動物言語学者の鈴木俊貴さんによる著書『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)が、「書店員が選ぶ ノンフィクション大賞 2025」の大賞を受賞しました。
2025年1月の発売以来、累計17万部を突破している本書は、すでに「第13回河合隼雄学芸賞」「第24回新潮ドキュメント賞」「かってに芥川賞・直木賞」(芥川賞部門)を受賞しており、今回の「ノンフィクション大賞」受賞により4冠を達成する快挙となりました。
シジュウカラの「言葉」を解明した話題作

『僕には鳥の言葉がわかる』
著者:鈴木俊貴
発売日:2025年1月
発行所:小学館
定価:1,870円(税込)
ISBN:9784093891844
本書は、「言葉を持つのは人間だけ」という常識を覆し、「シジュウカラが20以上の単語を組み合わせて文を作っている」ことを世界で初めて解明した研究者による科学エッセイです。
動物学者を志したきっかけ、楽しくも激ヤセした森でのシジュウカラ観察の日々、鳥の言葉を科学的に解明するための実験方法などが、ユーモアたっぷりに綴られています。シジュウカラへの情熱と愛情あふれるみずみずしい視点に導かれるうちに、動物たちの豊かな世界への扉が開かれます。読後に世界の見え方が変わると話題の一冊です。
鈴木俊貴さんからのメッセージ
今回の受賞にあたり著者・鈴木俊貴さんからの受賞コメントが寄せられています。
「どうして鳥たちは、こんなにいろんな声を出すのだろう?」──今からちょうど20年前、そんな素朴な疑問から、僕の研究は始まりました。朝から夕まで森のなかで、鳥たちを夢中で追いかける日々。観察と思索を繰り返し、時には実験によって確かめながら、自分なりの方法で研究を進めてきました。そしてたどり着いたのは、鳥たちの驚くべき言葉の世界。シジュウカラの鳴き声の一つひとつには意味があり、かれらはそれらを組み合わせて「文」をつくることまでできるのです。古代ギリシャ時代から現代まで、言葉を持つのは人間だけだと信じられてきました。しかし、シジュウカラたちは、それよりはるか昔から、かれら自身の言葉を操り、生き抜いてきたのです。どんなに身近な自然のなかにも、まだ僕たちの知らない世界が、きっと色鮮やかに広がっているはずです。本書が、そんな世界への扉を開くきっかけとなれば嬉しいです。
著者プロフィール

鈴木俊貴
すずき・としたか。動物言語学者。東京大学准教授。1983年、東京都生まれ。日本学術振興会特別研究員SPD、京都大学白眉センター特定助教などを経て、現職。文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、日本生態学会宮地賞、日本動物行動学会賞など受賞多数。初の単著となる『僕には鳥の言葉がわかる』で、第13回河合隼雄学芸賞、第24回新潮ドキュメント賞を受賞。愛犬の名前はくーちゃん。
受賞記念トークイベント
「書店員が選ぶ ノンフィクション大賞 2025」大賞受賞を記念して、著者・鈴木俊貴さんのトークイベントが開催されます。
日時:2025年11月17日(月)19:00~20:00
会場:ジュンク堂書店 池袋本店 9階イベントスペース(東京都豊島区南池袋2-15-5)
お申し込みはこちら
「書店員が選ぶ ノンフィクション大賞」とは
丸善ジュンク堂書店各店および日本全国の書店員が、対象期間中に発行されたノンフィクションのなかでもっとも「売りたい」と思う作品を選ぶ賞です。第1回目となった2023年は対象期間は設けない「オールタイムベスト」という基準で選考、2024年からは年ごとに年度ベストを選定しています。ノミネートされた50作品に対して、9月1日~9月20日の期間、全国の書店員に投票を募り、大賞が決定されました。