3月29日(金)より順次、全国約600書店にて配布が開始されたBLコミックガイド「B+LIBRARY(ビープラスライブラリー) vol.15」。
vol.15の表紙は、4月1日(月)に発売となるキタハラリイさんの新刊『ブラットテイマー/キング engage!』に登場する、アオハとシノの2人が飾りました!
また、vol.15では特集としてキタハラリイさんのこれまでの作品を紹介するとともに、ご本人へのインタビューを実施しています。本記事では、冊子に掲載しきれなかった内容も含めて、インタビュー全文を公開します。
- ブラットテイマー/キング engage!
- 著者:キタハラリイ
- 発売日:2024年04月
- 発行所:大洋図書
- 価格:803円(税込)
- ISBNコード:9784813033806
キタハラリイ
2015年に『ジェラテリアスーパーノヴァ』(竹書房)でデビュー。
繊細な心理描写と濃厚なエロをスタイリッシュに描いた作風が人気。2023年発売の『ブラットテイマー/キング』(大洋図書)はBLアワード2024 ラブコメ部門にノミネートされた。2024年4月には続編となる『ブラットテイマー/キング engage!』が発売される。
商業デビューのきっかけは……「執筆ペースのはやさ」にあり?
――BL作品を描き始めたのはいつごろですか? きっかけがあればお聞かせください。
明確にBLだ!と思って描いたのは高校〜大学時代だったと思います。
先輩や同級生からBLの世界を教えてもらい、最初は一次創作も二次創作もひたすら描き散らかしてはごく内輪の友人に読んでもらっていました。今も気持ちとしてはその頃とあまり変わっていないのかもしれません。
――もともと漫画はお好きでしたか? 漫画に限らずお好きなものや、創作に影響を与えていると思うものについてお聞かせください。
昔から漫画は大好きでした。ジャンルを問わず、本当に何でも読みます。ただ自分の創作に影響を与えてくれるもの、という点では映画が一番大きいかもしれません。
自分が漫画のネームを描く時も、頭の中で思い浮かべた映像を漫画のコマで切り取っているイメージです。漫画同様、映画も雑食で何でも観ます。
――2015年発売の『ジェラテリアスーパーノヴァ』で商業BLコミックデビューをされていらっしゃいますが、商業BL作家としてデビューするに至った経緯をお聞かせください。またそのときの心境もお聞かせください。
会社員をしながら二次創作の同人誌を出していた時、それを見て下さった担当さんからお声掛けいただきました。今から考えても当時は狂気じみたペースで同人誌を出していたので「枚数だけはこなせる奴かもしれん」と思っていただけたのかもしれません。
私としては「人生で自分の単行本が1冊でもあったら素敵かしら……」という気軽な気持ちで『ジェラテリア〜』の連載を始め、それから気がつけば10年近く経っていました。人生何が起こるかわかりませんね。
- ジェラテリアスーパーノヴァ
- 著者:キタハラリイ
- 発売日:2015年08月
- 発行所:竹書房
- 価格:723円(税込)
- ISBNコード:9784801953307
自分ルールは“今まで描いたことがないものに挑戦し続けること”
――作品を描くにあたり、大切にされていることはなんでしょうか。
漫画家になる前から自分ルールとして守っているのは“今まで描いたことがないものに挑戦し続けること”です。
結局描いているのは私自身なので似たり寄ったりになる部分もありますが、それでもいろんな味があった方が楽しいですし、あとちょっとだけ背伸びをしながら描く方が頑張れるタイプなんだと思います。
――これまでのお仕事を振り返って、特に思い入れのある作品や、シーン・キャラクター・セリフについてお聞かせください。
思い入れのある作品は常に“一番新しい作品”なので、今は『ブラットテイマー/キング engage!』なのですが……。
それでも思い入れのあるシーンとなると『金色蜂に蜜』第3巻の最終話、火事の中で八岡が三津箭に「2人でここを出て行くことはできる」と告げるシーンでしょうか。
お互いの過去はどうしようもできないけれど、一緒に未来を見ることはできるという、ありきたりながらもこの2人に一番添えてあげたかった言葉で物語を締め括ることができて私自身も感無量でした。
- 金色蜂に蜜 3
- 著者:キタハラリイ
- 発売日:2021年11月
- 発行所:大洋図書
- 価格:792円(税込)
- ISBNコード:9784813033042
旅行の思い出が創作の糧になることも
――原稿作業の気分転換にされていることはありますか?
最近、加圧トレーニングのジムに通い始めました。たまに洒落にならない筋肉痛になりつつも良い気分転換になっています。
――先生のSNSを拝見しますと、お仕事の合間にハワイなどいろいろな場所を旅行されているようですが、旅行先で見たものや食べたものなどが、創作活動に生かされていると感じるときはありますか?
旅行先で「これをお仕事の漫画にするぞー!」と具体的に思ったことはあまりないのですが、後々ふとした瞬間に思い出して“そうなっていた”というものはたくさんあります。
まさに血肉になる……という感覚ですが、でもそれは旅行に限らず、普段の生活からもいろいろなものを貰い受けている気がします。
近頃ようやくご時勢的にも国内外問わず旅行に行けるようになってきていて心が躍ります! あとはいかにスケジュールをこじ開けるかです……。
キャラクターには自分の「好き!」を反映させたい
――今回、「B+LIBRARY vol.15」の発行に際して描き下ろしていただいた『ブラットテイマー/キング engage!』のイラストについて、場面設定や注目ポイント、裏話があればお聞かせください。
作品本編で2人がリゾート&バカンスに行くエピソードがあるのをいいことに「大好きな南国モチーフのイラストが描ける!」と去年から何枚も南国っぽいイラストを描いているのですが、飽き足らずにまた描かせていただきました。とてもうれしいです。
毎回2人のアロハシャツの柄を考えるのが密かな楽しみになっています。今回はレモン柄とボタニカル柄。
――『ブラットテイマー/キング engage!』は、前作『ブラットテイマー/キング』の最終話から1年後のアオハ×シノカップルのお話になりますが、続編を描くことになった経緯についてお聞かせください。
前作の連載終盤ぐらいのタイミングで担当さんから「(このシリーズで)もう1冊どうでしょう」というお話をいただき、私自身もアオハとシノのその後を描いてみたい気持ちがあったので、すんなりと続編が決まりました。
アオハもシノも動かしやすいキャラクターかつお話も作りやすいカップルなので、続編もそこまで気負うことなく目一杯楽しんで描かせていただきました。
――『ブラッドテイマー/キング』シリーズにおいて、Dom/Subユニバースを題材にした理由などがあればお聞かせください。また普通のBLとは違う特殊設定のストーリーを描くにあたって、意識されていたことはありますか?
新連載を始めるにあたり、担当さんとの打ち合わせで「オメガバースものはどうか」という話が出たのですが、オメガバースは以前に一度読み切りで描いたことがあったので「それなら別のバースもの……Dom/Subは?」という流れで描くことになりました。
特殊設定ものはその設定自体に重きを置きすぎるとストーリーやキャラクターがそれに引っ張られすぎてしまうので、あくまでも特殊設定は作品の1つの要素ということを意識しながらお話を組み立てました。
――『ブラットテイマー/キング』シリーズには、アオハのマネージャー・クレハやシノの親友・フロラなど、個性豊かで魅力的なキャラクターがたくさん登場します。キャラクターを描くにあたって「ここは外せない!」というこだわりポイントはありますか?
自分の「好き!」の純度を最大値まで引き出して反映させることでしょうか。
アオハは私が今描ける一番好きな顔の攻めキャラですし、シノは今の私が思うかわいいを詰め込んだ受けキャラ、クレハは美人受けの理想形、フロラはシノとは違うベクトルのかわいさを……と、とにかく自分が声を大にして「こういうキャラが好きなんです!」と騒げるほどのところまで持っていかないと、きっと読者さんにも伝わらないだろうと思うんです。
あとは作品内で描かれない細かい設定(たとえば生い立ちや1日の過ごし方など)もそれぞれ決めておき、お話に登場する際にはキャラクターとして迷いがない状態にしておくのも大事かなと思います。
――キャラクターの言動や表情にあらわれる繊細な心理描写で多くのBLファンの心を掴んでいるキタハラリイ先生ですが、『ブラットテイマー/キング』においてアオハとシノがお互いに惹かれ合っていく過程を描くにあたり、意識していたことはありますか?
『ブラットテイマー/キング』に関しては、Dom/Subユニバースという特殊設定ではあっても、キャラクターやお話自体は王道で突き通す!ということを最初から決めていたので、キャラクターの言動や表情も極力わかりやすく表現したつもりです。作品と読者さんとの間の壁やブレみたいなものをなるべく減らすことで、アオハとシノの関係の揺らぎに一喜一憂することを楽しんでいただく作品にしたかったんです。
なので、読者さんからのお便りで「(4話で)激昂したアオハに本当に怒鳴られているみたいで怖かったけど、シノへの独占欲が垣間見えて萌えました」というご感想をいただいた時はニコニコガッツポーズでした。
- ブラットテイマー/キング
- 著者:キタハラリイ
- 発売日:2023年04月
- 発行所:大洋図書
- 価格:825円(税込)
- ISBNコード:9784813033431
次回作は……“正統派リーマンBL”!?
――ご自身にとっての「BL」の魅力や想いについてお聞かせください。
また、これから描いてみたいジャンルや、BLに限らず今後挑戦してみたいことがありましたらお聞かせください。
「BL」の魅力と言われると言語化が難しいのですが、逆にどれだけ時代の流れが変わろうとも「BL」だからこそ表現したいものがたくさんあったから、私自身も描き続けてこられたのかなあと思います。それこそが魅力なのかもしれません。
これから描いてみたいジャンルは……ここ数年ずっと正統派リーマンBLを描きたいと思っているので、いずれ形にできたらと思っています。
――最後に「B+LIBRARY」読者へのメッセージをお願いします!
ここまで読んでくださってありがとうございました。偶然にも画業10年目を臨む年にこういったインタビューの機会をいただいて、また次に向けてより一層頑張るぞという気持ちです。
Dom/SubユニバースBL『ブラットテイマー/キング』の続編である『ブラットテイマー/キング engage!』の単行本が4月に刊行です! また『ブラットテイマー/キング』シリーズはもう少し続く予定なので、そちらもお見かけの際はぜひ。よろしくお願いします。
「B+LIBRARY」について
「B+LIBRARY」は、キャラ属性や萌え度、ジャンルといった切り口から好きなBLコミックを探すことのできるガイドブック。BLポータルサイト「ちるちる」に投稿された10万件以上のレビューや、BLコンテンツを扱うサイトで収集されたデータをもとに作品を厳選し、「スパダリ攻め」「メガネ受け」といった設定別で掲載。「好きなジャンル」「好きな作家」「絵柄」などさまざまな切り口で作品を選ぶことができるので、新たなBLコミックと出合ったり、見逃していた作品を見つけたりするのに役立ちます。
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