるあれこれから、当時の社会のしくみや日々の営みが見えてきます。特典(有償特典)には「特製パン袋」が付きました。惜しくも2冠を逃した『貨物時刻表』をはじめ、どのようなランキングを出しても常に上位を占める鉄道時刻表には恐れ入るばかりです。その牙城を崩すべく、2026年もさまざまなジャンルの書籍を皆様にご提案してまいります。

 

2025年の神保町3書店のランキングはいかがでしたか?

2026年3月19日には「三省堂書店 神田神保町本店」がオープンします。徒歩3分くらいで3店舗をまわってしまえるくらいの距離感になります。こんなに近くにある本屋であっても売れているものはまったくと言っていいほど違っていますので、たくさんの本好きのみなさまには、ぜひぐるりと3書店を廻っていただきたいと思います。

お客さまがどのような狙いをもって本を探しにくるのか? 何を期待されて来店されているのか? それを日々突き詰めて、書店は売場を作り続けています。神保町の3書店は近距離にありながらも、それぞれ独自の個性を打ち出し、“似て非なる本屋”になっていることを、このベストセラーが裏付けることになりました。

あなたが気になる本はありましたでしょうか? 「本の街 神保町」の3書店だからこそ置いてある本もあります。ぜひ、年始に読みたい「この一冊」を神保町で探してみてはいかがでしょうか。

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「本の街 神保町」の3書店

三省堂書店

本の街・神田神保町に書店を構えて143年。現在、神保町本店ビルは建て替え工事が進み、2026年の新本店開業を目指して書店の未来を描いています。工事期間中はお隣の小川町にて仮店舗営業中です。

東京堂書店

1890年創業の神田神保町すずらん通りに面した新刊書店。文芸書、人文書をはじめ、各ジャンルの担当者が厳選した品揃えが特徴です。1階レジ前の平台「知の泉」(通称「軍艦」)は必見。新刊刊行記念の著者イベントも開催しています。

書泉

「書泉」「芳林堂書店」の2つの屋号の書店を展開。「鉄道」「アイドル」「プロレス」をはじめ「数学」「占い」など、さまざまなジャンルの本・雑貨を深く扱っています。著書にまつわるイベントも多数実施。