グルメ漫画界に新風が吹く
自称グルメ漫画愛好家の私。グルメ漫画とは、美味しそうに料理を食べるシーンが毎回の核となっている作品のこと。読むとお腹が空いて、私も作ってみようかなと思うことがよくあります。
近年、グルメ漫画は種類が豊富で、コンビニ飯、ズボラ飯、キャンプ飯、飲み歩き、朝食、お弁当など、テーマは様々。「グルメ漫画戦国時代」と言っても過言ではありません。そんな飽和状態の中、新たな風を吹き込んだ作品『週末やらかし飯』が2024年9月9日に発売されました。
欲望のままに食べて寝る! それがやらかし飯!
主人公は、社長秘書としてバリバリ働く空子さん。社長の無茶振りも後輩の絡みも華麗にこなし、日々奮闘しています。でも、金曜日になるとストレスがピークに! 1週間の頑張りをパァーッと発散させたい! そこで彼女がするのが「やらかし飯」。
デキる女モードから、ゆるいルームウェアに着替えたら、やらかし飯の準備開始!
第1話では、インスタントラーメンにバターを乗せた背徳グルメを作ります。レシピによれば、まず2Lのお湯を沸かし、ラーメンは5袋……ん?
出来上がったラーメンの量にびっくり! そこに、バター1箱を丸ごとドン! これはやらかしてる~!!
もしかして空子さんはフードファイター? これは大食い漫画? いえいえ、これこそが「やらかし飯」。目の前に食べきれないほどの料理を用意し、欲望のまま食べて寝る! 背徳感と高カロリーこそが最高のやらかし飯なのです。
他にも、2kgの豚の角煮やドーナツと焼き鳥のやんちゃ食べ、レトルトカレーのバイキングなど、見た目もコンセプトもワクワクする料理が登場します。空子さんの幸せそうな食べっぷりと、「もう食べられない!」という表情には、こちらも爽快な気分にさせられます。
残すほど作るなんて!と炎上しそうな内容ですが、食べきれなかった分の保存方法やアレンジ料理が番外編で紹介されているのも好感度大。やらかし飯の醍醐味は、バカになるくらい無茶をすること。制限して作っては意味がないのです。やらかした後の対処方法を提示してくれることで、私たちも心置きなくやらかせそうです。
実際にやらかし飯を作ってみた!
というわけで、私もやらかしてみました! 鍋を使っても入りきらないほどのラーメン。パスタを茹でる寸胴鍋で沸かされる2Lのお湯。本来、一度に使い切れるものじゃないバター1箱、卵5個を投入。作りながら楽しくなって笑いが止まりません!
出来上がった5袋のラーメンをバターに絡めて一口食べれば、「うまっ!」と声が漏れること間違いなし。量とカロリーのW背徳感がたまりません。
子どもの頃、綿菓子の雲に乗りたいとか、ゼリーのプールで泳ぎたいとか妄想したことはありませんか? 人は食べきれないほど大きいものに憧れるものです。本作に登場する「やらかし飯」には、そんなワクワクが詰まっています。
ストレス社会に生きる私たちのチャージ漫画
やらかし飯を食べて、月曜から笑顔で出社する空子さん。自分の機嫌を自分で取る姿がカッコよく、魅力的。ポジティブさに溢れた本作は、ストレス社会に生きる私たちの「チャージ漫画」となるでしょう。
最後に、作者・小村あゆみ先生のYouTubeチャンネル「コムラボ/小村あゆみの漫画研究所」も必見です! 作中のやらかし飯を先生自身が実演している様子が楽しめます。リアルやらかし飯の威力をぜひその目で体感してみてください!
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(レビュアー:Micha)
- 週末やらかし飯 01
- 著者:小村あゆみ
- 発売日:2024年09月
- 発行所:講談社
- 価格:759円(税込)
- ISBNコード:9784065368114
※本記事は、講談社コミックプラスに2024年10月10日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。