アーティスト、タレント、俳優としてマルチに活躍中のDAIGOさん。2025年12月12日公開の「映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行」では、新キャラクター・サンタクロース役のゲスト声優として出演されています。5歳の女の子と1歳半の男の子のパパとして育児にも奮闘中のDAIGOさんに、絵本への思いを、たっぷりと伺いました。
DAIGO
1978年生まれ、東京都出身。2003年にDAIGO☆STARDUSTとしてメジャーデビュー。2007年に結成したロックバンド「BREAKERZ」ではボーカルを務める。音楽活動のほか、バラエティ番組やドラマ、CMなど多方面でマルチに活躍中。明るいキャラクターと独特の略語「DAI語」でも人気を集めている。
カステラの甘い香りと夜の森のざわめき――絵本がくれた自由と勇気
――DAIGOさんは多方面で活躍されるなか、絵本作家としても『ビッグフェイスくん』『くまパンダものがたり』を発表されています。NHKラジオ「みんなの子育て☆深夜便」の〈真夜中の絵本〉コーナーで朗読にも出演されていますが、ご自身は、子どもの頃にどんな絵本が好きでしたか?
『ぐりとぐら』や『バーバパパ』のシリーズが好きだったことをよく覚えています。『ぐりとぐら』は、おいしそうなカステラを焼いて、みんなで食べるシーンが好きで何度も読みました。『バーバパパ』は、自由自在に形を変えていく能力が魅力で面白かったです。ストーリーが進むにつれてバーバパパ・ファミリーがどんどん増えていく様子も、賑やかで好きでした。
一方で、『モチモチの木』を初めて読んだときの気持ちも鮮明に覚えています。切り絵の独特の世界観が印象的で、同時に、子ども心には少し怖さも感じる内容でした。臆病な豆太が真夜中に走るシーンは、自分が豆太になって冒険しているような気持ちで、ドキドキしながらページをめくっていました。
本棚から始まる、子どもたちとの小さな冒険
――お子さんたちが寝る前に、読み聞かせをされていると伺いました。その日に読む本は、どうやって選ぶんですか?
本棚から、子どもたちが自分で好きな絵本を選ぶことが多いです。我が家の本棚には絵本コーナーがあって、5歳の娘ゾーンと、1歳10か月の息子ゾーン、それぞれの手の届く高さに区分けされているんです。幼稚園でおすすめされた本や、名作シリーズが多いですかね。蔵書の管理を妻がしてくれていて、読まなくなったら小さなお子さんのいるご家庭へ譲ったり、逆にいただいたりと増えたり減ったり、100冊以上はあると思います。
――そんなにたくさん! 娘さんと息子さんは、最近はどんな絵本がお好きですか?
娘は世界遺産が載っている本や、ジブリ映画の小説版やエジソンの伝記のような長めの本も読むようになってきました。絵本のお気に入りは、〈真夜中の絵本〉でも朗読した『にくのくに』です。タイトルも覚えやすくて言いやすいですよね、にくのくに。
――『にくのくに』は、ローストビーフ王、カラアゲ王、ハンバーグ王……と、たくさんの王さまが、「にくのくにのいちばんの王さま」を競い合うお話です。読み聞かせのときは、それぞれのキャラクターで声色を変えたり演じ分けることもありますか?
なるべくそうしたいと思っています。たくさん登場人物がいると、限界はあるんですけど(笑)。臨場感を大切にできたらいいなと思って、自分なりの読み方の工夫は結構しているつもりです。
アレンジもわりとしますね。たとえばある王さまが「かっ かっ かっ」と笑う場面でわざと長く、「かっ かっ かっ かっ かっ かっ かっ かっ かっ……」と、娘から「そんなに書いてないでしょ(笑)」と指摘されるまで続けるとか。そういった反応の変化で成長を感じることもあるので、コミュニケーションの場としても、とてもいい時間だと思っています。
――同じ絵本でも、読み方によって無限にイメージが広がりますね。1歳半の息子さんには、どんな絵本が人気ですか?
息子の関心はいま、仕掛け絵本や、図鑑に向いています。特に電車や動くものが出てくる絵本に興味津々で、『きかんしゃトーマス』はトーマスや仲間たちの名前も家族の中で一番覚えています。「トーマス、どこにいる?」って聞くと、僕よりも先に見つけて指差すんですよ。
おいしそうなパンの電車が、あんこさんやいちごジャムさんを乗せてぱぱーんぱぱーんと走っていく『ぱんぱんでんしゃ』も大好きで、お願いされて何十回読んだかわからないくらいです(笑)。
アーティストとして、親として DAIGOさんが描く“しあわせ探し”の物語
――DAIGOさんが描かれた『ビッグフェイスくん』『くまパンダものがたり』への、お子さんたちの反応はいかがでしたか?
どちらかというと『くまパンダものがたり』のほうが好評みたいです。理由を聞いたら、娘は「かわいいから」と言っていました。
――『くまパンダものがたり』は、顔しかない“くまパンダ”が、コロコロと転がりながら自分にぴったりの体を探しに旅に出る物語です。ドラム缶や、おすもうさん、アイスクリームになるといったちょっとシュールなところもありますね。
『くまパンダものがたり』は実は、パンダの落書きをしていたあるとき、胴体がうまく描けなかったことから生まれたストーリーでした。しあわせ探し、自分探しってなんだろう、というメッセージや、あきらめないことの大切さがテーマになっています。
『ビッグフェイスくん』は、コンプレックスって実は個性なんじゃないか、外見よりも内面が大切だよ、というメッセージを込めて描いたので、もう少し大きくなったら、また感想を聞いてみたいです。
――2作ともお子さんの生まれる前に描かれた物語です。いろいろな絵本を読み聞かせされるようになったいま、作品を見る目や描くときの気持ちに変化はありましたか?
そうですね、「ここはもっと簡単な言葉にすればよかったかな」といった気づきはありました。
子どもって、本当にめまぐるしいスピードで成長していきます。絵本の好みにしても、年齢によって、もっといえば日によって興味が変わります。全方位をカバーする難しさは実感しましたし、でも逆に、その時々にだけ刺さるエンターテイメントがあるという事実は、音楽やほかのクリエイティブの面でも勉強になっています。
――新作の構想はいかがですか?
できれば3部作にしたい気持ちはあります。いまの絵本ってどんどん進化していて、内容も画力も、ものすごいクオリティが高いんですよね。仕掛け絵本でも、大人の僕がびっくりするアイデアがたくさんあります。僕はそういった変わったことはできないけれど、シンプルに楽しく何度も読んでもらえるような絵本を目指して、しっかり構想をあたためていきたいです。
K・O・T――子どもも大人もたのしい、絵本は人生の宝物
――最後に、絵本の魅力をDAI語でお願いします!
絵本の魅力……(目を閉じて、しばしシンキングタイム)そうですね、絵本ってすごく多面的な魅力があるから、いろいろなワードが浮かんでくるけど、いちばんシンプルに言えば「K(こどもも)・O(おとなも)・T(たのしい)」だと思います。
子どもたちに読み聞かせをするようになって、名作シリーズを読み返して改めてハッと気付かされることも多いです。有名なタイトルや、読んだことがあるはずの作品も、意外とストーリーを忘れていたり、大人になったいまだからこそ心に響くメッセージがあったりしますよね。
日本民話が元になっている『へっこきよめさん』を改めて読んだときは、あまりに理想的なエンターテイメントで衝撃を受けました。短い文章に起承転結がぎゅっと詰まっていて、びっくりするようなオチもあって。
先日は『もうじきたべられるぼく』を娘に読んでいて、僕のほうが泣きそうになってしまいました。娘にとっても大切な学びになっているようで、幼稚園でお友だちと「大切ないのちをいただいているんだよね」という話をしたそうです。
絵本って、楽しいし、勉強にもなるし、家族や友だちとのコミュニケーションにもなる。いいことしかないですよね。しかも読んだその時だけでなく、大人になって読んで、違う視点で考えさせられることも多いじゃないですか。短い時間で楽しめるから、むしろ忙しい大人にこそ読んでほしい気持ちもあります。本当に特別な、人生の宝物になるクリエイティブですよね。
(取材・文:藤崎美穂)
