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「本の虫」から、蝶のように羽ばたく「アイドル」へ ナナスタシスターズ・桂木カヅミ インタビュー

アイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム「Tokyo 7th シスターズ」の限定CD風カードがもらえるキャンペーンが、全国の約200書店で開催されることが決定しました。

このキャンペーンを記念して、「ほんのひきだし」ではTokyo-7th(トーキョーセブンス)でアイドルとして活躍する桂木カヅミさんへの特別インタビューを実施。「恋セヨ乙女」で念願のソロデビューを果たした彼女の軌跡と、肌身離さず持っている「本」への思いを語っていただきました。

桂木カヅミ
かつらぎかづみ。8月2日生まれの18歳。Tokyo-7th(トーキョーセブンス)で次世代アイドル劇場型スタジオ「777(スリーセブンス)」に所属するアイドル。いわゆる「本の虫」で、いつも本を読んでいる。詩集と哲学書を好み、本を読みながら人の話を聞いて相槌を打つのが得意。高校では図書委員を務める。2021年にソロデビューソング「恋セヨ乙女」が発売された。

 

私にとっての本は「窓」や「扉」のような存在。

――この度はインタビューを受けていただき誠にありがとうございます。早速で恐れ入りますが、桂木さんは本、その中でも哲学書や詩を好んで読まれると伺いました。最近、特に興味深いと思っている作家や作品について教えてください。

「知識は魂の糧である」――ギリシアの哲学者・プラトンの哲学や言葉はとても興味深く、私が哲学や言葉の持つ力に気がついたのは彼のおかげと言っても過言ではありません。

ナナスタにターシャさんという海外出身のアイドルがいらっしゃるのですが、彼女の影響で読んだドストエフスキ-の『カラマーゾフの兄弟』は、人間味あふれる登場人物もさることながら、人間や世界の実存を問う哲学性に今までに感じたことのない読後感を覚えたことは記憶に新しいです。

もともとは、『カラマーゾフの兄弟』のような海外の文学作品を読むことが多かったのですが、今は国内の名作も積極的に手に取るようにしています。一度、国語の教科書で触れたことのある作品を改めて読み返してみると、受け取り手である私が成長しているためか、まるで違う物語のように感じることがあってとても楽しいんですよ。

たとえばそう、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」や「銀河鉄道の夜」とか。読んだことのある方も多いんじゃないでしょうか? 最近は彼の詩集を手に取り、その世界観に浸っています。

――特技に「フランス詩学」とありますが、フランス語で読まれたりするのでしょうか。

フランスの作品に限らず、海外の作品は原文で読むこともあります。ただ、読みやすさという点では日本語に翻訳されたものの方が優っているのでそちらを読むことの方が多いですね。翻訳されたものでも、翻訳者によって違う言葉や物語のように感じられることもあるので、翻訳された本を読み比べる面白さもあるんですよ。

――翻訳本の読み比べ……かなりの「本の虫」ですね。

ふふっ、そうかもしれませんね。

――そんな読書家の桂木さんにとって、肌身離さず持っている「本」というアイテムは、どのような存在でしょうか。

そうですね……「窓」や「扉」のような存在、でしょうか。ページを開けば、こことは違うどこかへ連れていってくれる……。私とは違う誰かになれる……。そしてまだ見ぬ何かを見せてくれる……。それが、私にとっての本であると感じています。

 

「恋セヨ乙女」のレコーディングは心臓が縮みあがる気持ちに。

――ソロデビュー曲となった「恋セヨ乙女」では、作曲者の方からご指名があってのことと伺いました。

きっかけは本当に些細なもので、たまたま私のステージを見かけて私の言葉選びに光るものを感じたから……とおっしゃっていました。

ほんのひと時、私を見かけただけでご縁がつながったと聞いた時は、本当に驚きましたし、戸惑いもしました。ですが、私が選ぶ言葉は偉大な先人たちから教わったもの。もしかしたら彼らが、アイドルとしてもっと羽ばたきなさいと私の背中を押してくれたのかもしれませんね。

――「恋セヨ乙女」では、「恋」について歌われていました。これまで恋について考えたことはありましたか。

お恥ずかしながら、私はこれまでそれについて考えたこともなかったと思います。文字として見る「恋」、目で見る「恋」、友人たちから聞く「こい」という言葉……私にとってそれは、どこか別の世界に住む方たちだけが持つ感情であるように感じていました。

そういったこともあり、「恋セヨ乙女」のレコーディングは本当に苦労しました。「恋の満足を味わっている人はもっと温かい声を出すものです」と作曲者の方にダメ出しされた時は心臓が縮み上がってしまったものです。

――どうやってその苦労を乗り越えたのでしょうか。

最初に、恋に関する話題が登場する書物をたくさん読みました。サン=テグジュペリの『星の王子さま』、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』……。百人一首にも手を出しましたね。

それでも「恋の本質に触れることができていない」と打ちのめされてしまいました。その後、周りの恋をしている方々に話を聞いて回ったんです。ふふっ……その流れで、大勢のお客さんがいるメイド喫茶で珍妙なポーズを取ったりもしたんですよ。

――それはまた別の苦労ですね(笑)。

最終的には、私と同じように「恋とは何か」と悩んでいる方から「ドキッとする気持ちが恋なのでは」というアドバイスを受け、私がある方に対して不意に感じた胸の高鳴りを詩に乗せて歌うことで克服することができました。

――作曲者に見出されたものの、それ以降は本だけでは乗り超えられない困難があったのですね……。それを超えて出来上がった「恋セヨ乙女」は、とても素敵な楽曲になっていますね。

そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。

 

「本の虫」から、アイドルとして羽ばたく「蝶」へ

――今後、桂木さん自身の言葉で更に発信するご予定はありますか?

今回の「ほんのひきだし」さんのインタビューのように、本に対して自分の言葉を発信させていただくことも少しずつ増えてきました。ただ、私はソロデビューしたばかりでまだまだアイドルとしては駆け出しの身。本に関することや歌だけに留まらず、そういった機会が頂けるのであれば前向きに、精力的に取り組みたいと考えています。

直近で言えば、同じくナナスタからソロデビューをするアイドルの方と共同のデビューイベントが開催されますので、そこで私の言葉を活かせる場面があればなと企画している最中です。

――ほかのナナスタのメンバーとは、誰と仲良くされているのでしょうか。また、メンバーから「本を読んでみたい!」とリクエストをされたら、どんな本を勧めますか。

自分でも不思議なのですが、逢原ミウさんと仲良くさせて頂いています。彼女は私とは対極の性格をしているんですよ。

底抜けに明るくて、ご自身の目の前の人間関係を何よりも大事にしていて、そしてとっても口まめで。彼女が身の周りであった些細なことを身振り手振りを交えながら何時間もお話しされている横で本を読んでいる私が相槌を打つ姿は、ナナスタの日常風景のひとつになっていると思います。きっと、彼女が見せてくれる等身大の学生像は、私にとって本と同じくらい興味深いものなのだと思います。

リクエストですか……。たしかに、本を貸してくれとせがまれることもありますが、その際にはその方に合った本を勧めるように心がけています。

たとえば、料理が好きで読書をあまりされない臼田スミレさんのような方には、『かもめ食堂』や『食堂かたつむり』のように実写映画化もされている作品が読書の水端として良いかなと、お勧めしました。

――ファンの方へのメッセージをお願いいたします。

ただの「本の虫」であった私が、こうして蝶のように羽ばたいてスポットライトを当てて頂けているのは、ナナスタの支配人や支えてくださっているファンの皆さんのお力添えがあってこそだと感じています。

私の羽ばたきで竜巻を――、なんておこがましいかもしれませんが、皆さんの心に少しでも風を吹かせられたらと思っているので、これからも応援して頂けると嬉しいです。

――今回は、貴重なお時間をいただきありがとうございました。

 

一部店舗では、桂木カヅミさんのおすすめ本の展開も!

一部のキャンペーン実施書店では、「ほんのひきだし」のインタビューでご紹介いただいた本を中心に、桂木カヅミさんがおすすめする本のフェア展開がされる予定です。

展開スタート次第、「ほんのひきだし」の(Twitter)でご連絡しますので、この機会にぜひ店頭に行ってみてください。