高瀬隼子の小説が初の映画化!
『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子さんが2023年に上梓した小説『うるさいこの音の全部』の映画化が決定しました。
本作の主人公は、ゲームセンターで働く長井朝陽。ペンネーム「早見有日」として小説家デビューし、文学賞を受賞します。世の中に早見有日が注目されると、朝陽自身が兼業作家であったことも職場、友人、地元にも知れ渡り、そこから周囲の朝陽に対する接し方が少しずつ変化していきます。そして、小説の世界が徐々に現実を侵食し始めます…。
主人公・長井朝陽役を演じるのは、雑誌『nicola(ニコラ)』で専属モデルを4年半務め、連続テレビ小説「虎に翼」などに出演し、活躍の場を広げている川床明日香さんです。
日常に潜む微細な違和感と、人間の内面における心理の揺れ動きを深く描いた原作は、「言葉にはし難いけれどわかる気がする」と多くの読者を作品世界へ没入させてきました。
映画は、2025年秋に撮影を開始し、2026年冬の公開を目指して現在鋭意制作が進められています。映画公開に先駆けて、ぜひ原作もお楽しみください。
原作
著者:高瀬隼子
発売日:2023年10月
発行所:文藝春秋
定価:1,760円(税込)
ISBN:9784163917610
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。
(文藝春秋公式サイト『うるさいこの音の全部』より)
主演:川床明日香さんよりコメント
脚本を読んでみて、仕事をしている私と生活している私。同じであるけど違う。
私はこれまでにそのことについて何度考えを巡らせたのだろうと思いました。
でもそれは家族や友達といる時の自分、学校や会社での自分といったどんな人も感じたことのあるものなのではないのかと思います。同じであるのに違う自分への違和感たちをどう映像に映し出せるのだろうと今から胸をときめかせています。
撮影はこれからではありますが、皆様に素敵な作品を届けられるのではないだろうかと確かに感じています。初主演、身が引き締まる思いです。
これまでとこれからの全てに感謝して長井朝陽を生きていきます。よろしくお願いします。
【プロフィール】
川床明日香
かわとこ・あすか。2002年7月10日生まれ。福岡県出身。2014年「第18回ニコラモデルオーディション」にてグランプリを受賞(総勢11,256人)。雑誌『nicola(ニコラ)』の専属モデルを4年半務め、CM「積水ハウス」で注目を集める。2021年はサカナクション「SAKANAQUARIUM アダプト TOUR」に出演。近年の出演作は舞台「こまつ座 第153回公演『フロイス ―その死、書き残さず―』」、映画「長崎―閃光の影で―」「室町無頼」「ブルーイマジン」「沈黙のパレード」、連続テレビ小説「虎に翼」、ドラマ「先生さようなら」「約束 〜16年目の真実〜」など。NHK FM「サカナクション・山口一郎 〜Night Fishing Radio〜」にレギュラー出演中。
原作:高瀬隼子さんよりコメント
思春期の頃の「ほんとうの自分ってなんだろう」という悩みを、成長するにつれ、「青くさい」と笑って、なかったことにしましたが、結局はずっと捕らわれ続けているのかもしれません。
こう見られたい自分、そう見られてしまう自分、意識している自分と、意識されている自分。
自分にとってのわたしと、他者にとってのわたしを、イコールでまっすぐ結べないことが、時々叫び出したくなるほどくるしいです。
この物語を書いたのは、そういった「くるしい」が頭の中でがんがん鳴り響き、うるさくてたまらなかった時でした。自分の書いた小説が映像化するのは初めてで、人物が、物語が、スクリーンの中でどのように息をするのか、全然想像できなくて、すごく楽しみです。
【プロフィール】
高瀬隼子
たかせ・じゅんこ。1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学文学部卒業。2019年『犬のかたちをしているもの』で「第43回すばる文学賞」を受賞しデビュー。2022年『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞を受賞。著書に『犬のかたちをしているもの』『水たまりで息をする』『いい子のあくび』『め生える』『新しい恋愛』がある。
映画「うるさいこの音の全部」クラウドファンディングも開始予定
本作を最高のクオリティで完成させ、一人でも多くの観客に届けるため、クラウドファンディングの開始が予定されています。集まった資金は、製作費を中心に充てられます。また、宣伝・広報費や、支援してくださった方々へのリターンにも充当されます。
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