全国の書店員さんが、もっともおすすめの本を紹介する連載コーナー「わが店のイチオシ本」。
今回は、佐賀県佐賀市にある紀伊國屋書店佐賀店の店長・森田智佳さんに、『新・佐賀漫遊記』の魅力についてご執筆いただきました。
- 新・佐賀漫遊記
- 著者：久住昌之
- 発売日：2024年06月
- 発行所：産業編集センター
- 価格：1,540円（税込）
- ISBNコード：9784863114067
『新・佐賀漫遊記』は、『孤独のグルメ』の原作者として知られる久住昌之さんによる佐賀の旅エッセイ。焼き物や名物、温泉と、佐賀の魅力とその楽しみ方が久住さんならではの筆致で描かれた一冊です。それでは、『新・佐賀漫遊記』を森田さんにご紹介いただきます！
著者と旅しているような親近感が湧いてくる、久住流「佐賀礼賛」！
『孤独のグルメ』原作者・久住昌之さんと聞いて、脳裏に浮かぶのはテレビドラマのエンディング「ふらっとQUSUMI」。ドラマのシーンに登場した実在するお店から、視聴者へ向けられた弾き語りならぬ、食べ語り（笑）は、見ていてもれなく食指が動きますよね。
日本中を飛び回られる、久住さんの足かけ6年にわたる佐賀通いから生まれた『新・佐賀漫遊記』は、産業編集センターより発行されている〈わたしの旅ブックス〉の1冊です。各分野で活躍される著者が、人生を彩ってくれる旅の魅力と醍醐味を読者に伝えるシリーズとして発刊され、これまでのラインアップは56タイトル。どの作品にも著者の思いが溢れていることに違いはありませんが、中でも佐賀漫遊記という特別感！
ページを開いてみれば、久住さんの旅にまるで同行させてもらっているかのように親近感が湧いてくるのです。久住さんの佐賀礼賛に気持ちが高ぶった私たちは、もっと多くの読者へこの本を届けようと、「久住さんの出版記念イベントを実現させたい！」と考えました。地元である佐賀を通じてお客様と共感したい！ その一心で、今夏ついに出版記念サイン会が実現したのです。
会場となった紀伊國屋書店佐賀店は、佐賀駅から車で10分ほどの、週末には1日5万人が訪れるショッピングモール「ゆめタウン佐賀」内にあり、オープンして18年目を迎えます。
出版記念イベントには、『新・佐賀漫遊記』を手にした100名のお客様がご来店されました。オープン以来、最大規模の催しです。久住さんがお一人お一人と目線を合わせて笑顔で発せられる「ありがとうね！」という一言など、イベントは終始、久住さんのお人柄が表れたハッピーなサイン会と相成りました。お客様と本書のエピソードを交わされる、そんな場面も印象的でした。
『新・佐賀漫遊記』に込められているのは、久住さんの「佐賀愛」、そして「人が好き」という思いです。ガイドブックには載っていない、温もりとユーモアに包まれた佐賀がたっぷり紹介されています。
JR佐賀駅から県庁まで向かう中央通りには、佐賀の偉人たちの銅像が立ち並んでいます。その地を何度も訪れるうちに親しみを感じられた久住さんは、彼らを心の中で「佐賀のお友だち」と呼ぶようになり、ついにはあだ名までも付けてしまったそう。サイン会でお会いした際にその話をもちかけてみたところ、久住さんは「怒られちゃうかもー！」と仰っていましたが、愛情のこもった語り口ですから心配には及びません。
普段住んでいても、なかなか大っぴらにはしない「わが町自慢！」。久住さんの『新・佐賀漫遊記』に後押しされましたので、控えめに申し上げます。この本を手にしてもらったならば、佐賀の食や観光、さらにはきっと、人にも会いに行きたくなることでしょう。
何にもない佐賀？ とんでもないことです。
佐賀はよかとこ！ 一度は来てみらんね～！
◆作り手からのメッセージ◆
少し地味なイメージのある佐賀県。その佐賀県が久住さんの手になると、どんどん魅力的になり、知らない間に佐賀県のファンになってしまう。編集を進めながら、そんな不思議な時間を体感することができました。佐賀を愉しむヒントがギュッと詰まった佐賀ガイドの新しい定番本です。
（産業編集センター 出版部 佐々木勇志さんより）
紀伊國屋書店佐賀店（Tel. 0952-36-8171）※電話受付は閉店1時間前まで
〒849-0919
佐賀県佐賀市兵庫北5-14-1
ゆめタウン佐賀2F
