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神保町の3書店がオリジナルのお酒を開発!チャリティー企画も立ち上げ、石川県珠洲市の被災書店を支援

3書店復興支援等のアイキャッチ画像

読書が楽しくなる全国キャンペーン「BOOK MEETS NEXT」(主催:JPIC、会期10月26日~11月24日)に合わせて、東京・神保町にある三省堂書店神保町本店(小川町仮店舗)、書泉グランデ、東京堂書店神田神保町店の3書店が、神保町をテーマに3人の作家とコラボしたスピリッツ「神保町GIN SHOT STORY」の販売を始めました。

同時に3書店は、2024年1月1日に発生した「能登半島地震」で被災した石川県珠洲市のいろは書店に対し、復興支援のためのチャリティー企画も実施しています。神保町をテーマにしたお酒を販売し、さらには書店のチャリティー企画も立ち上げた神保町の3書店の取り組みを紹介します。

 

「神保町GIN SHOT STORY」

3書店が開発した「神保町GIN SHOT STORY」は、本やインクの香り、味わいが楽しめるオリジナルの風味を追求し、かつ3人の作家によるオリジナルのショートストーリーがラベル裏に記載された、まさに「本の町・神保町」を体現したお酒です。

ラベル裏の約400字のショートストーリーは、「神保町GIN SHOT STORY」のために書き下ろされたオリジナルです。三省堂書店ボトルが原田ひ香さん、東京堂書店ボトルが大沢在昌さん、書泉ボトルが住野よるさんがそれぞれ執筆されました。いずれも限定110本を製造し、3書店で3種類のボトル(1本4,180円)を店頭で販売しています。

神保町GINのボトル 神保町GINのボトル 神保町GINのボトル

神保町GIN “SHOT STORY”
品目:スピリッツ
品名:ジン
原材料:原料アルコール(国内製造)、ジュニパーベリー、
ヒバ、ラベンダー、キャラウェイ、グレープフルーツ、
クミン、ミント
内容量:500ml
アルコール分:46%
製造者:MAOI株式会社(マオイ)馬追蒸留所
価 格:4,180円(税込)
発売日:10月26日(土)

 

すでに、3書店合わせて半数以上を販売されたそうです。加えて、神保町界隈にあるCOCKTAIL WORKS 神保町、肆-yon-などのバーや飲食店4店では、「神保町GIN」をベースにしたお酒を提供しているそうです。神保町という町を味わうにふさわしいお酒の風格も見せ始めています。

今回、「神保町GIN SHOT STORY」を手がけることになったのはどうのような経緯があったのでしょうか? 仕掛け人の一 人、書泉の手林大輔社長は次のように話してくれました。

「BOOK MEETS NEXTというキャンペーンで、TOKYO BOOK NIGHTという東京の夜を本をテーマに楽しもうというイベント企画の募集があったのがきっかけです。そこで、まずは夜の神保町に来ていただく理由が必要と考え、神保町でしか飲めないお酒を造ってはと思ったのが発端です。実は、以前に神保町のさまざまな業種の経営者同士の集いで、神保町のお酒を造ってみては?という話をしていたことがベースにありました」。

当初は流行りのクラフトビールという案もあったそうですが、商品の管理や運搬方法がビールという商品特性上、難しく準備も間に合わない。そこで、今注目され始めたご当地スピリッツ「クラフトジン」に着目。書店が作るジンであれば、「新しい本を開いたときの香り」がするものがいいと、ジンの作り手にその再現を依頼。さらに、お酒のボトル自体を“本”に見立てることも考え、ラベルの裏面に注目したそうです。

「はじめは、小冊子を付けては?など、いろいろとアイデアが出ましたが、裏面にイラストやロゴなどが入っているボトルをふと思い出しました。それが文章・作品だとまさに“お酒が本になる”と思い至り、そこからは3書店のスタッフに協力を仰いで、どなたにご執筆いただくかを各書店で検討しました」。

結果は冒頭に触れた通り、3人のさまざまな層に人気のある作家陣によるオリジナルストーリーを掲載するに至ったそうです。どようなストーリーが「神保町GIN SHOT STORY」に込められているか、ぜひ、3書店の店頭で確かめてみてください。

書泉の売場

▲書泉1階の売場

また、「神保町GIN SHOT STORY」はこの3本だけで終わらない企画に育てたいそうです。神保町の定番のお土産になるように、次回のボトル企画も検討中だそうです。すでにスピンオフ企画として神保町のコーヒーロースター豆香房とのコラボでコーヒーテイストのジン「神保町GIN 海賊版」も書泉グランデで発売中です。

ただ、この企画で神保町という町も書店も盛り上がる、と手林社長たちは確信していたそうですが、どこかそれだけだと「何か足りない」という気持ちがあったそうです。

 

「神保町から珠洲へ」

「BOOK MEETS NEXTという冠の企画の中で神保町が盛り上がるのはうれしい。でも、“BOOK MEETS NEXT”は、『本に関わる人の未来に出合う』という意味なんじゃないかな、と考えました。そのとき、能登半島地震に思い至り、チャリティー企画へとつながったのです」。

実は、手林社長は、石川県に暮らしていたこともあり、2024年1月1日に起きた能登半島地震とその後の復興の状況など気になっていたそうです。はじめは、漠然と本をキーワードに能登の書店や図書館のチャリティー企画も考えていたそうですが、SNSのXの投稿やYouTube、出版業界内の会合などで「いろは書店」のことを知ったそうです。

いろは書店は能登半島地震によって、店舗が全壊しました。しかし、今年4月に仮設店舗をグランドオープンし(3月にプレオープン)、さまざまなイベントを催し、珠洲市民に憩いの場を提供し続けている書店です。さらに、来春には新店舗の建設に向けて鋭意取り組んでいます。

そんないろは書店の楽しそうなイベントの取り組みをXやYouTubeでみているうちに、同じ書店として復興支援をしたいという気持ちになったそうです。


▲YouTubeのテレビ金沢チャンネル:いろは書店のグランドオープンに向けたインタビュー

「お酒を飲みながら本を読むという『神保町GIN SHOT STORY』が生み出す、幸せなシーン。それを、被災したことを微塵も感じさせないように、楽しいイベントで市民に慕われている『いろは書店』にパスを出す。私たちにとってのBOOK MEETS NEXT(本に関わる人の未来に出合う)の企画が、できあがった瞬間でした。正直、私はチャリティー企画の経験がありませんでした。先方からすると、大きなお世話かもしれないとも。そこで、正面きって、いろは書店の八木淳成さんに、このチャリティーが役に立つか、聞いてみました。気さくなお人柄の方で、ぜひとご返事をいただきました」

チャリティー企画は、グラスとブックカバーの販売収益をいろは書店の新店舗建設費に充てるというもの。その内容はすぐに決定したそうです。というのも、「本を飲みながら、一杯」というジンの企画に関わるキーワードから、すぐにグラスとブックカバーが浮かんだといいます。

その製造にあたっては、被災した能登の地元の企業に依頼。グラスは能登島ガラス工房(石川県七尾市)に、ブックカバーは「能登上布」の織元である山崎麻織物工房(同県羽咋市)に製造してもらうこともスムーズに決まりました。

ちなみに、グラスには地震があった「2024」の文字がそれとなく刻まれています。また、ブックカバーは、さまざまな織物の端材を使って製作するため、どのような柄・色となるかは、届いてからのお楽しみだそうです。

能登グラス単品①

【グラス】
能登島ガラス工房製作のロックグラス「SUNRISE」です。陽が昇り、陽が沈み、そして夜が更けていく様子をイメージし制作されています。形はオーソドックスなロックグラスなので、使いやすいです。
【材質】ソーダガラス(耐熱ではございません)
【サイズ】:ф90mm×H80mm(手作りの為、サイズは目安となります)

 

能登ブックカバー①

能登ブックカバー②開き

【ブックカバー】
能登上布の端切れから生まれたブックカバー。能登の風土を生かしたすっきりとした絣や縞柄、落ち着いた色合いが素朴でモダンな印象です。
職人の手織り技術から生まれる着物生地の「透け感」や「光沢感」、帯の「プリミティブな織りの味わい」を手に取って楽しめます。 本の厚みによってサイズを変えられるので、どんな文庫本もぴったり入ります。
主催者にてブックカバーの色柄を選び、お届け致します。おまかせとなりますので、ご購入の際色柄はお選びいただけません。
【素材】
表地 麻(ラミー)100%
おさえ帯 麻(ラミー)100%
裏地 綿100% or 麻55% 綿45% ※2パターンあります
【サイズ】幅約24cm(サイズ可変)×高さ約15.5cm
※文庫本サイズに対応しています

 

10月31日(木)には、「神保町GIN SHOT STORY」とチャリティー企画をお披露目するイベント「TOKYO BOOK NIGHTトークイベント」も開催されました。いろは書店の八木社長に加えて、三省堂書店の亀井崇雄社長、手林社長など3書店の代表者によるトークイベントです。以下、いろは書店X投稿より。

現在、グラスとブックカバーは、「いろは書店」応援セットとして、限定100セットでオンラインで販売中(1セット税込1万1,999円=送料無料)で、12月中旬から出荷を開始する予定です。

「応援セットも残り少なくなっていますので、ぜひ、お早めにご注文下さい」と手林社長は嬉しそうに話すとともに、「BOOK MEETS NEXTには、いろいろな解釈があっていいと思います。本屋が本屋に、もしくは本屋の界隈にいる人がその界隈の人たちにリレーしながら未来につながることをやる、私はそういう意味が込められるといいと思いました」

 

ジンとグラスとブックカバーの写真2