- 論破という病
- 著者:倉本圭造
- 発売日:2025年02月
- 発行所:中央公論新社
- 価格:1,210円(税込)
- ISBNコード:9784121508348
『論破という病』の要点
1.今の日本に必要なのは、「メタ正義的な議論のコーディネーター」である。立場の異なる者同士が協力して社会の現場に根差した問題解決を目指すことが求められる。
2.合理性重視の「水の世界」と、人のつながりを重んじる「油の世界」の対立を乗り越えるには、「エマルション(乳化)」の発想が重要となる。
3.日本社会に変化を求める際は、油の価値を壊さず、水と油のwin-winを目指すことで、水側の改革も進めやすくなる。
『論破という病』レビュー
「正義の反対は何だと思う?」。以前こう尋ねられたときに頭に浮かんだのは「正義」だった。自分の立場を正しいと考え、対立する側にいかに自分たちの主張を受け入れるよう説得するか。こうした対立の構図がさまざまなシーンで見受けられている。これでは対立は解消できず、新たな境地を開くことは難しいだろう。
日本中に吹き荒れる「論破という病」を乗り越えるためには、我々善人たちの敵を倒せばいいという「20世紀型の妄想」から目を覚ます必要がある、というのが著者の主張だ。
著者の倉本圭造氏は20年以上、日本社会の対立する色々な立場の間をつなぎながら、前向きな変化を起こしてきた。「経営コンサルタント」としての経験から現場レベルの現実を冷静にひもときつつ、同時に「思想家」の広い視野で捉え返すことで活路を見出そうとする。大切なのは、相手が持つ正義も自分が持つ正義も両方尊重する世界観、「メタ正義感覚」だという。
「分断された2つの世界」を結びつけて新しい希望を生み出すにはどうすればいいか? 具体的な問題解決へと協力し合うための道筋が、数々のケーススタディを通じて描かれている。実験と模索を続けてきた著者ならではの世界のレンズは、現実的でそれでいて優しい。相手の存在意義に真摯に向き合うことの大切さを教えてくれる一冊だ。果たして日本は「論破という病」を克服できるのだろうか。
『論破という病』が気になる方におすすめ
- 西洋近代の罪
- 著者:大澤真幸
- 発売日:2025年04月
- 発行所:朝日新聞出版
- 価格:1,155円(税込)
- ISBNコード:9784022953131