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変わりゆく女性たちの生き方を映して約40年のコミック誌『JOUR』|【連載】編集長雑記

JOUR

各出版社を代表する雑誌の編集長によるリレー連載「編集長雑記」。

今回は、創刊40年目を記念し、女性たちのリアルを描くアンソロジー企画 『“#(ハッシュタグ)”アンソロジー』を実施している『JOUR』(ジュール)編集長の瓶子大介さんです。

10年にわたり『JOUR』に携わり、各世代の編集部員たちとともに女性に支持される雑誌づくりを続ける瓶子編集長に、記念イヤーの企画の内容と、コンテンツづくりにかける思いを綴っていただきました。

▼『JOUR』最新号はこちら

Jour(ジュール) 2024年 10月号
著者:
発売日:2024年09月02日
発行所:双葉社
価格:700円(税込)
JANコード:4910053471046

 

「女性が読んで“気持ちいい”と思えるマンガ」を届ける!

女性向け月刊マンガ誌『JOUR』は1985年4月に創刊し、今年で創刊40年目を迎えています。

私がJOUR編集部に配属されたのが2014年になるため、きちんと実情を把握できているのは10年間だけで、それ以外の約30年間については、他編集部に在籍していた時のチラ見だったり、先輩社員からの伝聞だったりするのですが、かつて空前のレディコミブームが巻き起こっていた時代には、表紙に起用する外国人モデルさんの撮影のためだけに海外に行っていたなど、今では考えられない、羨ましい逸話が溢れています(グラビアや写真集の撮影も兼ねて……ということではなく、純粋に表紙の撮影のためだけというのが、羨ましさを加速させます)。

そんな小誌JOURですが、現在は20代、30代、40代、50代、60代という、全年代の編集部員たちが、「女性が読んで“気持ちいい”と思えるマンガ」を追い求め、日夜、作家さんと共に奮闘を続けています。

その甲斐もあってか、最近では映像化される作品も多く、2022年には『シジュウカラ』(著:坂井恵理)、『片恋グルメ日記2』(著:アキヤマ香)、『魔法のリノベ』(著:星崎真紀)、2023年には『グランマの憂鬱』(著:高口里純)が連続TVドラマ化。また同じく2023年には、大人の男女が織りなす心と体、愛と性を描いた作品として累計480万部(紙+電子)を突破した、『セフレの品格―プライド―』(著:湊よりこ)が映画化。『セフレの品格―プライド― 初恋/決意』として、二部作連続公開されました。

今年、2024年については、創刊40年目という記念イヤーを盛り上げるべく、5月発売の6月号より、【“#(ハッシュタグ)”アンソロジー】という企画を実施しています。複数のテーマを設け、1テーマにつき4~5名の作家さんに読み切り作品をご執筆いただき、それを12か月連続で掲載していくという本企画は、変わりゆく女性たちの生き方を映してきたJOURだからこその試みだと、好評をいただいています。

第1弾のテーマは「#レンアイ離婚」。6月号には恋愛マンガの巨匠・柴門ふみ先生がJOUR初寄稿、続く7月号では『あいす☆プリンス』などのヒット作を持つ長江朋美先生が久しぶりの本誌帰還をはたしました。また、8月号にはTVドラマ化もされた『凛子さんはシてみたい』の藤田みお先生と、電子コミックで大ヒットを記録した『カラダ、重ねて、重なって』のiko先生がダブルで初登場となりました。

第2弾のテーマは「#異世界オバサン」で、9月号にはSNSマンガの新鋭・まるかわ先生が、そして9月2日発売の10月号では、『クロサギ』の黒丸先生と、『いつかティファニーで朝食を』のマキヒロチ先生が、また11月号には『傘寿まり子』で講談社漫画賞を受賞した、おざわゆき先生と、『淡島百景』ほか、数多くのヒット作を生み出している志村貴子先生が、それぞれ初めて登場されます。

12月号以降の新たなテーマについても、これまでJOURを支えてくださったレジェンド作家の皆様から、JOUR初登場の大人気作家さんたちまで、笑いあり、涙あり、ドキドキあり、共感ありの、オリジナリティ溢れる作品をご執筆いただく予定となっていますので、どうぞご期待いただければと思います。

また、JOUR編集部では紙の雑誌である『JOUR』だけでなく、ボーンデジタル作品にも積極的に取り組んでいます。その中から『隣の芝くんは見せてくれない』(著:森脇葵)や『弁護士カレシ』(著:流田まさみ)などのヒット作も生まれました。時代やライフスタイルの変化により、女性向けのマンガは、より加速的にデジタル志向が進んでいるように感じますが、紙であれ、電子であれ、マンガというコンテンツが、エンターテインメントとして求められているということは、ここ数年のコロナ禍で確信したことでもあります。

若手のフレッシュな感性と勢い、ベテランの経験やノウハウを最大限生かしながら、女性読者の心を震わせる作品を届けられるよう、今後も編集部一丸となって邁進していきたいと思っています。


双葉社 JOUR編集部 編集長
瓶子大介 HEISHI Daisuke
2002年入社。Weekly漫画アクション編集部、漫画アクション編集部、パチンコ・パチスロ編集部を経て、2014年よりJOUR編集部に在籍。2023年より現職。