作家・有吉佐和子さんの不朽の名作『青い壺』が、今、ふたたび脚光を浴びています。
本書は、『文藝春秋』1976年1月号〜1977年2月号に連載されていた全13話の連作短編集です。昭和の高度経済成長期を舞台に、ある陶芸家が作った「青い壺」が、持ち主から持ち主へと渡っていく中で巻き起こる人間模様が軽妙に描かれています。
一度は絶版になったこの作品は、2011年に復刊されてから人気が再燃しました。そして近年、さらなるヒットを記録し、2025年上半期文庫ベストセラーの文庫部門(日販調べ)で第1位となりました。その後も勢いは止まらず、累計発行部数はついに85万部を突破しました。
タレントの黒柳徹子さんも作品に感銘を受け、「感情が手に取るように分かる。とても見事!」と絶賛のコメントを寄せられました。
著者:有吉佐和子
発売日:2011年7月
発行所:文藝春秋
定価:847円(税込)
ISBN:9784167137106
半世紀前に書かれた小説が、累計85万部突破!
昭和も令和も変わらぬ人間模様、リアルな生活描写を青い壺が絶妙に映し出す、絶対品質保証のエンタメ作。
シングルマザーの苦悩、すれ違う夫婦、相続争いに悩む娘の言葉を聴いてドキリとする親…
人間の奥深く巣食うドロドロした心理を小気味よく、鮮やかに描き出す絶品の13話の中には
あなたの知っている人が必ずいます。「誰かと語り合いたくなる」––––
壺にハマる人、ますます増えています!(文藝春秋公式サイト『青い壺』より)
50年経っても色あせない、共感を呼ぶテーマ
なぜ、50年近く前の作品がこれほどまでに売れているのでしょうか。その理由の一つは、現代の私たちにも共感を呼ぶ普遍的なテーマが描かれているからかもしれません。
物語の鍵となる「青い壺」は、定年後の夫婦関係や、親の介護、相続をめぐる家族の葛藤など、さまざまな人間ドラマを巻き起こします。登場人物たちが直面する問題は、令和の時代を生きる私たちにとっても決して他人事ではなく、有吉さんの先見性が感じられます。
『青い壺』復活からベストセラーまでの歩み
『青い壺』は、これまで多くの著名人やメディアに取り上げられてリバイバルヒットとなりました。2025年8月までに新装版だけで62万部が発行されています。
2011年:絶版となっていた『青い壺』が文春文庫から復刊。徐々に読者の間で人気が広まる
2023年:作家の原田ひ香さんが「こんな小説を書くのが私の夢です」という帯文を寄せ、大きな話題に
2024年11月:NHK「おはよう日本」で本書が特集されると、全国の書店から注文が殺到
12月:NHK「100分de名著「で有吉佐和子特集が放送され、さらに注目度が高まる
2025年2月:爆笑問題の太田光さんがラジオで「信じられないくらいに面白い!」と絶賛し、勢いはさらに加速
5月:「2025年上半期ベストセラー(文庫部門)」(日販、トーハン、オリコン調べ)で、第1位を獲得
8月:テレビ朝日「グッド!モーニング」で紹介され、Amazon「本」ランキングで第3位まで急上昇
8月:黒柳徹子さんが絶賛のコメントを寄せる
50年の時を経て、令和の日本に旋風を巻き起こす『青い壺』を、この機会にぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
有吉佐和子プロフィール
提供/文藝春秋
紀州を舞台にした『紀ノ川』『有田川』『日高川』三部作、世界初の全身麻酔手術を成功させた医者の嫁姑問題を描く『華岡青洲の妻』(女流文学賞)、老人介護問題に先鞭をつけ当時の流行語にもなった『恍惚の人』、公害問題を取り上げた『複合汚染』など意欲作を次々に発表し人気作家の地位を確固たるものにする。多彩かつ骨太、エンターテインメント性の高い傑作の数々を生み出した。1984年8月逝去。
※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです