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女たちの情念が渦巻く場所、大奥――人気アニメ「モノノ怪」が17年ぶりに復活!『劇場版モノノ怪 唐傘』

2007年にTVシリーズとして放送された大人気アニメ『モノノ怪』が、『劇場版モノノ怪 唐傘』として17年ぶりに大復活!!
キャラクターデザインを手掛けた永田狐子先生による渾身のコミカライズ!!
モノノ怪に立ち向かう薬売りが、2024年に再び姿を現したのは大奥。
これだけでも期待が高まりますが、『モノノ怪』ならではの独特なタッチで描かれた絵を見て、一気にその世界に引き込まれました。

モノノ怪

大奥で、女中として働くことになったアサとカメ。
最初のおつとめは、大奥の女たちが必ず行っているある儀式でした。

モノノ怪

モノノ怪
モノノ怪

「お供え」という名の強制的な断捨離に、闇深さを感じる!! 生臭い水や驚くほど大きな井戸も登場し、冒頭から妖しいにおいがプンプンです。

この井戸に、おばあちゃんがくれた櫛を投げ入れ、大奥で生きる決心をするカメ。
一方、しっかり者のアサは「御次(おつぎ)」と呼ばれる役職に抜擢され、個室を与えられます。
そこで見つけた謎の人形は、何かを手に持っていたようなのですが……。

モノノ怪

モノノ怪

アサの仕事は、幕府が遣わしたお目付役の案内。彼らは「大餅曳(おおもちひき)」の儀を監督するためにやってきたのですが、本来ならば天子様のお子が生まれる前に行われるはずの「大餅曳」が延期され、ご出産後の今になって行われることに疑念を抱いています。

この「大餅曳」の話と大奥総取締役の歌山様が、モノノ怪とどう関係してくるのかさっぱり分からないのですが、様々な伏線が散りばめられていて、今後の展開が楽しみです。

なんたってここは、大奥ですからね! 天子様に見染められれば、一気に出世することもできるので、女同士の嫉妬、情念、怨念があちらこちらに染みついていそう。
そしてカメも、天子様のお手つきを狙って大奥にきたのでは?といびられ、憎悪の渦に巻き込まれていきます。

なんとも不気味で不穏な空気が流れ始めたころ、薬売りも妖気を感じ取っていました。
大奥は男子禁制なのに難なく突破すると、ここからは薬売りの独壇場!
もうカッコいいとしか言いようがありません!!

モノノ怪

モノノ怪

モノノ怪

「退魔の剣 (たいまのけん)」は、形(かたち)、真(まこと)、理(ことわり)の三様(さんよう)が揃わないと抜くことができません。

この大奥で一体何が起こったのか? モノノ怪の正体は何なのか? 水が生臭いのはなぜなのか? 「大餅曳」の儀はなぜ延期されたのか? タイトルにある唐傘とどう絡むのか?
たくさんの疑問があるのに、まだ全然つながらない(笑)。

初めて読んだときは、「えっ、どういうこと!?」とあっけにとられて終わったのですが、読み直してみると「もしかして、こういうことかな?」といろいろな推察が浮かんできました。

私が思う『モノノ怪』の面白さは、人間の業(ごう)と言いましょうか、心の奥底のドス黒い感情が、薬売りと「退魔の剣」によってあぶり出されるところ。
だからこそ、この場にいる者たちが何を語り出すのか興味津々です。

7/26より絶賛上映中の『劇場版モノノ怪 唐傘』の映画は、カナダ・モントリオールで開催された「第28回ファンタジア国際映画祭」で、最優秀長編アニメーション賞と観客賞銅賞をダブル受賞!!
『モノノ怪』ならではの独特の世界観をより楽しむためには、映画を観る前にコミックを読むことをおすすめします。

(レビュアー:黒田順子)

劇場版モノノ怪 唐傘 上
著者:永田狐子 ツインエンジン
発売日:2024年07月
発行所:講談社
価格:759円(税込)
ISBNコード:9784065361702

※本記事は、講談社コミックプラスに2024年8月24日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。