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「選び・選ばれ」る社会で「他者と働くこと」の本質に迫る『働くということ』【総合3.8】

働くということ

働くということ 「能力主義」を超えて
著者:勅使川原真衣
発売日:2024年06月
発行所:集英社
価格:1,078円(税込)
ISBNコード:9784087213195

 

『働くということ 「能力主義」を超えて』の要点

1.近代以降、身分制度に代わる制度として能力主義が台頭する。官民の双方が称揚してきた能力による選抜は、私たち個人の無意識下に深く定着した。

2.能力論に疑問を呈する教育社会学の流れを汲み、どちらかといえば「できない」側の立場を自覚する著者は、「働くということ」の実態を事例を通じて示そうとしている。

3.個人はレゴブロックのようなものだ。多様なブロックの組み合わせで組織の可能性が広がる。

4.組織改革のポイントは、一元的な正しさに囚われることなく「自分自身のモードをいかに選ぶか」にある。

 

『働くということ 「能力主義」を超えて』レビュー

現代を生きるビジネスパーソンの多くは、より秀でた能力を手に入れるために今日も何かしらの努力を積み重ねている。書店には自己啓発書が一等地に平積みされ、「まだ足りない」と我々を煽るようである。本書は、そうしてはびこる「能力主義」へと一石を投じる一冊だ。

著者の勅使川原真衣氏は外資コンサルティングファームを経て、組織開発事業を手がける「おのみず株式会社」を設立した、組織開発のプロフェッショナルだ。通読すれば、これまで必死に「選び・選ばれ」ようとしてきた自らの価値観が揺らぎ、働くことへの見方が大きく変わることだろう。要約者も、「先の見通せない不透明な時代に、自分の身は自分で守らねば」といった思いで必死に他者との差別化を図ろうとしていた自分に気づけた。

受験戦争、スポーツ大会、就職活動に年次の査定、果てはパートナー探しに至るまで、私たちは当たり前のように「選び・選ばれる」社会を生きてきた。あまりに定着しすぎているために、そのことに対して一粒の疑問すら浮かばない。本書はそんな現代の状況を問いなおし、働くということの本質に迫る。

現代を生きづらく感じる人、個々の能力で線引きされて評価されることにモヤモヤを抱える人、そしてマネジメント職に就くすべての人に本書を勧めたい。一元的には規定できない、めんどうでややこしく、人間くささ満載の「他者と働くこと」について、正面から向き合うことができるはずだ。

 

『働くということ 「能力主義」を超えて』が気になる方におすすめ

努力革命 ラクをするから成果が出る!アフターGPTの成長術
著者:伊藤羊一 尾原和啓
発売日:2024年05月
発行所:幻冬舎
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784344042407

 

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