各出版社を代表する雑誌の編集長によるリレー連載「編集長雑記」。
今回は、6月17日に創刊40周年を迎えた生活情報誌『オレンジページ』の編集長・長谷川美保さんのご登場です。
創刊時の「読者とともに」のモットーをいまなお進化させ、新たなチャレンジで読者のニーズに応え続ける『オレンジページ』。長谷川編集長が見てきた誌面作りの根幹と、区切りを迎えて新たに取り組むこれからについて、編集長に綴っていただきました。
▼『オレンジページ』最新号はこちら
- オレンジページ 2025年 7/17号
- 著者:
- 発売日:2025年07月02日
- 発行所:オレンジページ
- 価格:598円(税込)
- JANコード:4910210230752
チャレンジを続ける「オレぺのよさ」を、多くの人に伝えたい
「読者とともに」をモットーに創刊された『オレンジページ』。私が(株)オレンジページに入社したのは、創刊から十数年経ったころではありますが、「読者コミュニケーション部」という対読者の部署があることに驚きましたし、掲載するレシピを、社内にある「キッチン」で編集者がエプロンをつけて試作しているのも衝撃でした。
編集部に配属されてしばらくは、主な仕事は「試作」で、センパイたちの書いた原稿と撮影してきたポジを見ながら、そのとおりに作れるか、検証する日々でした。これは語り継がれているエピソードなのですが、バレンタインの前日になると、編集部に電話がかかってきて、「うまく焼けない」「チョコが固まらない」といった読者からの相談が殺到(!?)するため、バレンタイン企画の担当者はアドバイスのために編集部で待機していること、と言われたものでした。
ざっと「読者とともに」の例を挙げましたが、これは40年経った今も変わらないこと。掲載レシピは、すべて試作をしていますし、さらに言うと、当時は載せていない編集者による「試作メモ」を今はページの脇につけており、試作したことによってわかった、いわばおせっかい的アドバイスも掲載しています。また変わらず「ご意見ダイヤル」があり、さすがにフォームからのお問い合わせ件数のほうが多いですが、読者からのご意見や感想をダイレクトにいただいています。
ライフスタイルは、時代によって大きく変わってはいますが(読者層でいうと、専業主婦から働く女性がメイン読者に)、どんなときも、日々ごはんを食べ、確かな暮らしがあることは変わりません。つまりそれは、いつの時代も『オレンジページ』のコンテンツが求められ得る環境である、ということ。「読者とともに」を実践し続け、読者の声に耳を傾けている限り、応えていくことはできるのです。そのため今は、月に1回読者とのミーティングの場を作っており、みなさんの悩みや知りたいことをフカボリしたり、「オレンジページメンバーズ」という会員組織へのアンケートを実施して、テーマ決定や構成に生かすようにしています。
創刊40周年を迎えた今年は、「いちばん親切、きちんとおいしいを、すべての人に。」というキャッチフレーズを掲げ、どの媒体よりも(……と自負しています!)丁寧に情報を届ける「オレぺのよさ」を、改めて多くの人に知ってほしい、伝えたい!と思っています。
7/2号の周年記念号でお披露目したのですが、人気イラストレーターであり絵本作家のtupera tuperaさんに公式キャラクターをご考案いただいたのも、オレンジページをより認知しやすく、共感や愛着をもってほしい、ということからスタートし、実現したプロジェクトです。雑誌に限らず、web、イベント、グッズ……など、あらゆるシーンで『オレンジページ』ブランドのファン層を広げるべく、今後も新たなチャレンジを模索し続けたいと思っています。
▼85年~現代までの“おうちごはん”を再現した『オレンジページ』40年を振り返るムービーも公開中
オレンジページ『オレンジページ』編集長
長谷川美保 HASEGAWA Miho
1997年入社。料理テーマを中心に編集制作に携わり、ムック本も多数担当。副編集長、同デスクを経て、2024年より現職。3児の母。