9月30日(火)より順次、全国約600書店にて配布が開始されたBLコミックガイド「B+LIBRARY(ビープラスライブラリー) vol.18」。
vol.18の表紙は、8月に連載がスタートした鈴丸みんたさんの最新作、『夏果てのアンノウン』が飾りました!
今回は特集として鈴丸みんたさんにBLへの想いや『夏果てのアンノウン』の創作秘話などについて、インタビューを実施しました。本記事では、冊子に掲載しきれなかった内容も含めて、インタビュー全文を公開します。
鈴丸みんた
2017年に『キューピッドに落雷』でコミックスデビュー。男子高校生たちの初々しい恋を柔らかなタッチで描き、人気に。以降も、TVドラマ化された『タカラのびいどろ』(新書館)をはじめ、次々とヒット作を生み出している。2025年8月には『キューピッドに落雷』シリーズの最新作、『夏果てのアンノウン』(光文社)の連載がスタートした。
いたずらだと思ってスカウトを……? 不安だらけだったデビューまでの道のり
――BL作品を描き始めたのはいつ頃ですか?
中1の時にできた友人の影響で描いてみたのが始まりでした。それまで一切描いてこなかった男性キャラクターも頑張って描くようになったのでBLの力は偉大です。
――商業BL作家としてデビューするに至った経緯をお聞かせください。またそのとき、どのような心境でしたか?
編集者の方からご依頼メールをいただいたのがきっかけです。でも当時はなんてよくできたいたずらだろうと思い、何か月もメールを無視しておりまして(本当にごめんなさい)、後日、私が本を頒布していたイベント会場にその編集者の方がわざわざ足を運んでくださったことで結ばれたご縁でした。
心境としましては、商業BL大好きだけど、まさか自分がお仕事として描くなんて一切考えてなかったのでかなり不安で、読んでくれる人が誰もいなかったらどうしよう……と友人にかなりしつこく泣きついていました。絶交されなくてよかったです。
――もともと漫画はお好きでしたか? 漫画に限らず、お好きなもの・こと、ご自身の創作の源泉や、影響を与えていると思うものについてお聞かせください。
漫画は子どもの頃からよく読んでいましたが、どちらかというとゲームに目がない子どもでして、物語に感動したりキャラクターを観察したりしだしたのもゲームが最初だったと思います。絵もゲームのキャラクターばかり描いていました。今もゲームから刺激をもらうことが多いですが、普通に時間泥棒なので困っています。
――作品を描くにあたり、大切にされていることは何でしょうか。
萌えを追求することです! 萌えは全てを解決します!
――キャラクターを描くにあたって「ここは外せない!」というこだわりポイントはありますか?
攻め受けどちらか、あるいは両方を美形やイケメン設定にします。顔が良いキャラが大好きです。
――原稿作業中に欠かせないもの(お菓子や飲み物、音楽など)はありますか?
ラムネと水です。この2つがあれば急に空腹でくたばることはまずないです。
――原稿作業の気分転換にされていること(ストレッチや映画鑑賞、ゲームなど)はありますか?
気分転換したが最後、その宴は三日三晩続くのですべて封印します。でもソーシャルゲームのアップデート日が重なるとその限りではありません。
自ら提案した新連載! 「ふたりには死ぬほどキスさせたい」
――この度は新連載開始おめでとうございます。『夏果てのアンノウン』の連載が決定したとき、どのようなお気持ちでしたか?
ありがとうございます! 今回の連載は私から言い出したことなので「やったるぞー!」というような気持ちでした。なるべくこのまま不安に足を取られることなく前を向いて頑張りたいです。ねっ! ハ○太郎!
――『キューピッドに落雷』では、主人公の蒼生の友人として登場した輝人と勇志ですが、『夏果てのアンノウン』でふたりのお話を描くことになった経緯についてお聞かせください。
輝人と勇志は大変ありがたいことに『キューピッドに落雷』の頃から根強いファンの方がいらっしゃる印象がありまして、その方たちに届けるなら何が一番良いのか考えた結果、やはり連載なのではないか、と思ったので私から担当さんに提案しました。ふたりがどうなるかはまだわかりませんが、キスは死ぬほどさせたろうと思っています。
- キューピッドに落雷 新装版
- 著者:鈴丸みんた
- 発売日:2023年12月
- 発行所:光文社
- 価格:814円(税込)
- ISBNコード:9784334101510
- キューピッドに落雷 追撃 新装版
- 著者:鈴丸みんた
- 発売日:2023年12月
- 発行所:光文社
- 価格:814円(税込)
- ISBNコード:9784334101527
――今回、「B+LIBRARY vol.18」の発行に際して描き下ろしていただいた『夏果てのアンノウン』のイラストについて、場面設定や注目ポイント、裏話があればお聞かせください。
夏っぽくてかわいいきらゆう(輝人と勇志の略)を描くぞ〜!という目標のもと、できあがったのが今回のイラストになります。今まできらゆうのイラストは、主に私の好みによってどこかしっとりとした雰囲気のものを描くことが多かったのですが、本来もっとカラッとした空気も持ち合わせているはずの2人なので、今回はそういう部分を描けてとっても楽しかったです!
――キャラクターづくりやストーリー展開などにおいて、『キューピッドに落雷』から変わらず引き継いでいる要素や、あるいは『夏果てのアンノウン』から取り入れた新しい要素について教えてください。
『夏果てのアンノウン』は『キューピッドに落雷』からほぼちょうど1年後のお話なので、輝人と勇志は2年生から3年生になっています。作画的には、勇志の髪型をちょっと変えていたり、髪のトーンの色を以前より暗くしたりしています。少しでも画面を埋めるため……。
――もともと幼馴染みとして距離の近い輝人と勇志ですが、『夏果てのアンノウン』では、そんなふたりの関係のどんな部分を特に掘り下げて描いていきたいですか?
それこそ「距離の近さ」を掘り下げていきたいです。なぜそうなのか、どこまで近寄ることを許すのか、など……考えただけでニヤッとします。
自分の「好き」を詰め込んでできた!? “きらゆう”誕生秘話!
――『夏果てのアンノウン』の第1話で、特に力を入れたシーンや描いていて印象に残ったシーンを教えてください。
印象に残っているのは、最初らへんで輝人にプッス~と笑われた後の勇志の顔です。ちょっと砕けた変な顔を描くのが好きなので、隙あらば今後もさせていきたいです。
――第1話には、輝人が勇志の涙を舐めとるといった大胆な描写がある一方で、ハグで勇志を安心させるような穏やかなシーンも描かれていました。こうした身体的な接触の「濃さ」に変化をつけるうえで、どのようなことを意識していましたか。
特に意識していませんでしたが、輝人が大胆なことをするときは自分本位に動いているときで、優しく触れているときはちゃんと勇志のことを考えているときなんだろうなとは思います。優しく穏やかにできたんだ、輝人って……。
――第1話では、勇志の心情描写に「雪が降り積もる」表現が繰り返し登場しますが、夏という季節設定とのギャップもあるなかで、冬のモチーフ選ばれた背景やそこに込められた思いなどがあればお聞かせください。
勇志の心情描写については、嫌なことやつらいことは降り積もっていくもの→降り積もるといえば雪。そういったことを語らない人は語らないし、誰にも気づかれないまま心が埋もれちゃったりしているんだろう→積もるタイプの雪は静かに降って知らないうちに山盛りになっている……などと紐付けしながら考えていました。
あとギャップって目立つので、タイトルにある夏と正反対のものを冒頭に置いたら面白いかなという邪な思惑もありました。
――第1話の終盤では輝人と勇志が濃厚なキスを交わします。この時点で、ふたりの関係はまだ明確に恋愛関係でなく、あくまで幼馴染みとしての距離感が残っている印象ですが、このキスにはどのような意味が含まれているのでしょうか。
この先輝人が語ってくれることでしょう! たぶん!
――『夏果てのアンノウン』の今後の見どころや注目ポイントを教えてください。
内容については触れられないので輝人と勇志の容姿について語っておきます。
遡ること8年前(8年前!?)、『キューピッドに落雷』に登場するモブを考えねばならず、まあモブだし今後描く機会もらくがき以外はないだろうと何も考えず、ただ自分の好きなパーツを山ほど詰め込んでできあがったのが輝人と勇志でした。つまりビジュアルがめちゃくちゃ私好みな2人なのです。
2人の容姿にも注目していただき、もし刺さった方がいらっしゃいましたら……私とソウルメイトになりましょう。
――『夏果てのアンノウン』の連載を心待ちにしていたファンもいれば、本作をきっかけに先生の作品を初めて読む方もいらっしゃると思います。それぞれの読者に向けて、これからどのような想いで本作を届けていきたいですか?
本作を心待ちにしてくださっていた方も、本作で初めて私の作品を読んでくださる方も、どちらも『夏果てのアンノウン』を読むことを選んでくれた方なので、そのお気持ちを裏切らず絶対にキュンキュンさせたいです。いや、させます! 言ってしまった……。
最大の萌えは「男が男に身体を許す」瞬間
――ご自身にとって「BL」の魅力とは何でしょうか。
また、これから挑戦してみたいジャンルや、BLに限らず今後挑戦していきたいことがありましたらお聞かせください。
「男が男に組み敷かれる、そしてそれを許す」というところに私は最大の魅力を感じています。受け側が肉体的にも精神的にも強い男であればあるほど、身体を許したときの衝撃と萌えがすごいので、世のBLみんなセックスしてほしいしそれを見せてほしいです。急に身も蓋もない話をして本当に申し訳ありません。
挑戦してみたいジャンルは人外BLです! 人間じゃない攻めを描いてみたいです! 各担当様、どなたか受け入れてください!
――「B+LIBRARY」読者へのメッセージをお願いいたします。
ここまで読んでくださりありがとうございました! お暇つぶしになれていたら幸いです。みなさまが楽しく健康に良きBLライフを過ごせますよう願っております。
「B+LIBRARY」について
「B+LIBRARY」は、キャラ属性や萌え度、ジャンルといった切り口から好きなBLコミックを探すことのできるガイドブックです。BLポータルサイト「ちるちる」に投稿された10万件以上のレビューや、BLコンテンツを扱うサイトで収集されたデータをもとに作品を厳選し、「スパダリ攻め」「メガネ受け」といった設定別で掲載。「好きなジャンル」「好きな作家」「絵柄」などさまざまな切り口で作品を選ぶことができるので、新たなBLコミックと出合ったり、見逃していた作品を見つけたりするのに役立ちます。
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