金沢学院大学が主催する「島清(しませ)恋愛文学賞」の選考会が7月31日に行われ、ヒコロヒーさんの『黙って喋って』が受賞作に決まりました。芸人の受賞は、この賞が創設されて以来、初めてのことです。受賞を受けて、緊急重版も決定しました。
本書は、刊行時から作家の吉本ばななさん、西加奈子さんの推薦コメントに加え、歌人の俵万智さんがX(旧Twitter)で「ヒコロヒーさんの小説が、ほんっっっとうに良くて、恋する誰かと語り合いたい。」と投稿したことでも話題になりました。
友達以上恋人未満の彼に「あと十分一緒にいたい」とどうしても言えない甘酸っぱい瞬間から、「分かってる女」として振舞ってしまい同僚を貶める発言をたしなめられなかったもどかしさ、既婚者である彼の妻との会話に覚える苛立ちまで、「こんな瞬間、私にもあった」と恋する気持ちを思い出させる18本の物語が収録されています。ぜひ、書店で手に取ってご覧ください。
書誌情報
著者:ヒコロヒー
発売日:2024年1月
発行所:朝日新聞出版
定価:1,760円(税込)
ISBN:9784022519573
※受賞新帯は、8月下旬ごろから書店にて展開予定です
「国民的地元のツレ」、ヒコロヒー初の小説! 平気をよそおって言えなかった言葉、感情がほとばしって言い過ぎた言葉。ときに傷つきながらも自分の気持ちに正直に生きる人たちを、あたたかな視線で切り出した共感必至の掌編18編を収録。
(朝日新聞出版公式サイト『黙って喋って』より)
ヒコロヒーさん受賞コメント
私みたいなろくでもない人間によるろくでもない話の数々が受賞とはわけのわからぬ恐縮な思いですが、こんな光栄な出来事に見舞われることができたのは、連載のお話をくださった朝日新聞ウェブの編集長、単行本化にあたって原稿の遅延行為を繰り返すだらしない私の面倒を見てくださった朝日新聞出版のおおらかな編集のお二人、優しい言葉で単行本の帯を包んでくださったばななさんと加奈子さん、各所で「芸人が書いてるからってなめちゃいけないよ」と熱く感想を述べてくださっていた俵万智さん、そういった方々のおかげで手に取り読んでくださった全ての皆さまのおかげかと思います。
普段はでたらめなコントをしています。謝りません。
【著者プロフィール】
ヒコロヒー
1989年愛媛県生まれ。芸人。他の著書にエッセイ集『きれはし』がある。本書は初の小説集となる。
「島清恋愛文学賞」とは
「島清恋愛文学賞」は、金沢学院大学が主催し、その年に出版された最高の恋愛小説を選ぶ文学賞です。
直近では、一穂ミチさん『光のとこにいてね』、上田岳弘さん『最愛の』、吉田修一さん『ミス・サンシャイン』、吉川トリコさん『余命一年、男をかう』、山本文緒さん『自転しながら公転する』、綿矢りささん『生のみ生のままで』、三浦しをんさん『ののはな通信』などの作品が受賞しています。
今年の選考委員は、村山由佳さん、桜木紫乃さん、島田雅彦さん、金沢学院大学学長・秋山稔さんの4名によって行われました。