『ともぐい』で直木賞受賞の「作家・河﨑秋子」はどのように誕生したのか!?
酪農業と羊飼いを稼業としていた河﨑さんはなぜ酪農から離れ、小説家となったのか。最初の一頭を飼ってから、最後の一頭の出荷を見届けるまでの日々や家族の問題を、ユーモアも交えつつ真摯に綴る河﨑さんのエッセイ『私の最後の羊が死んだ』が10月31日(木)に発売されます。
河﨑さんは、人間と獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる動物文学『ともぐい』で、今年の1月、第170回直木賞を受賞されました。本作は、河﨑さんが作家になるまでを描いた初の自伝です。
『私の最後の羊が死んだ』
著者: 河﨑秋子
発売日: 2024年10月31日
発行所:小学館
定価:1,650円(税込)
ISBN:9784093891660
【内容紹介】
最初の一頭を飼ってから、最後の一頭の出荷を見届けるまで
「羊飼い一代記」を綴った傑作エッセイ
「お仕事は何を?」
「羊飼いです」
「……え?」
という、なんとなく微妙なやりとりを重ねてきたのは、ひとえに日本人は羊飼いという職業に馴染みが薄いせいであるのかもしれない。(本文より)
酪農家の娘として生まれたからこそ、その過酷さは身にしみており、大学卒業後も農業に関わるつもりはなかった。
だが大学時代に教授宅で催されたバーベキューで出逢ってしまったのだ、美味しい羊肉と――。
「自分でも生産してみたい」との思いから一念発起しニュージーランド実習へ。
さまざまな縁にも助けられながら、勉強を重ね、日々実直に羊を育て、出荷し、羊飼いとして収入を得られるようになった。やがてお得意先のレストランシェフに「河﨑さんとこの肉はお客さんに出すのが勿体ないほど美味しい」と言われるまでに。
順調に回り始めた羊飼い生活を、それでもなぜやめる決断をしたか、そしていかにして小説を書き始めたのか。「小説家前夜」の日々を綴る。
(小学館公式サイト『私の最後の羊が死んだ』より)
編集担当のコメント
直木賞作家・河﨑秋子さん初のノンフィクションです。
河﨑さんが羊飼いであったことは、すでにご存じのかたも多いかと思いますが、実際の羊飼い生活がどのように始まったか、そしてなぜ、どのように、終えられたかまではあまり知られていないのではないでしょうか。
命を育て、人間に美味しく食べられる肉にする――
「命あるもの」への真っ直ぐでフェアな眼差しは、河﨑さんの小説の大きな魅力ですが、実際に自身が養育する羊に対しても同様に注がれているのが印象的です。
今作では羊飼いの日常以外にも、日本の酪農経営事情、〈メーメー教羊派〉と〈メーメー教山羊派〉が繰り広げる終わりなき論争、北海道民のソウルフード・ジンギスカンが美味しくなった背景に至るまで、羊を軸として縦横に筆が走ります。
ところどころでクスッと笑えるところもあり、骨太な小説ファンの方にはぜひ河﨑さんのユーモアあふれる一面もお楽しみいただきたいです。
著者プロフィール
かわさき・あきこ。1979年北海道別海町生まれ。2011年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)、2014年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、2015年同作でJRA賞馬事文化賞、2019年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、2020年『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞を受賞。2024年『ともぐい』で、第170回直木三十五賞を受賞。
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