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【福島県福島市】西沢書店大町店・半澤大輔さんのおすすめ本『無礼語辞典』|知らずに無礼を働かないため、本棚に常備したい一冊(わが店のイチオシ本:vol.70)

西沢書店様「無礼語辞典」売場

全国の書店員さんが、もっともおすすめの本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。

第70回は、福島県福島市にある西沢書店大町店の副店長、半澤大輔さんのご登場です。

西沢書店様半澤副店長

今回、半澤さんが紹介してくださるのは、「お話に感心いたしました」「相変わらずお元気そうですね」など、使い方次第では無礼になる言葉を解説した『無礼語辞典』です。なぜ半澤さんが“イチオシ”したいと思ったのか、その思いに共感する人も多いのではないでしょうか? 本書のおすすめポイントとともに綴っていただきました。

 

無礼語辞典

『無礼語辞典』
著:関根健一、編:大修館書店編集部
発売日:2023年8月
発行所:大修館書店
価格:1,980円(税込)
ISBN:9784469222791

 

無意識の「軽視」「不快」「皮肉」を回避!今こそ学びたい言葉選びの本

エンタメとして消費される本。読書が人々の娯楽の一つとして日常に組み込まれているのは嬉しい現象です。ですが、これとは対極に近いかもしれない、本棚に残り続ける普遍的なものを追い求めてしまう性が自分の中に存在し続けます。

では、それはどんな本なのか?と自問しながら品出しを進める中、辞典コーナーをふと見て気付きます。「そうだ! 辞典は本棚にずっとあるイメージでは?」広辞苑に始まり、学生時代にお世話になった英和辞典、そのほか、ことわざ辞典などの実用的なものが多々。その中で一際刺激の強いタイトルの本が――。

『無礼語辞典』そうです、無礼なんて言葉には最近接しません。「無礼者!」と時代劇や、一昔前のとある権力者が発したのを耳にしたくらいで、日常に出てくるのは皆無な言葉。そんな時代錯誤とも捉えられかねない強烈な一言ですが、この「無礼」という事象自体は、時代で表現は変われども今も変わらず存在し続けています。

ハッとしました。自分は知らぬうちに無礼を働いているのではないか。逆に自分の無知故に、知らぬ間に無礼な扱いをされているのではないか。知らぬが仏とはよくできた表現で、互いに知らないうちに無礼のやり取りを……などと急激な不安に駆られることに。社会人数十年越えでベテラン書店員風を吹かせ、時には偉そうな言動をしてしまっているはず。これは読んでおかねば、いや、それでは甘い、常備しておかねば。

内容はと紐解くと、まず目次からして鋭い角度で切り込んでいるのがわかります。分類という表記のもと、「軽視」「不快」「皮肉」など、ザ・ネガティブ感情の種類ごとに分けられ、それぞれ該当のページへ、という仕組み。中でも、立派に「御」をつけると皮肉やからかいのニュアンスが出てしまうなど、皮肉に関する表現が意外と細かいことに驚かされます。日常で普通に使ってしまいますよね? 私だけでしょうか? 自分が言われて何ともなく思っていても、受け取る人によっては嫌味を言われたと感じてしまう場合がある。これは用心に越したことはありません。

重箱の隅をつつくようなことかもしれませんが、このような言葉選びを一度身に付けてしまえば、年齢を重ねてもきっと怖いもの知らず。社会人になりたての頃に学んでおけばと後悔する一方、思い返せば若いころは目の前の仕事に精一杯で、細かい所まで気を配る余裕なんてありませんでした。その時に比べてみれば多少は余裕が出てきた今なら、改めて学んでみることもできそうです。

月並みな表現ですが、始めるのに遅いことなんて何もありません。今から学びを始めて、後世本棚に残り続けるであろう本書をおススメ本として紹介させていただきます。

西沢書店様「無礼語辞典」売場

 

◆作り手からのメッセージ◆

「無礼語」は使い方や相手によって失礼になる言葉をいう造語です。取り返しのつかない感じや、大げさな語感の面白さを出せたらと思い、あえて時代がかった「無礼」を使いました。
普段遣いの言葉から品格ある大人の言葉を探せる『品格語辞典』とともに、言葉選びにご活用ください!

(大修館書店 企画推進部 松岡澪さんより)

 

西沢書店様外観

西沢書店大町店(Tel.024-522-0161)
〒960-8041 福島県福島市大町7-20